黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

コーヒーブレイク ~ ミスドのポケモンドーナツ 2022

 先日、日本パン技術研究所(通称:パン学校)の授業があり、西葛西まで足を運んできましたが、今年も11月の授業の時に、これまで毎年時期が合います『ミスドポケモンドーナツ』に遭遇しました。

 

 とりあえず、メトロ西葛西駅前のミスドに入って、授業までの時間調整です。

 

ポケモンドーナツ

 

 せっかくですので、ドーナツは今年の新作:イーブイのドーナツ2品種をチョイスしました。

 

日本パン技術研究所

 

 さて、脳に糖分を補給しましたところで、未来の製パン技能士を前に授業です。

 

 授業の内容は、毎回、新たな情報を入れて資料を作り直していますが、実はポケモンドーナツの写真も授業に出てきたりして。

 

 今回の記事は最近の気忙しさに感(かま)けて、製パンの解説が入れられず、単に商品の紹介になってしまっています。

 

 次回以降、また、がんばります。

 

【 目次 】

 

ミスドポケモンドーナツ2022

 仕事が終わって愛知に戻り、改めてポケモンドーナツを買いに、地元のミスタードーナツのお店へ出掛けました。

 

ポケモンドーナツ

 

 しばらく、足を運んでいない間に、店内の内装が変わっています。

 

 コロナ禍の影響でしょうか、以前は注文を受けて店員さんがトレーに載せるスタイルだったのが、今ではお客さんが自身でドーナツを載せるスタイルに変更されています。

 

ポケモンドーナツ

 

 今年のポケモンドーナツは5種類ですが、一目で中段の棚に全種類が揃っていることが分かります。

 

ポケモンドーナツ

 

 今回は、一回の来店でポケモンドーナツ・コンプリートです。

 

 ただ、今回はモンスターボールのドーナツがありません(前回の球形のドーナツが作り難かったとか)。

 

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ピカチュウ ドーナツ(テイクアウト 270円 税込)

 ピカチュウは、私が好きなイーストドーナツの生地で、ホイップクリームが充填されています。

 

ポケモンドーナツ

 

 生地はプリン風味のチョコでコーティングされていて、目とほっぺたはコーティングチョコが固まる前にマーブルチョコレート?を載せて、耳は固まってから再度ミルクチョコでコーティングですね(昨年と同様のデザインのようです)。

 

ピカチュウのふりむきドーナツ(テイクアウト 194円 税込)

 今年は、このふりむきシリーズのドーナツが3種類出ています。

 

ポケモンドーナツ

 

 ピカチュウは、先述のドーナツと同様に、生地上面からプリン風味のチョコがコーティングされて、ミルクチョコレートで線掛けされています。

 

 そして、横方向にスライスして、ホイップクリームとカスタードクリームがサンドされています。

 

イーブイ ドーナツ(テイクアウト 270円 税込)

 今年の新作が、イーブイのドーナツです。

 

 こちらもイーストドーナツの生地に、キャラメル風味のチョコがコーティングされています。

 

 前髪はホイップクリームで立体的に膨らみを持たせていて、目と耳はチョコがトッピングされて表現されています。

 

ポケモンドーナツ

 

 西葛西でも食べてきましたが、こちらもピカチュウ同様に生地にホイップクリームが充填されています。

 

 今年は、マリトッツォが全国的に爆発的な人気となりましたが、生地以上にクリームを食べてもらう趣向が見えてくるのは私だけでしょうか。

 

イーブイのふりむきドーナツ(テイクアウト 194円 税込)

 イーブイの毛並みの色をキャラメル風味のチョコレートで表現されています。

 

 仕上げのトッピングは、ココナッツですね。

 

ポケモンドーナツ

 

 生地には、ホイップクリームとチョコクリームがサンドされています。

 

ポケモンたちのふりむきドーナツ(テイクアウト 194円 税込)

 『ポケモンたち』と謳っていますこの商品は、包装紙イラストのキャラクターが全部で3種類ラインナップされているようです。

 

 今回はパチリスのデザインでしたが、他にポッチャマ、グレイシアのバージョンもあるようです。

 

 私は、最初の151匹がとても強くイメージが残っていて、それが今では800匹を超えているとか・・・、正直なところ、今回の3匹のポケモンもまったく知らず、このドーナツで初めて知りました。

 

ポケモンドーナツ

 

 なお、この商品はホワイトチョコとサイダー風味のシュガーで仕上げられていて、そして生地にはホイップクリームがサンドされています。

 

 なお、全種類にホイップクリームがサンドされていますので、すべてを食べきりますと、少々くどいかもしれません。

 

あとがき

 パン学校のタイミングに合わせて、他の用事もスケジューリングしましたので、前日は浅草に宿をとって、この日はほぼ移動日です。

 

 チェックイン時にホテルのフロントで確認しましたところ、浅草寺は夜にライトアップされているそうですので、少しお散歩タイムです。

 

浅草寺

 

 日が暮れてからの雷門も雰囲気があります。

 

浅草寺

 

 仲見世通りから本堂へ。

 

浅草寺

 

 本堂を前にして、なんだか清々しい気持ちにもなって。

 

 改めまして、すみません、忙しさに感(かま)けて、今回は製パンの解説を抜いてしまいました。

 

 落ち着きましたら、また製パン技術の情報を積み上げていきたいと思っています。

 

リベイク・山崎製パン ~ オーブンの熱源とトースターの熱源

 前回の記事でフジパンの商品『おうちで焼きたて CRAFT BAKERY』のシリーズを紹介しました。

 

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 ところで、消費者サイドの操作は同様ながら、おうちで焼きたてシリーズとは志向の異なる商品がスーパーのパンコーナーの棚で目立つようになってきました。

 

山崎製パン

 

 そう、『リベイク』再加熱を行う商品です。

 

山崎製パン

 

 山崎製パンの商品でもっとも顕著に見られる気がしていますが、既に他メーカーも含め、PB(プライベートブランド)商品でもそのような商品が登場するようになってきました(下は、ららぽーと平和堂のPB商品です)。

 

リベイク

 

 フジパンの『おうちで焼きたて』シリーズとは異なって、こちらは従来商品の食べ方提案となりますが、なにやら新たな流れのようなものを感じています。

 

【 目次 】

 

オーブンとトースター

 リベイクに関連して、加熱装置のオーブンとトースターについて解説したいと思います。

 

 オーブンもトースターもどちらもパン等を加熱調理する設備ですが、その大きな違いは加熱時間と熱の移動形態にあります。

 

オーブンとトースター

 

 上火を見てみますと、基本的にオーブンでは予熱して炉内を安定化させてから使用します。

 

 つまり、壁面も含めた炉内全体が熱の供給源であり、定常状態を前提として温度制御を行っています。

 

 ちなみに、炉内温度を200℃とした場合、内壁温度は+50~90℃程度となっていて、ここからの輻射熱が支配的です。

 

 一方、トースターはヒーター線が主な熱の供給源でニクロム線で800~900℃、アラジンに使用されているグラファイトヒーターでは1300℃と燃焼ガスの温度(1300~1800℃)に迫る温度となっています。

 

 熱の供給量は、[輻射熱量]×[熱源の面積]ですから、壁面全体で広い面積を取ることができるオーブンに対して、トースターは非常に狭い投影面積のヒーター線に石英保護管を付けたり、面状ヒーター(グラファイトヒーター)を採用することで対応を図っています。

 

 下火ではオーブンは蓄熱した炉床からの伝導熱で一気にオーブンキックが可能となることと比較して、トースターでは最高でもヒーターからの供給熱量に留まりますから急激な過熱は困難です。

 

(以上、対流ファンが付いていないタイプで比較しましたが、紙面が足りず、言葉足らずな解説となってしまいました。)

 

リベイク

ナイススティック

 元々、このリベイクの商品に目が行きましたのはロール成形の解説に取り上げようとナイススティック(山崎製パン)を購入したことがきっかけです。(すみません、まだ記事で挙げられていません。)

 

山崎製パン

 

 なにやら見掛けない『リベイク』の文字が気になりました。

 

山崎製パン

 

 しかも、フジパンの『おうちで焼きたて』シリーズはリベイクで特徴を生かすことができる可能性の高い商品アイテム群をラインナップしていることと比べて、この商品はリベイクしなくても十分に特徴を持った商品です。

 

高級粒あん

 どうも、その日の包装デザインが気になって、後日、改めまして他のリベイク商品を探しにスーパーへ出掛けました。

 

山崎製パン

 

 砕いた栗の実が入った高級粒あんもリベイク対象商品でした。

 

山崎製パン

 

 たしかにリベイクしますと、食感、風味が明らかに変わってきます。

 

山崎製パン

 

 そのような意味では、新たな体験を消費者に提供する意図は十分に理解できます。

 

山崎製パン

 

 ところでせっかくですので、この粒あんパンですが、製品サイズ(直径)の一回り小さいプレス天板を使用して成形~焼成を行っています。

 

 製品高さが出る上に、サイズが安定します。

 

アップルパイ

 これは、リベイクすべき商品ですね(個人的な意見です)。

 

山崎製パン

 

 従来、ホールセールベーカリーの袋包装商品で品質的に劣っていたアイテム群のひとつが、サクサク感を引き出せないペーストリー・パイ類です。

 

 包装後の時間の経過に伴って、表面の乾燥した生地に水分が移行してしっとりとさせてしまうためです。

 

山崎製パン

 

 以前にも解説しましたが、このアップルパイは商品名こそパイですが、原材料にパン酵母を使用していますので、名称としては洋菓子ではなく、菓子パンになります。

 

山崎製パン

 

 ただ誤解のなきよう、パン酵母を使用していることで他メーカーの一部の『パイ』に見られるような詰み(生地の層が剥がれずに厚いゴムのような層になってしまう現象)は見られません。

 

山崎製パン

 

 食感は十二分に良好なパイですから、品質をとても考慮した商品として評価できると考えています。

 

 本来の定義を忠実に守ることも大事ですが、こだわり過ぎて品質の低下を招くよりは、消費者へおいしい笑顔を提供できることの方を優先する姿勢もありではないでしょうか。

 

北海道チーズ蒸しケーキ

 これは、チャレンジャーですね(これも、あくまで個人的な意見です)。

 

山崎製パン

 

 当然、山崎製パンではリベイクした際の品質をチェックしていると思いますが、とても斬新です。

 

山崎製パン

 

 ただ、商品開発の基本の発想のひとつに、『新たな体験をさせてあげる』といったことが挙げらえていて、その点からは十分にあり得る商品と判断します。

 

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 それにしても、この北海道チーズ蒸しケーキは夏季に『凍らせてもおいしい』と謳っていた商品。

 

 今、流行りの二刀流ですね。

 

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 山崎製パンは、既に焼成後冷凍の商品にもずいぶん実績を上げていますので、消費者としてはリベイクと併せて今後の展開が楽しみです。

 

カレーパン

 こちらもアップルパイと同様にリベイクすべき商品と思います。

 

山崎製パン

 

 リベイクによって、確実に表面に付けられたパン粉のカリカリ感が復活します。

 

山崎製パン

 

 食感を楽しむといった点で、納得です。

 

ケーキドーナツ

 同じドーナツでも、こちらは消費者の評価が楽しみです。

 

山崎製パン

 

山崎製パン

 

 今回のリベイクの展開は、モニター的な要素も多分に含まれているのではないでしょうか。

 

 供給した商品を消費者に楽しんでもらう、そのための方策として、今回の試みから次の商品開発へと繋がっていくことを期待したいです・・・わざわざ私が言わずとも山崎製パンでは、すでに取り組まれていると思いますけど。

 

あとがき①

 先日のニュースで、山崎製パンが来年1月1日出荷分からから平均7.3%の値上げを実施すると報じていました(フジパンについても後日ニュースで見掛けました)。

 

 政府の輸入小麦の売り渡し価格、油脂類を含む原材料価格の高騰や物流費の増加などが主な要因のようです。

 

 食パンと菓子パンの一部が対象となっていますが、対象商品は食パン・菓子パン計約700品目のうち、3割超の247品目だそうです。

 

 具体的には、ロイヤルブレッド、超芳醇、高級つぶあん、ナイススティックなどの今後も継続して製造する定番商品で、その他の新商品や季節商品は値上げの対象としなくても先々の改廃で姿を消すと思いますので、ここには含まれないといったことなのでしょう。

 

 さてさて見方を変えますと、現在の700品目の7割近くが先々姿を消して、そこにまた新たな新商品が投入される・・・、厳しい商品開発の現場の実状が見えてきませんか。

 

あとがき②

 今年もこの時期に、仕事場近くの散歩道で桜が咲いていました。

 

桜

 

 昨年は12月に咲いていましたので、少し気を抜いていましたところ、気付けば満開のタイミングを逸してしまいましたが、それでもこの時期に桜の花が見られて少し嬉しかったりして。

 

おうちで焼きたてシリーズ・フジパン ~ パーベイク技術について

 スーパーのパンコーナーの棚に、目を惹く商品が並んでいました。

 

 フジパンの商品で『おうちで焼きたて CRAFT BAKERY』のシリーズです。

 

 『そのままでも食べられますが、トーストしてお召し上がりください。』のコメント付きです。

 

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 これからの技術として、これまでにもリベイクするパーベイク製品については、複数回、記事に取り上げてきました。

 

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 ですが、今回はリベイク(?トースト)することを推奨した常温保存のパンということで、新たなカテゴリーのパンとしても、とても注目しています。

 

【 目次 】

 

焼き立てパンを流通する技術

 特に欧州ではメジャーな生産方式であるパーベイク(Part Bake)技術は、80%程度まで焼成が進んだパンを一旦冷凍して、流通・保管後にリベイクすることで、焼き立ての食感・風味を楽しむものです。

 

おうちで焼きたて

 

 また、比較的最近のトレンドとして、焼成後冷凍のパンが注目されるようになりました。

 

 これは、京都のベーカリーがホテル向けに対応したシステム・商品で、品質の高さはホテルに提供していることからも確認することができると思います。

 

 上記の製法に対して、今回紹介しますフジパンの『おうちで焼きたて』シリーズのパンは、基本的にリベイクを推奨していながら、冷凍することではなく、一般的なパンと同様に常温流通で展開している商品です。

 

 なお、焼成後冷凍のパンは別にして、パーベイク製品と『おうちで焼きたて』シリーズの製品は、焼成を2度行うことから、必然的にクーリングロス(パン冷却時の水分蒸発)が2回生じます。

 

 今後は、この対応についてもレベルが上がってきてくれれば、と願うところです。

 

 久しく技術的な製法絡みの新製品が(あくまで個人的に)見られなかったホールセールベーカリーの商品において、久し振りに心が躍った気がしています。

 

おうちでプチフランス(128円 税別)

 プチフランスパンが4本入りの包装となっています。

 

おうちで焼きたて

 

 フランス(パン)というネーミングですが、砂糖、油脂、卵が配合されています。

 

おうちで焼きたて

 

 包装紙の裏面には、家庭での焼き方(リベイク?トースト?)方法が記載されており、イメージしている焼き上がりの画像も付けられています。

 

おうちで焼きたて

 

 上面の焼き色はほとんど付いておらず、このままでは見方によって生焼け?と感じる人もいるかもしれませんね。

 

おうちで焼きたて

 

 連続生産ラインで製造されているのでしたら、中央のクープはウォータースプリッターで入れられているものと推測します。

 

おうちで焼きたて

 

 形状は、一般的なロールパンに近く、見辛いですけど側面のホワイトラインが確認できます。

 

おうちで焼きたて

 

 底面を見てみますと、直焼きではなく、天板を使用していることが分かります。

 

 連続生産ラインに置いて、ウォータースプリッターでクープを入れるのであれば、やはり天板が必要になってきます。

 

 そして上面と異なり、底面では通常製品と同等程度の焼色が付いています。

 

おうちで焼きたて

 

 内相は、一般的な歪な気泡が特徴的なバゲットとは異なり、ソフトなロールパンのように細かい気泡が揃っています。

 

 成形時での十分なガス抜きが行われていると推測します。

 

 食べた感じでは、若干の引きは感じますものの、食感は少し硬めのロールパンを食べている感覚です。

 

 それでも、やはり焼きたてのパンを感じられるところは大きく、これまでにない商品であることに間違いはないと思います。

 

カリじゅわ塩パン(148円 税別)

 人気の塩パンが3本入った包装となっています。

 

おうちで焼きたて

 

 いずれの商品も同様なのですが、下火は通常の商品と同程度の焼き色になっていますものの、上面の焼き色はほとんど付けられていません。

 

おうちで焼きたて

 

 おそらく表面の裂け目が開いている部分はイレギュラーと思いますが、それであれば最終発酵のタイミング等を検討されてみては、と思います。

 

おうちで焼きたて

 

 内相では、折り込まれたバターの部分が確認できます。

 

 リベイク後、この部分から漂ってきますバターの風味が特徴的です。

 

クロワッサン(148円 税別)

 ネーミングに『パリパリ』と食感をアピールしたクロワッサンが3本入った包装となっています。

 

おうちで焼きたて

 

 ホールセールベーカリーの商品として、どうしてもリテイルベーカリーに適わないアイテム群のひとつにデニッシュ等のペット類が挙げられます。

 

おうちで焼きたて

 

 袋包装をして流通させている過程で、どうしても生地内での水分移行が進行して、表面のサクサク感が損なわれるためです。

 

おうちで焼きたて

 

 しかしながら、そのビハインドもリベイクという操作によって打ち消すことが可能です。

 

 再加熱する際に生じます水分蒸発は当然表面において生じますので、ここで生じました乾燥の操作が生地にサクサク感を供与する結果となります。

 

 つまり、この『おうちで焼きたて』シリーズは、これまでホールセールベーカリーが対応できなかったパン表面のサクサク感に対応できた商品と言えるのではないでしょうか。

 

さくさくアップルパイ

 こちらも生地の食感にサクサク感が求められますアップルパイです。(大したことではないのですが、クロワッサンのパリパリと、アップルパイのサクサクは、意図された表現なのでしょうか。)

 

おうちで焼きたて

 

 最近は、パイと表示されていながら原材料にパン酵母が含まれている商品を見掛けますが、こちらのアップルパイにはパン酵母の記載はありません。

 

 ですから、名称も菓子パンではなく、洋菓子になっているのですね。

 

おうちで焼きたて

 

 上から見てみますと、長方形の生地に切れ込みが入っていて、そこからカスタード風味のフィリングが覗いています。

 

おうちで焼きたて

 

 ベルトコンベア上をシート生地が流れている工程でロータリーカッターで中央の切り込みを入れ、その生地を折って片側で閉じています。

 

おうちで焼きたて

 

 ところで、内相を見てみますと、フィリングに接していた部分の生地の層が密着して、詰んだ状態になっています。

 

おうちで焼きたて

 

 さきほど、パイと記載されていながらパン酵母を使用している商品がある旨を記述しましたが、基本の製法に則って規定の品質が得られない場合、それを補う意味で本来の定義から外れること(ここでは、パイの製品にパン酵母を使用)も選択肢としてあり、と思います。

 

あとがき

 明日から3日間の日程で、第42回日本熱物性シンポジウム(日本熱物性学会主催)が(元々は北海道で開催予定だったものが)オンラインで開催されます。

 

日本熱物性シンポジウム

 

 個人事業では大学や企業のように十分な設備が整っている訳ではありませんので、なかなか革新的な研究成果を発表することは困難なのですが、それでもこれまでにない技術や現象の検証結果を発表する予定です。

 

 もちろん、研究テーマはパン作りに関する内容(今回は食パン焼成時の熱移動)です。

 

 そして、毎年、このような機会に他の研究者の方々の発表からは、いい刺激を頂いています(還暦を迎えても、まだまだ精進しなければ、と)。

 

スーリープー ~ 天板サイズについて

 食べログのパン EAST 百名店 2020 で堂々の2位、もちろん愛知県では1位の名店スーリープーへまたまた足を運んできました(家族が)。

 

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 EAST 百名店 2020では愛知県の13店のベーカリーがランクインしているのですが、初選出のお店もあって内3店のベーカリーのパンはいまだ未体験です。

 

 美味しいパンを発見する機会は、まだまだ尽きそうにもありません(おいしいパンが、自分の研究の糧となりますから、ありがたいです)。

 

 ちなみに食べログ EAST 百名店は、愛知、岐阜、長野、新潟ライン以東で東京都を除く道県から、訪れたユーザーの評価によりベーカリーが選出されています。

 

 今回は、人気のパンに加え、リテイルベーカリーでよく使用されています天板のサイズについて解説していきます。

 

【 目次 】

 

天板サイズ

 日本の規格ですと、六取天板(ろくどりてんばん 530mm×380×高さ)とか八取天板(はちどりてんばん 430mm×340×高さ)と呼ばれますサイズのものが主流です。

 

 これは定尺でサブロクと呼ばれます『3尺×6尺(サイズ:914mm x 1,829mm、1尺=303.030303mm)』鋼板の1枚から切り取って得ることができる天板の枚数に由来します。

 

 つまり、六取天板は定尺の鋼板から6枚取り出すことができ、八取天板は同様に8枚取り出すことができるサイズということになります。(結果的にサイズは、六取天板 > 八取天板 と、なります。)

 

日本天板

 

 寸法サイズの単位に尺が採用されているところは、いかにも日本式です(ただし、尺貫法は、現在、計量法により取引や証明に用いることは禁止されていますので、SI単位系のmmで表記されています。手前味噌ですが、私、一般計量士の資格を持っています)。

 

 そして、日本規格天板(日本天板)とは別にヨーロッパ規格天板(欧州天板)があって、サイズは次の3種類となります。
・600×400×高さ
・450×350×高さ
・400×300×高さ

 

 通常、ヨーロピアン天板と言いますと 600×400mmサイズのものを指し、サイズ的に六取天板と近いので、店舗用の製パン機器は、このヨーロピアン天板を基準に設計されているケースが多くなっています。

 

スーリープー

チョコオレ 1/2(450円 税込)

 比較的平たい形状のハード系のパンです。

 

スーリープー

 

 クープは、割れた感じで内側の生地が見えていますので、(多すぎることなく)バゲット程度の蒸気を焼成初期にかけて焼き上げていると推測されます。

 

スーリープー

 

 底面から直焼きであること、生地の硬さも一般的なハード系のパンレベルのようで、最近流行りの高加水の生地ではなさそうです。

 

スーリープー

 

  生地にはチョコとナッツ類が混ぜ込んであって、けっこう密な内相とずっしりした重量感があります。

 

スコーン(209円 税込)

 スーリープーの中でも、人気の商品です。

 

スーリープー

 

 サクサクとした食感が好ましい反面、食べる時にはポロポロこぼれてきますので、その点は痛し痒しでしょうか。

 

スーリープー

 

 個人的には、ホイップクリームを添えて食べたいところです。

 

イズニー スプレーホイップクリーム

 

 いいタイミングで、コストコにてイズニーサントメールのスプレーホイップクリームを購入していました。

 

クイニーアマン(321円 税込)

 バターリッチなスクエア形状のデニッシュ生地を上部で閉じて成形されています。

 

スーリープー

 

 上部にトッピングされたザラメが食感のアクセントになっています。

 

スーリープー

 

 底部の飴コーティングは、歯応え十分です。

 

スーリープー

 

 断面には、大きな空洞と生地の層が詰んでいる状況が・・・、でもおいしく食べられますので・・・。

 

レモンティー(258円 税込)

 クープの入れ方が特徴的なハード系のパンです。

 

スーリープー

 

  類に漏れず、直焼きのハースブレッドです。

 

スーリープー

 

 食べた時、レモンティーの風味が口いっぱいに広がります。

 

スーリープー

 

 クラムの所々に紅茶の茶葉が見られます。

 

チョコザマンド(319円 税込)

 クロワッサン生地にクレーム・ダマンド?とチョコペースト?を塗って成形し、表面にアーモンドスライスを振って焼いたペーストリーです。

 

スーリープー

 

スーリープー

 

 クリームとチョコが焼いた後に流れ出て、香ばしい風味と甘さが堪能できます。

 

いちじく赤ワインクルミ(310円 税込)

 赤ワインを加えた生地にクルミが混ぜ込まれているハースブレッドです。

 

スーリープー

 

スーリープー

 

 イチジクのフィリングとチーズを包んで底部で閉め、上部に十字のカッティングを入れて成形しています。

  

スーリープー

 

 生地の食感もクルミがアクセントとなり、イチジクフィリングとチーズの食味も併せて楽しめます。

 

アップルパイ(396円 税込)

 アートっぽい表面のカットが特徴的なアップルパイです。

 

スーリープー

 

スーリープー

 

 側面から見られます生地の膨らみ具合は、十分な vapor action が推測されます(パイにはパン酵母が含まれていませんので、生地膨張は生地中の水分の蒸発によって生じます)。

 

スーリープー

 

 断面を見ましても、しっかりと生地の層が出ています。

 

 食べた時のサクサク感は、この状態からも容易に推測されます(もちろん、実際の食感も期待通りでした)。

 

 

ある日の付録

 ふと入ったコンビニでおもしろいパンを見つけました(これも家族が)。

 

雪見だいふくパン

 

  『雪見だいふくみたいなパン(145円 税込)』、ファミマベーカリーの商品です。

 

雪見だいふくパン

 

 白焼きの生地で全体のイメージを再現して・・・、

 

雪見だいふくパン

 

 腹割りでカットした生地には・・・、

 

雪見だいふくパン

 

 クリームともち食感をイメージした求肥がサンドされていました。

 

 いつも情報をしっかり届けてくれる家族に、改めて感謝です。

 

aime le pain(エム・ル・パン)・画像認識AIレジ ~ ついに anopan 復活!

 リピートしていた anopan が9月に入って一ヶ月の休業宣言中、やっぱり焼き立てパンが食べたいところで、地元にあります aime le pain(エム・ル・パン)へ足を運んできました。

 

 久し振りに訪れましたところ、棚の配置と共にレジの雰囲気も少々変化があって・・・、画像認識AIレジシステムが導入されているではありませんか!

 

 AIと言えば、先日もバウムクーヘン専用オーブンを名古屋・栄で見てきましたところですが、先端技術の急速な進出を肌で感じる今日この頃です。

 

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 今回は、数日前に訪れました  aime le pain と、そして待ちに待ちました一ヶ月ぶりの anopan のリポートです。

 

【 目次 】

 

画像認識AIレジシステム

 以前にどこかのTV番組で放送されていたことは知っていましたが、実物を直接目にするとは思っていませんでした、しかも地元のパン屋さんで。

 

画像認識AIレジ

 

 お客さんは、いつもの通りトレーにパンを載せて、レジまで持っていきます。

 

 レジ横の白い台の上部にはカメラが設置してあり、トレー上の商品をAIが自動で認識してくれます。

 

画像認識AIレジ

 

 まあ、今回はまだAI君も修行中のようで『トマトとクリームチーズ』と『クロワッサン食パン』の重なりのところで、『スコーン』を間違えてカウントしてしまっていました。

 

 でも、これから学習していって、どんどん賢くなっていくのでしょうね。

 

 がんばれ、AI君。

 

aime le pain(エム・ル・パン)

 残念ながら、瀬戸市には食べログの『パン EAST 百名店』に入るパン屋さんがありませんが、ここのパン屋さんはいつも行列ができるほどの人気店です。

 

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 車で出掛けるのですが、お店の駐車場はありませんものの、すぐ横に公共駐車場があって60分は無料ですので、気軽に利用できます。(将棋の藤井聡太3冠のニュースで度々賑わっている商店街は、この駐車場から歩いてすぐのところです。)

 

aime le pain

 

 この日も行列ができていましたが、店内の入場制限は『2人または一家族まで』となっています。

 

aime le pain

 

aime le pain

 

 店内はこのような感じで、小さなお店ながらパンの種類はたくさんあります。(その分、アイテム毎の数量はあまり置けないようですけど)

 

aime le pain

 

 そして奥にはAIレジがあって、今のご時世、店員さんとの会話も接触も最小限に抑えることができます。

 

aime le pain

 

 今回購入してきたパンの数々です。

 

ナッツのパン(1/3) (420円 税別)

 ナッツを生地に混ぜ込んだハード系のハースブレッド(直焼きパン)です。

 

aime le pain

 

 内相を見てみますと、生地が密で持った時、食べた時のずっしり感が見た目に伝わってきます。

 

aime le pain

 

 底面を見てみますと、これだけ生地が密で、さらに直焼きの割には縁の部分の膨らみが小さく、這ったような形状になっています。

 

 最近は、高加水の生地がトレンドとなっていますが、このパンも同様なのかもしれません。

 

 なお、トーストして食べてみますと、ナッツのカリッとした食感はアクセントになって楽しむことができます。

 

クロワッサン食パン(1/2) (400円 税別)

 クロワッサン生地で作った、小振りの食パンです。

 

aime le pain

 

 このサイズで、価格的には高級生食パンの1斤分と同等ですが、これを高いと見るか安いと見るか・・・、でもほぼほぼ適正と思っているので購入しています。

 

aime le pain

 

 正直なところ、成形方法はよく分かりません(上部で閉じているようにも見えますし)。

 

 このパンもトーストしましたが、バターの風味とサクサク感は十分に堪能しました。

 

アップルパイ (400円 税別)

 見るからに時間を掛けて焼成していることが分かるアップルパイです。

 

aime le pain

 

 内相の奥の方まで生地が着色しています。

 

 そして、フィリングは十分に火が通されて、ほぼ果肉が詰まっているかのような状態です。

 

aime le pain

 

 サクサクを通り越してパリパリの生地で、まさにパイといった食感です。

 

 そして、フィリングの部分は煮込んだリンゴといった表現がピッタリで、なかなか他のアップルパイでは味わえない味と食感です。

 

ショコラマカダミア (260円 税別)

 細い形状でスティック状のハード系パンです。

 

aime le pain

 

 チョコチップとマカダミアナッツは、ミキシングじから生地に混ぜ込まれているようです。

 

aime le pain

 

 オーブンの下火がやや強いのでしょうか、焼き色が濃いというよりも、局所的に黒く焦げている状態です。

 

 もしかしますと、生地サイズが小さいためオーブンの温度設定変更が制御の方で追従できなかった、もしくは本来の設計された品質の通りだった、か。

 

トマトとクリームチーズ (270円 税別)

 フィリングを包んで、円弧形に成形されたハード系のパンです。

 

aime le pain

 

 焼成時の炉床との接触面の状態から、生地は一般的なハード生地の硬さと推測します。

 

aime le pain

 

 パンの断面を見てみますと、薄く延ばされた生地でフィリングのトマトとクリームチーズを巻いていますので、それなりの硬さがないと成形が難しくなってきそうです。

 

aime le pain

 

 歯応えのある生地ですから、噛んでいる内にドライトマトの風味が口いっぱいに広がってきます。

 

マロンパイ (270円 税別)

 

 表面のトッピングが分かりません、すみません、商品プレートの説明確認を失念していました。

 

aime le pain

 

 商品上面は、最終発酵と焼成時は型に接していた面のようです。

 

 このきれいな球形状の局面は、フリーで発酵させて製パンすることは難しいかと。

 

aime le pain

 

 底面では、パイ生地の層がとてもきれいに出ています。

 

 スクエア生地にマロンフィリングを絞って、底部で閉じた感じでしょうか。

 

aime le pain

 

 ところで、半球状で炉床から浮かせた状態で、この焼色を付けるのはけっこう大変な気がします。(デニッシュですから、焼成時間はそれなりに長いとは思いますが)

 

明太フランス (260円 税別)

 我が家の定番、明太フランスです。

 

aime le pain

 

 この商品は、先にハードパンを焼いてから、改めてトッピングと充填の明太子を加えています。

 

aime le pain

 

 底面の状態から、直焼きのパンであることが分かります。

 

aime le pain

 

 ビール(私の場合は、ノンアルコールですが)のつまみにも最高ですね。

 

桃のデニッシュ (390円 税別)

 見たままのデニッシュです。

 

 デニッシュ生地上に、そのままクリームを絞り、カットされた桃を3切れ乗せて焼成しているようです。

 

aime le pain

 

 桃のジューシーさと、デニッシュ生地のサクサク感とのバランスが GOOD です。

 

aime le pain

 

 類に漏れず、層はきれいですね。

 

フィナンシェ (230円 税別)

aime le pain

 

 

anopan

 9月中お休みされていました anopan へ10月1日のオープン前から並んで、その時を待っていました。

 

www.santa-baking.work

 

 お店のシャッターも開ききれていないタイミングだったせいか、ありがたいことに一番乗りです。

 

anopan

 

 お店の中では、オーナーご夫妻が久し振りの開店に慌ただしく準備中。

 

anopan

 

 ショーケース内に商品が並んで、ご夫妻と少し会話を交わしたところで、久し振りのお買い物です。

 

 ちなみに、お店を出る頃には何人かの行列が・・・、私達と同様に開店を待ち焦がれていた方々が、こんなにも。

 

anopan

 

 私のお目当ては、バゲットのあんバター(左上 220円 税込)と、栗とヘーゼルナッツのパン(中央辺りの細長いパン 190円 税込)で、一ヶ月のお預けもあって、おいしさも増していたような気がします。(ところで、この品質でanopan の商品価格は、とても良心的と思っています。)