黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

製法

パン作りのメカニズム ~ 食品加工学・特別講義より

帯広畜産大学 知り合いの先生との関係もあって、この大学では客員教授を仰せつかっています。 帯広畜産大学では農学部の学生さん、長崎大学では工学部の学生さん、パン学校ではこれからパン屋さんを目指す人たちへ、といった具合に、パン作りの過程でどのよ…

コロンブスの卵を知る日! ~ 混ぜ込み食パン(ブルーベリージャム編②)

改善は一歩一歩 『1日一歩、3日で散歩…』という懐かしい歌がありましたが、新しいことを進めていく為にはひとつひとつの積み重ねが大事であることを往々にして思い知らされます。 こうしてみますと、今は当たり前のように思っている技術でも、実は確立される…

チャレンジに失敗はつきもの ~ 混ぜ込み食パン(ブルーベリージャム編)

混ぜ込み食パンの作り方を独自に考えてみる 既に一般的なパンの作り方は覚えてしまっていますものの、時として(できれば)真っ新の状態から自分で考えたパンの作り方を突き詰めていきたい、などと考えてしまいます。 今回、妻の実家から自家製のブルーベリー…

冷蔵中種法と製パン機械設備 ~ ドウボックス

中種法、湯種法、自家培養酵母、等々 ホールセールの製パンメーカーが手掛ける製品開発の数量には、本当に驚かせられます。 開発のヒントとするところも、原材料、海外、リテイルベーカリー等と多岐に渡り、この先どこまで手掛けていくのか、と興味は尽きま…

中種法と製パン機械設備 ~ モルダー

成形工程における機械耐性とは パン生地が受けるダメージを製造現場で最もよく知ることができるのが、この成形工程ではないでしょうか。 以前に圧延+ロール成形でパン生地に過度な負荷を掛けない装置の構造として、大玉生地用に使用されますクロスモルダー…

中種法と製パン機械設備 ~ 番外編・機械耐性に関する妄想

ミキサー、デバイダー、そしてラウンダーとモルダー 中種法に関連する製パン機械設備をまとめようとしていて、つい、中種法⇒高い機械耐性⇒パン生地へのストレス、と連想してしまい、考えずにはいられなくなっていました。 そもそも機械耐性という言葉は、私…

中種法と製パン機械設備 ~ デバイダー

機械耐性について 大型の製パン工場におきまして、多くのラインで採用されていますのが中種法なのですが、焼きあがった製品のソフトさや風味が際立つことに加えて、採用される大きな理由のひとつとしてパン生地への機械耐性が挙げられます。 この機械耐性と…

食パンの腰折れを考える③ ~ 成形方法による違い

U字成形、N字成形、M字成形 これまで食パンの腰折れについて、焼成~クーリング時での力の発生やクラストの強度の観点から解説をしてきました。 ところで、クラストの強度という点に関しては、成形方法が起因しているところも挙げられますので、少し工程…

これがなかなか難しい…パンを焼きながら同時に水分蒸発量を量る!

木箱のオーブン再び? 突然ですが、好みの食感のクラストってありますか、そしてパンのクラストはどうやってできていくのかご存知ですか。 先日は、角形食パンが焼けていく過程で周辺の生地が圧縮されていくことを解説しましたが、この他に『乾燥して』『焼…

蒸気を使ってパンを焼く

蒸気を使う意味とは? パンの焼成に蒸気を使用するケースは、さほど珍しいことではありません。 ハード系のパンには多くの製品で焼成の冒頭に蒸気を使用しますし、その使用量もフランスパンとドイツパンでは大きく異なってきます。 焼成の初期に蒸気を使用し…

角形食パンを焼いている時でも、パン生地は動いてる?

クラストは、どのようにしてできていくのか 『焼く工程でパン生地が動く』このテーマを掲げると、概ね『オーブンキックで生地が膨張するのだから』とご指摘を受けそうな気がします。 では、外形が確定している角形食パンの場合はどうでしょう。 ここで話題と…

リベンジ 寒い部屋でのパン作り

まだ、合格点には届かない… 先週の製パンで、何とも無残な結果に終わった初焼成でしたが、それを教訓に再チャレンジで製パンに挑みました(こうなってくると、データどうこうより、もはや意地ですね)。 とにかく、前回は寒い室温の影響で成形でのガス抜き・…

科学をもっと身近に! パンを焼く時の熱の流れを測ってみる

温度と熱の違い、お分かりですか? パンを焼く時、一般的に〇〇℃で〇〇分といった表現がされます。 私も一昨日11日のブログには、そのような書き方をしました。 ただ、パンを〇〇℃に加熱する、といった場合には、直接にはパンに加える熱量が求められます。 …

失敗から学ぶこと 無残…初焼きの食パン

今年最初に焼いた食パン 初焼きは少しオリジナリティを出そうと、これまでのテスト条件とは趣向を変えて、食パンを焼いてみましたが…。 結果は、大失敗! 要因も、今から考えますといろいろとあって、一度に重なるとこんな悲劇になると思い知らされた次第で…

木の箱でオーブンを作りました これって”木窯?”

この木箱…、後ろからコードが出ているのが、気になります。 少し引いてみますと、奥には制御盤と計測用のデータロガーが見えてきて…。 実は、これ、食パン焼成の実験で使用している焼成装置、言い換えますとオーブンです。 この装置、結構、いろいろなデータ…

成形 圧延のもう一つの目的、それはガス抜き!

圧延 以前は、成形工程の圧延に関しまして、次工程のロール成形に先立つ形状調整の意味について、解説しました。 ただ、この圧延にはガス抜きという異なる側面からの意味も非常に重要ですので、追記で記載していきたく思います。 ガス抜きというからには、当…

成形(菓子パン ロール成形)

ロール成形 今回は菓子パンを対象とした、ロール成形に関して解説します。 成形の流れは食パンと同様ですが、生地重量が一般的に小さくなって、取り扱う生地重量の範囲が非常に広くなります。 もしかしますと、生地重量が変わっただけなのに?、と思われる方…

成形(食パン 続き ロール成形)

食パン用モルダー(圧延後の生地の加工) 前回は、モルダーでの生地の圧延のところまでで解説を区切ってしまいましたので、今日はその続きを解説します。 生地の圧延には方向があることは、以前に述べました。 当然、伸ばされた方向には伸び代の限界まで余裕…

成形(食パン)

食パン用モルダー パン生地の成形工程には、実に様々な加工方法と製パン機械設備が存在します。 伸ばしたり、切ったり、巻いたり、包んだり、と。 ここでは、まず日本で生産される主な製品アイテムを対象としました加工メカニズムと装置仕様について、順次解…

中間発酵(続き 搬送)

OHP(搬送) パンの連続生産ラインでは、ベンチタイムを搬送機能の付いた装置で取ることになります。 OHP(オーバー・ヘッド・プルファー)が、その装置なのですが、形状としては空間をできるだけ利用してスペース効率を上げる構造になっています。 温湿度条件…

中間発酵(空調)

OHP(オーバーヘッドプルファー) 分割・丸目が終わったパン生地は、ダメージが蓄積されていますので、一旦休ませて次の成形工程へスムーズに移行できるよう準備します。 中間発酵の目的ですが、分割時に受けたダメージの回復と次工程である成形加工に対し…

丸目(小~中玉生地)

菓子パンラインのラウンダー 同じパン生地の丸目でも、生地サイズが変わるだけで適する機械仕様も変わってきます。 より正確な表現としては、生地サイズの幅が広い、小~中玉生地用と表した方が適正かもしれません。 この用途のラウンダーは、以前では竿型・…

丸目(大玉生地②)

丸目のメカニズム 円筒の周りをパン生地が沿って流れていくと、どうして丸目を行うことができるのでしょうか。 ここでは、ドラム式ラウンダーを使用した時のパン生地の動きと共に生地に働く力について考えていきます。 ドラム式ラウンダーをパン生地が流れて…

丸目(大玉生地①)

食パンラインのラウンダー 所定の重量に分割されたパン生地は丸目を行います。 ただ、生地のサイズで使用する機械設備も変わってきますので、今回は食パン等の大玉生地を対象とした機種について解説します。 パン生地を丸める装置をラウンダーと呼びますが、…

分割②

課題(続き) パン生地のダメージを軽減させる方法としては、プランジャーの動きを位置制御して1回の生地室への吸い込みに対して連続して押し出す方法が開発されました。 こうすることによって、ホッパーから生地室への移動の際にパン生地がスライスされる頻…

分割①

デバイダー (生地分割のメカニズム) 手作業での分割は、作業者が竿秤とスケッパーを使って、大分割された生地からテンポよく一定重量のパン生地を量り分けています。 私には見慣れた光景なのですが、製パン工場におけます連続生産ラインでは、この作業とは少…

フロアタイム~デバイダー投入

本捏ねミキシング【追記】 ミキサーの台数について追記します。 一般的な中種製法によるミキシング時間は、本捏ねでのトータルのミキシング時間が中種でのそれに対して、およそ2倍掛かります。 つまり、中種をミキサーで2回降ろす間に本捏生地は1回しか降ろ…

本捏ミキシング

ミキサー 中種製法は、日本におけます大部分の製パンメーカーで採用されている製法ですので、内容に沿って紹介します機械設備に関しましてもできるだけ大型の連続生産ラインで採用されている機種を中心に、解説を加えていきたいと思います。 下の画像は比較…