黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

パン生地の中で何が起こっているのだろう? (その1)

 パン生地の中で起きていること 

 小麦と水を混ぜ合わせて生地にして、発酵させて焼いていく…。

 その工程の中で、パン生地は外部からの力や熱によって変化していきます。

 今日は、熱の作用によってパン生地内で起きていることについて、書き足すことにします。(少し、硬い話になってしまいますが…)

注目する温度 (~70℃) 

  パン生地が焼き上がるまでには、注目すべき温度がいくつかあります。

 

f:id:santa-baking:20180811092825j:plain

  28℃程度で捏ね上げられたパン生地は、分割、丸目、中間発酵(ベンチタイム)、成形を経て、最終発酵に進みます。

 最終発酵では、パン酵母の活動がもっとも活発になる35~38℃程度で行われます。

 ここでも、発酵の進行に伴って炭酸ガスやアルコールが生成されます。

 ただし、今度は次工程が焼成ということもあって、最終製品の8~9割程度まで生地体積を膨張させます。

 いよいよパン生地を焼くわけですが、この工程での温度の影響は多岐に渡ります。

 まず、オーブンキックと呼ばれます焼成初期の生地膨張は、これまでに生成された炭酸ガスの溶出(40℃~)とアルコールの蒸発(60℃~)、そして気体となったそれらの物質の温度上昇による体積膨張によって、ぼぼ確定されます。

 よく焼成工程以降のパン酵母の発酵の効果を口にする方がいますが、パン酵母は50~60℃程度でほぼ死滅してしまいますので、効果があったとしても極微量に留まります。

 ここで、近い温度帯にある現象がデンプンの糊化(60~90℃)です。

 つまり、パン生地を伸ばそうとする力とパンの形状を固めようとする力が相対する訳です。

 この関係は、天板を使用してバンズのようなパンを焼く場合、焼く工程でパンのボリュームがアップすることは同じなのですが、高さのあるパンか、もしくはよりボリュームのあるパンを焼き分けるのに使い分けます。

 

f:id:santa-baking:20180812145316j:plain

 

 具体的に言えば、パンを焼き始める下火の効果としては、生地を底面から押し上げる作用があり、これはパンの外観品質にとって非常に重要な現象となります。

 他方、上火の取扱いは若干事情が変わってきます。

 上火の温度を上げると上面の生地が早い時点で糊化してしまいますので、膨張する箇所が生地側面に偏ることから、縦に伸びた形状のパンとなってしまいます。

 この時のパンのボリュームは、やや小さくなる傾向にあります。

 逆に、上火の温度が低くなると、パン生地は全体的に伸びることができるようになり、その結果、ふんわりとした大きなボリュームが出るようになります。

 もっとも、上火の温度が低すぎると高さが出ずに潰れたかのような形状になってしまいますので、注意が必要です。

 

(続く … ちなみに今日は”パンの日”です)