黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

パン生地の中で何が起こっているのだろう? (その2)

注目する温度 (70℃~)

 パン焼きのおもしろさは、いくつもの異なる現象が一つの生地の中で同時に進行するところにあります。

  パン生地を内側から押し出す力は、炭酸ガス、アルコール、水分ですので、これ等の溶出、蒸発といった現象が平衡状態となる温度(~100℃)に到達して、物質が概ね出尽くした時点で、焼成中での外形に関する変化は完了します。

 この現象もパンを焼く時の重要な指標となってきます。

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水分の蒸発

 次に起こる現象は100℃を超えた条件下で見られます。

 これは普通に考えて、水分の蒸発であろうことは比較的容易に予測が付きますね。

 パンの耳というと食パンを連想しますが、菓子パン類も含めて生地表面が100℃を超えて乾燥(更に着色)した部分をクラストと呼びます。

 このクラストを形成する要素のひとつが生地からの水分蒸発です。

 ここでは、生地表面温度と水分蒸発量との関係について、述べることにします。

 生地の表面温度が100℃を超えると水分蒸発が始まり、乾燥した生地の層ができあがります。

 この乾燥した層は、その内側にあります、まだ乾燥に至っていない100℃の層との温度差によって、熱が移動する仕組みとなっています。

 つまり、生地の表面温度は100℃を超えてから、その温度差に比例する速度未満でしか水分は蒸発しないことになります。(『比例する速度』としないのは、焼成の進行に伴って、クラストの厚さが一定ではなく、徐々に厚くなっていく為です)

着色

 一方、焼色の着色は、どのようなスピードで進行するのでしょうか?

 文献によりますと、パンの焼色が付く化学反応としては、メイラード反応(アミノ-カルボニル反応)とカラメル化反応の2つの反応が作用していると言われています。

 これらの化学反応は、共に温度の上昇によって反応速度が指数関数的に上昇します。

 つまり、温度が少し上昇するだけで、パンの焼色はどんどんその速度を速めていくという訳です。

ということは…パンの耳を

  そうして考えてみますと、焼く時の温度を上手にコントロールできれば、好みのパンの耳に近付けるくらいのことはできるのでは、と思ってしまいますよね。

 焼き色を薄く抑えて、それでいてパンが折れたりしない(これ、腰折れと言います)程度にクラストをしっかりさせたい、とか、一般的な焼色で、それでいてクラストを薄く、しっとりとさせたい、とか…。

 まだまだ、パン焼き技術の奥は深そうですが、少しずつ探っていくことにしましょう。