黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

今の手作業を考えてみる~生地解凍

パン生地の解凍

 今、製パンに使用しているパン生地は冷凍パン生地と呼ばれるもので、最近では大手のスーパーでも時々目にすることができます。

 使用するときには、冷凍庫から必要数の玉生地を取り出して、手粉を振ったトレー上に並べて解凍します。

 解凍中にパン生地表面に結露したり、逆に乾燥したりしないよう、生地を並べたトレーはビニール袋を被せます。

 この状態で、一般的な室温であれば、2.5~3.0時間で解凍することができます。

 おおよその目安ですが、生地温度が10℃程度まで上がっていれば、生地解凍は完了です。

 解凍時の昇温のメカニズム

 冷凍パン生地を自然解凍で解凍する…、特に方法さえ知っていれば、特段気にすることもないように思われそうですが、どこにでもポイントとなるところはあるもので、ちょっとした解説をここに加えてみます。

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 先日、熱の伝わり方には、伝導・対流・輻射という3つの形態があることを記載しました。

 しかし、単に熱だけが移動するとは限りません。

 私たちの周りにある空気中には不特定な水分が含まれていて、その程度は一般的に湿度**%といった表現がなされます。

 この水分がなかなかの曲者であるが故に、トレーにはビニール袋が欠かせなくなってきてしまう訳です。

 つまり、生地温度が低い時には空気中の水分が凝縮して生地表面を濡らしてしまうため、ベタ付いてしまいますし、生地温度が上がってくると今度は空気の湿度が100%でない限り、生地表面を乾燥させてしまいます。

 生地表面の状態は、できるだけ本来の生地が持っている水分含量を保持させながら、解凍させることが重要になってくるわけです。

生地解凍のポイント

 ところで、ビニール袋を被せて解凍すると効率が下がるんじゃないの?、と思われるかもしれませんが、実はそれほど大きな影響にはならないのです。

 パン生地は載せてあるトレーから伝導で熱が伝わるのですが、このトレーから移動する熱量がパン生地解凍に費やされる熱量の大部分を占めています。

 このトレーの材質に熱伝導率の高い(例えば)アルミニウムのような金属を使用すると、トレーはフィンに役割をして、トレー全体に外から伝わった熱量を効率的に生地へ伝えることができます。

 このような現象は、実はパン生地を冷凍させる時にも同様の傾向が見られていて、急速冷凍庫の温度や風速に加えて、生地が載るトレー部分についても多大な注意が払われています。

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  解凍が終わって、次の再丸目の工程に移る時、上手く解凍ができていると生地を触った瞬間に分かります。たかがトレー、されどトレーです。