黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

今の手作業を考えてみる~丸目

再丸目

 解凍したパン生地は、再丸目を行ってから一度寝かせて休ませます。

 解凍から次工程の復温に至る工程では、パン酵母の活動も活発になる温度帯に入ってきますので、生地内部での温度のバラツキが発酵状態に思わしくない影響を与えないよう、生地内部の温度を均一にする意味があります。

 また、解凍時の生地は、冷凍~保存・解凍の工程で、部位によって加工条件のバラツキが生じている可能性もあるため、一旦生地全体の物性として均一な状態に戻す意味も含まれていると考えています。

 ところで、この丸目の作業ですが、形として丸く形作るのが目的ではなく、パン生地の表皮を張って、内圧を高めることにあります。

 生地の内圧を高める理由としましては、製パン工程中に酵母が発酵して生成する 炭酸ガスやアルコールを生地内部に留めておくためです。

  確かに炭酸ガスは最終発酵の段階で、パン生地を最終製品の8~9割程度のボリュームにまで膨張させるために必要な生成物です。

 では、生地内部に留めておくということは、何を意味するのでしょうか。

 パンが膨らむ工程は、最終発酵ともうひとつ焼成の工程があります。

 この焼成工程で、パン生地は最後の形状変化として、オーブンキックと呼ばれます体積膨張を起こすのですが、その時の推進力となるのが、前述の溶存した炭酸ガスと溶解したアルコールです。 

 表皮が張っているパン生地は、パン酵母が働いて炭酸ガスやアルールが生成し、気泡が徐々に大きくなってきても表皮が風船のように張力を持っていますので、球に近い形状を保持しようとします。

 結果的に表面積を小さく抑えることになることから、外部への炭酸ガスやアルコールの流出を防ぐのです。

作業方法

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  パン生地を丸めるときには、生地の手前側をキャンバスに擦らせるようなイメージで、反対側下部の生地を指の腹の部分で生地の内側に埋め込むように(←言葉での説明が大変です)引きます。

 上の写真と下の図を見て頂いた方が、ビジュアル的に分かり易いかもしれません。

 丸目作業の時の生地の動きは、自動餅つき機の餅の動きと似ています。

 自動餅つき機では、もち米を練りながら撹拌した餅を内側から外へとゆっくりと湧いてくる感じで押し出してきます。 

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  人の手というのは非常に応用力に長けていて、生地重量の大小や生地の柔らかさでさえも、臨機応変に対応して丸めてしまいます。

 機械工学屋さんとしては、人の手への挑戦も大きな課題のひとつです。