ベンチタイム
次工程の成形工程で円滑な作業ができるように、分割・丸目後の生地を休ませ、生地構造を回復させる工程です。
冷凍生地を使ってパンを製造する場合には分割・丸目といった工程が既に済んでいますので、解凍後の生地を復温と呼ばれます20~25℃程度への生地温度上昇させる工程が、ここに相当するかもしれません。
再丸目が終わったパン生地は、キャンバスに並べ、手粉を振って半面のキャンバスを被せます。
パン生地が乾燥しないように、ビニール袋で覆って…、
霧吹きをしてビニール袋を閉じたら、30分ほどパン生地を休ませます。
手粉付け
ところで工程を少し戻しますが、丸目を行った後の生地は手粉を”全面”に付けて、キャンパスに並べます。
地味なのですが、この手粉を付ける操作はオートメーション化された製パンラインでは、非常に重要な意味を持ってきます。
大手の製パンメーカーにおいて、次に続く、このベンチタイムで 当然のことながらコンベア等の搬送装置を使って、パン生地を流していきます。
問題は、食品衛生上の問題で、オーブンフレッシュベーカリー等の手作業で使っているキャンバスのような繊維を使うことができないため(定期的に洗濯することが困難なことが理由です)、どうしても金属製メッシュのような器でパン生地を受けることに起因します。
つまり、手粉が前面にちゃんと付いていないと、その部分がべた付いてしまい、器にパン生地がくっついてしまうライントラブルが発生してしまうからなのです。
だったら、パン生地がべた付かないように湿度を落とせばいいんじゃないの?、と思う方がいるかもしれませんが、パン生地の表面が乾燥してしまうと今度は次の成形工程でパン生地同士が結着せずに、最悪の場合はパンの内部に空洞のような穴が開いてしまうこともあるのです。
人の手というものは、”個人差”という大量生産には向いていない特性もある一方で、人の手でしかできない、あるいはそれでも人の手の方がいい、という有利な点もあります。
実際にスーパーやコンビニに売っているお弁当の工場では、大量生産にも関わらず、おかずの据え付け等は人の手が主流なのですから…。
話をパンに戻して、簡単そうに見える、パン生地への手粉付けの操作を完璧にこなすことができる装置は、いつ、どのようにして開発されるのか、楽しみです。