黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

冷凍パン生地 ~ 急速冷凍と緩慢冷凍

 凍結速度という考え方

 パン生地に限らず、一般的な食品を冷凍する際には、緩慢冷凍よりも急速冷凍が推奨されます。

 なぜでしょうか。

 一言で言ってしまえば、ほとんどの食品中に含まれる水分が凍ることで形成される氷の結晶サイズが成長し大きくなって、食品の持っている内部構造そのものを破壊してしまうからです。

 それであれば、凍結保存中のすべての工程において冷凍食品の品質保持のための氷結晶に関する条件が定量的に示されていてしかるべきと思うのですが、これがなかなか難しいところなのでしょう。

 ですから、冷凍障害の全体から見て、冷凍時の影響が大きいのか、保存時の影響が大きいのかも、明確な回答は出されていないのではないでしょうか。

 ところで、急速冷凍なのか、緩慢冷凍なのか、どのようにして判断すればいいのでしょうか。

 多くの文献には、[凍結温度~凍結温度‐4℃]の温度帯を最大氷結晶生成帯と呼んで、この温度帯をできるだけ早く通過させることを推奨する記述を目にします。

 考え方としては正しいとは思うのですが、私としてはどうもしっくりとこない。

 それというのも、例えば食品の温度を図る際、図っている点は正にピンポイントの点でしかなく、食品全体の冷凍条件を示すものではないからです。

 つまり、食品の部分部分で冷凍条件は異なるはずなのですが、それをたった1点の温度変化のデータからのみ判断するのは、あまりにも乱暴な気がするのです。

 以前に凍結速度を計算してみようとしたことがありました。

 用いたのはコンピューターによる数値シミュレーションです。

 ある単位体積の部位が凍り始めてから完全に凍結するまでの時間で、その部位の代表長さを割って求めました。

 言い換えますと、凍結している境界面が内側へ移動していく速度を求めた訳です。

 でも、まったく定着していません。

 実測できないことに加えて、別の形状のパン生地へ応用するには、プログラミングが複雑だったからです。

 しかも、当時はOSがWINDOWS以前のMS-DOSというもので、その時に使用していたN88-BASICは、今は既に走らせることも叶いません。

冷凍障害のパラメーター

  パン生地を冷凍・保存・解凍して使用する冷凍生地製パン法では、生地が受ける障害は概ね次の図のように示されています。 

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 つまり、冷凍時の操作条件としては、1.早く凍結させる、2.酵母が失活する温度以下に生地温度を下げない、です。