黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

冷凍パン生地 ~ コンピューター・シミュレーション①

数値シミュレーション

 パンの焼成であろうと、冷凍であろうと、生地内部で実際に起きている現象を目で見て確認することは非常に困難を伴います。

 こんな時は、コンピューターを使ってシミュレーションしてみると、指標の一つとして使えることもあります。

 下の図ですが、食パン用の玉生地を冷凍庫で冷凍した時の断面の内部温度分布を計算したものです。

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パラメーター 

 プログラムには、いろいろな条件を入力して 計算させることが可能です。

 ここでは、例えば、生地重量と形状、生地を載せるトレーの材質や厚み、トレー1枚当たりの生地数量、冷凍庫内の温度や風速、といったものです。

 そして計算するには、パン生地が持っている熱物性値がデータとして必要になってきます。

 それは、比熱、密度、熱伝導率、凍結時の潜熱といった物質固有の物性値です。

 細かいことをお話ししますと、それらの熱物性値は温度によって変化します(温度依存性)ので、温度の関数として計算式に与えてやらなければなりません。

シミュレーション結果

 さて、上の図に話を戻しますと、パン生地を載せるトレーには一般的なアルミニウム製のトレーを想定してシミュレートしてみました。

 アルミニウムは非常に熱伝導性の高い金属ですので、トレーを介してパン生地から熱が伝わることは十分に想定できます。

 この図の時間は、パン生地の一部が最初に凍結した時点を取っています。

 このパン生地は、トレーに接している生地底面部分が早く凍っているのが分かります。

 そして、この図は最終的に生地全体が凍結する時の内部温度分布を示したものです。

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 どうやら、パン生地の中心部というよりずいぶん生地の上部が凍結しきれないで残っている状態のようです。

 この状態は同条件でパン生地を冷凍してみて、実際に本当に生地は底面から凍っているのか、その後、生地の上面は凍結が遅れて未凍結の状態で残っているのかを確認しています。

 このようにパン生地を冷凍した時の生地内部におけます温度分布の変化が推測できるようになりました。

 そうなりますと、次のアクションは、この計算結果をどのように活用するかといった事が焦点となります。

 実は、結構、この計算結果は使えます。

 先に記載しています、パン生地内部におけます最低到達温度の分布や凍結速度の分布まで求めることができます。

 加えて、一定温度以上にパン生地全体を維持した条件で、凍結速度を速めるための温度変化とかを求めたり…。

(続く)