黒猫サンタさんのパン作りブログ

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冷凍パン生地 ~ 冷凍方法(番外編)

発泡スチロールのトレーに載せて

 今日は、以前にコンピューターシミュレーション(番外編)のところで紹介しましたケースについて解説します。

 通常は保温を目的に使用されることが多い発泡スチロールをトレー代わりに使用した時、パン生地はどのように凍っていくのでしょうか。

 そして、その時の冷凍条件はどのような評価となるのでしょうか。

 現実的には決して行うはずもないケースですが、興味本位で解析してみます。

 まずは、パン生地内部の各部位におけます凍結時間を下図に示します。

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 アルミニウム製のトレーを使用した時には80分程度で全体が凍結していたことと比較しますと、発泡スチロールのトレーに載せて冷凍した場合には実にその2倍程度の時間(160分程度)を要しています。

 ところで、このような凍り方をすると作業者としては生地が扱いにくくなることが考えられないでしょうか。

 つまり、露出した表面部分だけは30分程度で凍結していながら、生地全体が凍結しきるまで2時間以上の時間が必要となる訳ですから。

 冷凍庫からトレーごとパン生地を取り出して、生地表面を触ってみても中心部分までは凍結しているかが分からないので、厄介です。

凍結速度

 次に、ここでもパン生地各部位の凍結速度を計算してみます。

 パン生地の各部位が凍り始めてから凍り終わるまでの時間で代表長さを割った値を求めて、その逆数を下図に示しました。

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 まず、第一に 目に飛び込んできますのは、パン生地が置かれていた発泡スチロールのトレーに接していた部分で極端に凍結速度が遅くなっていることです。

 最終的に凍結する箇所で、凍結速度が最も速くなっているということはアルミニウム製トレーを使用した時と同様なのですが、位置については中心軸上で非常にトレー寄り(下方)にシフトしています。

 その他の特徴としては、露出している生地表面での凍結速度と、そのすぐ内側での凍結速度を比較すると生地内部へ進んでいくことに伴って 凍結速度は徐々に速くなっていく傾向がみられる点です。

まとめ

 今回の数値シミュレーションを行うにあたり、計算に入力したパラメーターとしては、トレーの材質・厚みの他、トレーに載せる生地玉の数量といった条件も加えました。

 日常的な業務の中では、トレーにできるだけ多くのパン生地を並べて一回の作業での処理数量を増やしたいといった要望が存在します。

 ところが、あまり多くのパン生地を詰めすぎると返って冷凍時間が掛かって効率が下がったり、さらには凍結速度の低下を招いて品質的にも劣悪な条件となる危険性が潜んでいます。

 興味本位で試したシミュレーションであっても、有意な結論が導き出される結果を得られることがあります。

 だから、科学はおもしろい。