黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

冷凍パン生地 ~ 冷凍方法④

パン生地を冷凍する時のパラメーター

  冷凍庫で食品を凍らせる時、通常、指標としては冷凍庫の温度を示す場合が多いと思います。

 何℃まで食品の温度を下げるか、を考えるのでしたら、全く問題はないのですが、食品の冷凍障害を抑える目的で凍結速度(いかに早く凍結させるか)を検討する場合には、その他幾つかのパラメーターに関しても検討する必要が出てきます。

 今回は、その中から冷凍庫内の風速について解説することにします。

 コンピューターに入力するパラメーターは数が多いので、一つずつ記載していますとそれだけでスペースを取ってしまいますので、ブログではポイントでの表記とさせていただきます。

 過日に記載しましたシミュレーション結果は、一般的な大型の冷凍庫内の風速(0.2m/秒)を入力して計算したものです。

 そして、小型の対流式の冷凍庫(低温恒温槽)で設定が可能な風速(1.0m/秒)を入力して計算した結果が下図のグラフになります。

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 風速が0.2m/秒の時と比較しますと、グラフの形状は類似していますが、全体的に早い時間で凍結していることが分かります。 

 風速は5倍になっていますが、おおよそ熱伝達率は風速の(1/2)乗に比例しますので、√5=2.23620679(富士山麓にオーム鳴く)倍となります。

 生地冷凍に要する時間としましては、半分を少し切る程度に短縮されています。

 やはり最初に凍り始めるのはトレーと接しているパン生地底面部分で、最終的な凍結ポイントは生地中心部よりは随分上方の位置となっています。

 そして、凍結し始めてから凍結し終わるまでの時間から凍結速度を計算した結果が下図のグラフとなります。

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 このグラフでも、凍結時間のグラフと同様に冷凍庫内の風速が0.2m/秒のグラフと比較しますと、 形状は類似していて全体的に低い値になっています。

 つまり、冷凍庫内の風速を上げることによって生地全体の凍結速度を速めることができたことになります。

シミュレーションの応用

 コンピューターによる数値シミュレーションは、実際に食品を冷凍したり、加熱したりしている訳ではありませんが、計算の精度が高ければ、これまで多くの時間と手間をかけて行ってきたいろいろなテスト測定がテスト区のバラツキもなく、再現させることができます。

 計算結果に誤差があったとしても、少なくともあるパラメーターを変化させた時の傾向とおおよその変化率は読み取ることができます。

 実際の製パンテストと併用して、コンピューターの計算結果を活用できれば、理論的な裏付けを付与することができるものと考えています。