黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

オーブンの特性(2) ~ コンベクションオーブン

コンベクションオーブン

 コンベクション(= 対流)の名前の通り、空気を媒体としてヒーター等の熱源から熱エネルギーをパン生地に伝えるオーブンです。

 このオーブンは、基本的に庫内の空気の温度が設定値に保持されれば安定してパンを焼成できますから、予熱時間はデッキ式オーブンと比較しますと短時間で済みます。

 ただし、そのことはパン生地の投入時などオーブンの扉を開ける際に庫内の温度低下が著しいことの裏返しです。

 オーブン本体の蓄熱量が小さいためです。

 従いまして、オーブンを選ぶ時の基準のひとつとなりますのは、炉内温度の復帰、つまりリカバリー時間と言えるのではないでしょうか。

 チェックポイントとして、ヒーター容量が挙げられますが、作業場の電気容量を増やしたくないと考える方も多かろうと思います。

 そうなりますと、小さい電気容量で炉内温度のリカバリーが早いオーブンを探すことになります。

 オーブンメーカー各社の技術力の見せ所となる訳です。

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 コンベクションオーブンを使った時のパンの焼き方は、上火・下火共に対流熱が主となる特徴が出てきます。

 下火は、伝導熱が主体のデッキ式オーブンと比較しますと天板に伝わる時間当たりの熱が非常に小さいことから、下火によるオーブンキックはデッキオーブンほど期待できません。

 一方、上火は対流熱で加熱しますので、オーブンの科学(その1 上火・対流)のところで記載しました通り、生地温度が低い段階では温度上昇が著しく、生地温度が上がってきた時点からは温度上昇が鈍くなってきます。

 結果として、サックリする食感の製品を焼成するには実に都合の良い焼成条件となる訳です。

 天板を載せる段数は、一般的に4段程度の機種が多いようです。

 理由としては空気の吸い込み口のサイズを(最近採用されている頻度が高かろう)ヨーロピアンサイズ(幅400mm)の天板に合わせると、ちょうど4段辺りが上下左右のバランスが取れる高さになる為では、と考えています。

 ところで空気の流れというものは、広い空間に設けられた吸い込み口に対しては方向性を持たないものの、噴き出し口に対しては明確な流れの向きが存在します。

 つまり、風の当たる部分は強く加熱され、風の当たりの弱いところは十分に加熱されない状況も出てきます。

 そのような不具合の対策として、送風ファンの正転と逆転を交互に繰り返す機種も出ています。

 時々、コンベクションオーブンの炉内温度を数ヶ所測定して、『ほら、我が社のコンベクションオーブンはこんなに温度ムラがないんですよ!』と説明しているメーカーの方に会うことがありますが、コンベクションオーブンの炉内に温度ムラがないのは当たり前です。

 加熱ムラは、温度のバラツキではなく、風速のバラツキで生じているのですから。

 炉内の風速については、概ね私の知る範囲では、国産の機種で~1m/秒、海外の機種では1~3m/秒といったように海外メーカーのコンベクションオーブンでは比較的高い風速になっていました。

 すみません、理由はよく分からないです。

 温度制御は、比較的容易です。

 前述の通り、炉内にはほとんど温度ムラが生じませんので、どの位置で測定しても大きな誤差が出ることは考えられないからです。