黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

オーブンの制御(1) デッキ式オーブン・上火

計測制御(センシング&コントロール

 オーブンに限らず、パンを加工する機械設備を良好な状態で動作させるためには、温度や湿度、重量、位置、圧力といった状態量を計測して、その計測値を基に制御する機能が必要になってきます。

 生産ラインにおいて計測(センシング)と制御(コントロール)はそれぞれ別の役割を持っているのですが、一対で取り扱われる場合も多いため、センサーやコントローラー単独での進歩が装置全体の性能アップに寄与することも少なくありません。

 ここでは、デッキ式オーブンの上火で一般的な温度センサーの果たしている役割を解説していこうと考えています。

温度センサー

 デッキ式オーブンの上火は、概ね下図のような構造となっています。

 焼成するパン生地の上部には、天井パネルで区切られた空間(焼成室)があり、そのパネルの上部に熱源となる電気ヒーターやガスバーナーが設置されています。

 天井パネルは、熱源からの直接の加熱を防ぐ緩衝板の役割を持っていて、比較的緩やかな加熱を安定して再現できるようになっています。

 もっとも、これはこれで問題があって、熱源から直接の加熱が理想とする生地温度上昇を安定して再現できれば、わざわざこのような複雑な構造にする必要はありません。

 しかも、せっかく高エネルギーの熱源があるにも関わらず、仕事もさせないで低いエネルギー源へ変換させているわけですから、当然省エネルギーの観点からも褒められた構造ではありません。

 今はできない理由がある(出力が高すぎて制御しきれない)ので、仕方なしと考えても将来的には対応していきたい課題です。 

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 それでは、ヒーターに電源が入った時点からの経時的な温度上昇変化を考えてみましょう。

 ①まずは、当然、ヒーター自体の温度が上昇します。

 ②続いて、ヒーター上部の天井壁が輻射熱と自然対流で暖められます。

 ③オーブン内の空間には強制的な空気の流れは発生しませんので、次は輻射熱によって天井パネルの温度が上昇します。

 ④、⑤その後は、オーブン内の高い位置から低い位置へと順次温度が上がっていく。

というのが温度上昇のメカニズムです。

 ここで、温度センサーの位置と測っているものを考えます。

 一般的にオーブンの温度センサーは焼成室の適度な高さの雰囲気(空気)の温度を測っています。

 私が言いたいことがお分かりになるでしょうか。

 オーブンの上火に関して、雰囲気温度で確実に計測できるのは対流熱だけです。

 確かに炉内が安定して一様な温度に落ち着けば、天井パネルの温度も十分に相関性はありますので、繰り返し使用しても同じような焼き方はできると思います。

 でも、温度設定を変えた直後などは確実にバラツキます。

 それでは、熱を加味した温度測定方法というものは、存在するのでしょうか、…私はあると思います。

 その答えは、折に触れ、解説していきましょう。