黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

オーブンの制御(3) 温度表示

良いオーブンって?

 こんなお話をよく耳にします。

 『当社のオーブンは、とても安定していますので、天板を入れた時にも炉内の温度はほとんど下がりません。』

 いやいや、そんなことが…、と思ってしまうのですが、これが案外と信じているユーザーの方々が多いようなのです。

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 確かにオーブン炉内の蓄熱量が多ければ、多少の熱エネルギーが外部へ漏洩したからといって大きく炉内温度が低下することもないでしょう。

 ただ、もしそれが事実だとすれば、上記以外のことも並行してユーザーへ伝えなければ、使っている時に『なにこれ!』と、なってしまいます。

 『当社のオーブンは炉内温度が変化し難いので、予熱に大変時間が掛かりますし、設定温度を変える時にも炉内温度はなかなか変わってくれません』、と。

 扉を開ければ、オーブン炉内でも外部の空気が流入して、手前側の空間は瞬時に温度が低下します。

 当たり前の話なんです。

 炉内温度は、パンを焼成する時の指標です。

 ですから、パンの焼成工程全体を見た時にユーザーが理想とするパンを焼くための温度制御をしてくれるように、表示(計測)もされているべきなのです。

 最初の話に戻りますが、扉を開けてパン生地を載せた天板を投入した際、炉内にはオーブン手前側のように温度低下の大きい箇所と、オーブン奥側のようにそれほど温度が低下しない箇所ができます。

 それと、炉内の空間でも壁面に近い箇所では温度の低下は緩やかです。

 仮に温度センサーが炉内の一番奥側の壁面近くにあると、オーブン内の温度はどのように制御されてしまうのでしょうか。

 温度の表示は下がっていませんから、当然ヒーターが発熱することはありません。

 一方、手前側は温度が下がっていて、適正な焼成温度から考えますと温度が上がってきてくれないと良いパンを焼くことができなくなってしまいます。

 それでは、炉内の手前側に温度センサーがあると、どうなるでしょうか。

 扉を開けた時点から表示温度はどんどん低下して、えっ、と思うような温度を指してしまいます。

 天板を入れ終わって扉を閉めると、そこから炉内温度は再度上昇しますが、オーブン全体の実態とはかけ離れて、とてもその温度で焼いているという状況とは思えません。

 結論をお話ししますと、国内だけではなく海外のメーカーも含めて、デッキ式オーブンの上火温度制御の方法はまだまだ未完成です。

 オーブンの構造(壁面、天井パネル、排気等)や炉内温度を計測する方法に関して、技術開発の余地は十分に残されていますので、オーブンメーカーの各社には(耳触りの良いトーク以上に)ユーザーに寄り添った装置設備を市場に送り込んでほしいと願っています。

 あまり多くは語れませんが、ヒントは熱と温度を分けて考えることです。