黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

オーブンの制御(4) コンベクションオーブン(温度と風速)

温度のバラツキ・風速のバラツキ

 コンベクションオーブンは、その名(convection)の通り、空気を媒体とした対流熱伝達によって炉内のパン生地を加熱するオーブンです。

 パンを入れる焼成室には高温の空気が循環していますが、その風速はオーブンメーカーによってまちまちです。

 私がこれまで見てきた記憶では、概ね国産メーカーのオーブンでは風速が1m/秒程度、海外メーカーは1.5~3m/秒といったところでしょうか。

 ところで、風速が2倍、3倍と聞くと、なぜそれほどまでの差があるのか、と思ってしまいますが、もともと標準的な風速の値があったかどうかも定かではありませんので、実用上、不具合の無い範囲で各メーカーが主張する特徴に沿った設計になっていると理解しています。

 ただ、補足しておきますと、対流によります熱伝達係数は√(風速)に比例しますので、風速が2倍になっても熱伝達率は1.414倍、3倍になっても1.732倍に留まります。

 

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 コンベクションオーブンの加熱ムラを議論する際、最も重要なファクターは何でしょう。

 ある展示会で、自社オーブンの炉内のいろいろな箇所に温度センサーを取り付けて、温度差がほとんどないオーブンと力説しているところを見たことがあります。

 当然です。

 仮にこの結果で温度差が見られるのでしたら、それはよほど珍しいオーブンです。

 撹拌されている上に、比熱の低い空気の温度を測っているのですから。

 対流を起こすファンの形状は、大きくプロペラファンシロッコファンに分けられます。

 プロペラファンは、扇風機に付けられている形状のファンで、大きな圧力差は得られませんが、送風量を大きく得ることができます。

 片やシロッコファンは、レンジフードなどの換気機器に使用される、縦長の細長い板状の羽根が筒状にとりつけられているファンのことです。

 送風機の中では圧力差が得られるタイプですから、ダクトを通して排気を行う際には適したファンと考えられます。

 コンベクションオーブンの対流ファンには、一般的にシロッコファンが採用されています。

 これは、オーブンの設計上、サイズのコンパクト化を図る目的で焼成室以外を省スペース化するためと考えられます。

 ところで、この対流ファンですが、回転方向があるが故に高さ方向に風力の強弱ができてしまいます。

 図のように、反時計回りの回転をしていると四角い箱のオーブン内では右上と左下から焼成室へ入る空気はどうしても勢いが付いてしまいます。

 結果として、そのままでは風力の強いところにあるパン生地が濃く焼けてしまい、逆に風力の弱いところにあるパン生地はなかなか火が通らないことになってしまいます。

 現状では、オーブンメーカー各社でファンを正転⇔逆転させて、焼きムラを緩和させる工夫を施したりしていますが、ここにもまだ改良の余地は多分に残されていると思います。