黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

中種ミキシング

目的:混合

  大手製パンメーカーの大多数が採用している(70%)中種製パン法ですが、その工程の最初に位置しているのが、中種のミキシングです。

 同じミキシングといっても、本捏ねとは目的とする意味合いも取り扱う生地の物性も大きく異なっていますので、改めて記載することにします。

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 上表は、食パン配合の中種に関する部分を抽出したものですが、ミキシングしてできる生地は下図のようにほとんど流動性を持たない物性の生地となります。

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 ここでのミキシングの意味は混合であり、混捏ではありません。

 速度も概ね低速で回して、あくまで混合の視点からほんの少し中速を使用する程度です。

 この工程における生地作りの目的は、均一の混合することと規定の温度で生地を降ろすことです。 

 どちらも重要な項目なのですが、時間の経過と共に進行していく均一性と異なり、温度は周囲の環境によって調整の技術が必要になってきます。

 その意味からも、低速以外の温度の変動が大きくなるミキシング速度は必要最小限に留めておいた方が無難といえます。

 ミキシング中にフックと生地、ボウルと生地の間で接触抵抗の力が加わった時、通常は摩擦熱が発生します。

 電気、圧力、運動、といろいろな形態のエネルギーが存在しますが、それらのエネルギーの中でもっとも安定している、つまり変換されやすいエネルギーは熱エネルギーと言われています。

 電気エネルギーがモーターで動力に変換されるときにも熱が発生しますし、その変換された動力で動いているフックがパン生地を押し込むときにも摩擦熱を発生させます。

 温度管理が非常に重要な中種ミキシングにおいて、できれば発熱の影響を小さく留めておきたいと考えれば、低速中心の設定になる所以です。

ミキサーに求められる機能

 ミキサーの動作を、押す、延ばす、切断するといった分類で分けた場合、混ぜる作業に必要なのは主に延ばす動作であり、他の押したり、切ったりといった動作は省くことができれば効率的と考えられます。

 その意味では叩きつける動作を伴わない(押す動作が比較的少ない)スパイラルミキサーは、機能としては中種ミキシングに適していると考えています。もっとも、縦型ミキサーや横型ミキサーでも低速で生地を叩きつけることはないのですが…。

 中種ミキシングでは、基本的に初期の水温、粉温度、ミキシング中の温度上昇から捏ね上げ温度を調整します。

 ジャケット冷却を使って、生地温度を下げる操作は一般的にしません。

 中種生地内の温度のバラツキを防ぐためです。

 従いまして、夏場に粉温度が上して0℃の水でも希望の捏ね上げ温度を超えてしまうような場合には、給水の一部を氷(できれば、フレークアイスのような塊になっていない形状のもの)に置き換えて使用します。

 ところで、ミキサーのジャケット冷却が中種のミキシングで使用できない理由はミキシング終了時にボウル壁面の温度が低いからです。

 つまり、ミキシング終了時にボウル壁面の温度が生地温度近くまで上昇していれば問題はないことになりますね。

 以前にもお話ししましたが、ミキサーの動力負荷から摩擦熱はリアルタイムに計測できます。

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