デバイダー (生地分割のメカニズム)
手作業での分割は、作業者が竿秤とスケッパーを使って、大分割された生地からテンポよく一定重量のパン生地を量り分けています。
私には見慣れた光景なのですが、製パン工場におけます連続生産ラインでは、この作業とは少し異なった方法で生地を分割しています。
機械を使っているから当然だろう、と思われるかもしれませんが、私が言いたいのはそこではなく、量り分けている単位のことなのです。
前述で、一定重量の生地を、と記載させて頂きました。
そう、生地の重さを量っているのです。
パン工場だって、生地の重さを一定重量に揃えるのでは?、と思われるかもしれませんが、多くのパン工場ではパン生地の重さではなく、体積で分割しています。
フロアタイムを取ってグルテンの結合を回復させたパン生地は、ボックスエレベーターから分割機:デバイダーの上部にありますホッパーへ落されます。
ホッパーの下部は、デバイダー本体の生地室とつながっており、生地室とホッパーを分けるトップナイフとプランジャーが引かれることでパン生地が生地室へ流れます。
次にトップナイフがホッパーと生地室を区画して、続いてプランジャーが押されます。
生地はポケットと呼ばれます空間に押されて、小ラムがストッパーに当たるまで押されてできる容積が分割すべき生地重量に相当します。
パン生地が十分にポケット内に押し込まれたところで、ポケットは下方にスライドして所定の重量の生地を分離します。
そして生地が排出されたところで、小ラムは先の位置に戻り、次の生地が押し込まれてくるのを待ちます。
あとは、同様の動作を繰り返すことになります。
課題
連続生産ラインでパンを製造する際、往々にして『機械耐性』という言葉を耳にします。
人の手作業と違って、機械で生地を扱う訳ですので、意図せず生地へのダメージが掛かるケースが出てきてしまいます。
上図では、2番目のサイクルに移行する際、生地室とホッパーを区画しますので、必ずパン生地はカットされることになります。
さて、イメージしてみましょう。
パン生地は、どのようにカットされるのでしょうか。
手作業であれば、おおよその重量に分割後、少量の生地を加減する程度ですが、デバイダーの場合は1回に分割される生地量をホッパーから生地室へ流そうとすると生地室へ移動する距離は至って少ない状況となります。
つまり、例えるならペラペラの煎餅のような薄さでスライスされるイメージです。
みなさんはどう考えますか?
ペラペラの煎餅のようにスライスした生地を集めて、いいパンができると思いますか?
そこで、日本の製パン機械メーカーは様々な改善策を考えました。
それは、次に解説します。