黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

中間発酵(続き 搬送)

OHP(搬送)

 パンの連続生産ラインでは、ベンチタイムを搬送機能の付いた装置で取ることになります。

 OHP(オーバー・ヘッド・プルファー)が、その装置なのですが、形状としては空間をできるだけ利用してスペース効率を上げる構造になっています。

 温湿度条件に関連する空調機能に関しては前回に解説しましたので、今回は搬送機能について記述することにします。

 パン生地の分割・丸目時におけますダメージにもよりますが、一般的なベンチタイムは20分程度ですので、時間当たりの生地処理量に合わせて、1/3時間分の数量を蓄えられるパケット(包み)数が必要となります。

 下図にもありますように、パケットは横列に8個とか10個とか連なった状態で構成されており、これが搬送のドライブチェーンやベルトにつなげられて移動していきます。

 そして、スペース的にも有効に使用するため、ドライブは矢印で示しましたように縦横に移動する長さを確保して、中間発酵の時間を稼ぐような設計が施されています。

 ドライブは一連の経路を移動していきますので、横方向に温度や湿度のバラツキがなければ、パケットに入っているパン生地はすべて同等の環境条件下で休ませることができることになります。

 なお、下図を見て頂ければ、空調を行うべき空間が単純な形状ではなく、均一な温度湿度の環境を作り出すことが簡単ではないことは理解して頂けるかと思います。

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異物混入に対して

 食品衛生の課題に関しましては、また改めて解説しようと思いますが、(構造の設計に掛かる部分について)ここでも少しだけ触れておきます。

 パン生地が直接触れるパケットは、生地の表面に付着しています手粉と生地に練り込まれています油脂の影響で、メッシュの目の部分が詰まってしまう事が多々起きます。

 このままの状態では、堆積しました粉と油脂の混合物がいずれ剥がれてパン生地に付着してしまいます(異物混入クレームになってしまいます)。

 この為、日常的な作業としてパケットの清掃が必要になってくるのですが、結構な数のパケットがあり、しかも生地の配合や生産量によっては時間当たりの堆積量も結構な量となってきますので、毎日の製造作業が必要となってくるケースも珍しくありません(かなり大変な作業です)。

 自動のパケット清掃装置も存在しますが、製造の確実性といった点では人手による作業には及ばないのが実状です。

 当然、生地配合中の油脂が多かったり、ラインの稼働時間が長かったりしますと堆積量が増加する方向へ推移することは間違いありません。

 そのため、OHPの構造としてベンチタイムの中間地点でパン生地を移載させる機能を付けて、堆積量を低減させる改良が施された機種も開発されています。