黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

成形(食パン)

食パン用モルダー

 パン生地の成形工程には、実に様々な加工方法と製パン機械設備が存在します。

 伸ばしたり、切ったり、巻いたり、包んだり、と。

 ここでは、まず日本で生産される主な製品アイテムを対象としました加工メカニズムと装置仕様について、順次解説していこうと思っています。

 やはり、最初は日本国内でパン用小麦粉量の半分を消費する食パンについて記載していきます。

 ベンチタイムで休ませたパン生地は、グルテンの結合が回復し、力を加えても簡単には膜が破れない伸展性を備えるようになります。

 また、20分ほどの発酵時間で膨化しましたパン生地は硬さ的にも伸ばし易い物性に変化しています。

 さて、このパン生地をモルダーの圧延ローラーでガス抜きをしながら伸ばすのですが、ここでも人手による操作と機械による処理に若干の違いが見られます。

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 小型のモルダーにパン生地を手で投入する場合、パン生地はできるだけ圧延ローラーの近くまで持っていき、引っ張られるタイミングでパン生地から手を放すように教えてもらいました。

 ローラーで圧延する際の方向性を出すためです。

 つまり、自由落下の状態でパン生地を圧延ローラーに投入した場合、本来縦方向に延ばしたいところ、ローラーの周速度を超えて落下すると縦方向に流れ切らない生地部分が横方向へはみ出していきます。

 結果的に、横方向へもパン生地を伸ばしてしまう事になってしまいます。

 後述のクロスモルダーの解説でも記載しますが、続くロール成形での生地ダメージを考慮しますと、この圧延ローラーの部分では、パン生地をできるだけ縦方向に伸ばしたいところです。

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 ところで、OHP後のパン生地の形状が、高さ:h、外径:d、とした場合に、d/h = 2 であったところ、このパン生地が圧延されて、d/h = 25 となると、どのようなことが起きるでしょう。

 まずパン生地の表面積は、圧延前の形状の時と比較して、8倍の面積となります。

 このことが何を意味しているか。

 つまり、圧延前に手粉が付いていないパン生地が全体の7/8の部分で露出することになります。

 ラウンダー出口において、パン生地全体に手粉が付着できていたとしても、新たに元の面積の7倍の部分が露出してしまうのです。

 対策としては、圧延ローラーを多段式にして急激な表面積の拡大を避けたり、ローラーに手粉を振って、生地のべたつきによるトラブルの防止を図っています。

 やはり文章が長くなってしまいましたので、次の図の解説は次回に持ち越しとさせて頂きます。 

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