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セントル ザ・ベーカリーの食パン
昨今の食パン専門店ブームの火つけ役として注目されています、銀座のセントル ザ・ベーカリー。
先日に家族が東京に出掛ける都合に合わせて、ここの食パンを買ってきて、とお願いしました。
ここで販売されているパンは2斤サイズの食パンが3種類で、北海道産小麦のゆめちからを使用した角食パン:角食パン(864円)、アメリカ・カナダ産小麦使用の角食パン:プルマン(864円)、山型のイギリス食パン:イギリスパン(756円)と、なっています。(価格は、税込み)
今回購入した角食パンは、湯種・液種法が採用されているとのこと。
湯種、液種共に、製造の手間は掛かりますが、仕込んでから使用までの時間のアローワンスは長く取れますので、安定した製品を造るには合致している製法です。
ネットのニュースによりますと、この食パンは本捏ねをする際に、水ではなく脱脂乳を使うそうです。
オーナーが経営する北海道の美瑛の牧場では、バターの副産物として脱脂乳ができるので、フレッシュな状態で手に入るためらしいのですが、脱脂乳は乳糖を含むのでパンの着色がよくなるそうです。(確かに上面の焼色は、やや濃いめとは思います。)
製品はスライスされていませんので、やや厚切りの幅にカットしてトーストしました。
クラストは全体的にやや色が濃いのですが、それが厚いといった感じには至りません。
食べてみますと非常に歯切れが良くて、私がこれまでに食べてきました食パンの中でも確実に上位にランクされる食感です。
食味も発酵による熟成した部分と褐変化した部分のバランスが良くて、いい意味で癖がなく、(私の主観ですが)とてもおいしいです。
嬉しい発見
(トースト前に)クラムを見てみますと、内相は非常に目が細かく、膜も薄く伸びています。
このようなパンは、クラムが白く見えます。
トーストして食べてみますと、とにかくソフトな触感がダイレクトに伝わります。
しかも、買ってきてもらって2日目の時点でも同じように感じましたので、湯種と液種の効果が…、と思いながらも、もうひとつ気になる点が…。
成形方法は俵成形のように見えたのですが、もしそうだとすると成形には非常に工夫をされているのでは、と思ってしまいます。
以前に食パン成形の解説のところで、圧延でのガス抜きについて述べましたが、薄い膜を造るために薄く伸ばそうとしますと十分に伸展性のある生地の造り方と共に、伸ばされた後の生地のロール成形の方法が課題になってきます。
つまり、ロール生地の長さが出てしまったのでは、俵成形ができないはずなんです。
いやいや、想像の域を出ませんが、試してみたい成形方法も考えられますし、これを連続生産ラインへ導入できる装置設備が開発できたら、別の意味でおもしろいですよね。(工学屋さんは、こんなことを考えているのです!)
成形に気を取られ過ぎて、クラムの食味について書き忘れるところでしたが、傾向はクラストと同様に小麦本来の味と発酵のバランスが取れていて、どちらも目立ち過ぎるわけではなく、おいしく頂けました。
前述のニュース記事では、パンには誰もが楽しめる間口の広さのほかに、手頃な価格で外国の食文化や、高級レストランの美食の一端をかじることができるという魅力もある、との記載がありました。
その魅力を、より多くの方々に伝えられれば、と思います今日この頃です。