この木箱…、後ろからコードが出ているのが、気になります。
少し引いてみますと、奥には制御盤と計測用のデータロガーが見えてきて…。
実は、これ、食パン焼成の実験で使用している焼成装置、言い換えますとオーブンです。
この装置、結構、いろいろなデータが取れるんですけど、今日は概要のみ解説します。
石で作ったオーブンが石窯ならば、木で作れば…
そもそもオーブンの定義ですが、『熱した空気または壁面などから発する赤外線によって食品を加熱し、焼いて、または乾燥を行う閉じた空間の調理器具』と、あります。
この写真を見て、空間は?、と思われるかもしれませんが、食型の縁に沿って少し設けてあり、このスペースも重要な意味を持っています。
どこから説明すれば、と思ったりもするのですが、石で作ったオーブンを石窯(オーブン)と言うのであれば、木製のオーブンは木窯?、って、…そこですか!
安心してください、燃えませんよ!
まず、オーブンの材料に木材を選択した経緯ですが、主に以下の理由によります。
1.加工がし易い。
時間を掛けず、経費も抑えて、となりますと、加工のし易さは大きな要因です。
2.比熱(結果として、装置の熱容量)が小さい。
パンを焼いている時に発生する熱が、装置に蓄えられないようにするためです。
3.熱伝導率が低い(断熱性が高い)
これは、純粋に省エネルギーです。
地球に優しく、パンを焼きたい気持ちから。
4.パンを焼く目的に対しての耐熱性がある。
木材の変性温度は180℃程度と言われています。
このオーブンの使用温度は、通常の上限で150℃ですから、この使用条件下での耐熱性はOKです。
安心してください、燃えませんよ!
なお、150℃でパンが焼けるの? といった疑問があるかもしれませんので、それは追って解説していきます。
5.木で作られたオーブンを見たことがない・・・! 作ってみたい!
もしかしますと、これが最大の理由なのかもしれません。
しかし、思うのです。
世の中にないものを創造することで見えてくる、次の世界があるのでは、と。
作ってみたいというワクワク感が、新しいことに取り組んでいく力になってくれていると感じています。
では、今回、焼いたパンの説明等は、次回以降にしっかりと説明させて頂きます。
それと、学会等で未発表の計測データはなかなか公表が難しいものですが、温度や重量、熱流束変化の計測データについてもできるだけ出していくつもりですので、ご興味のある方は、またお越し下さい。
今回の装置は、プロトタイプ(試作機)ながら、今後の継続的な使用も考慮して、実用機としての仕様変更も検討中です。
もしもですが、私が将来にパン屋さんを開店することになったら、この木窯オーブンで焼いたパンが店頭に並ぶかもです。
そんな未来を想像しながら、今日はこのあたりで…。