最近のヒット商品・・・?
最近のホールセールベーカリーの製品を見ていますと、山崎製パンのミニサイズのサンドロールやルヴァン種を使用した製品以外に、正直なところ、あまり目を見張る、ときめいたパンに出会っていない気がしています(あくまで、個人の意見です)。
それ以前ですと、私の中ではタカキベーカリーの石窯パンとか、敷島製パンの国産小麦:ゆめちから使用のアイテム群といった頃にまで遡ります。
ヨーロッパでは、製パン設備の技術開発から端を発して、トラディショナルなパンにちょっとしたブームが起きているようなのですが、今後の日本ではどうなのでしょう。
もっとも日本でのトラディショナル(伝統的)な製品となりますと、少々趣きは変わってきますが…。
半面、リテイルベーカリーでは話題は豊富ですね。
あちこちに足を伸ばして、いろいろと勉強させてもらおうと思っています。
包装製品のアイテム群
さて、私自身がかつて大手製パンメーカーに所属していたこともあって、食料品の買い物でスーパーに行きますと、まず最初にパンコーナーを覗いてしまいます。
ところで、それなりの高確率でパンコーナーの入口近くにはリテイルベーカリーが配されたスーパーが多いようです。
そのような訳で、市場に多く出回っているパン製品群は比較的身近に見ることができるのですが、今回は大手のホールセールベーカリーが出している製品について、記載したいと思います。
各スーパーに卸しで提供している製パンメーカーの製品は通常包装されて納品されています。
この供給の形態は、パンの消費期限を保証するためには必須の条件ですが、パンの品質に対してどのような作用があるのでしょうか。
パンを包装して密封するということは、当然のことながら外部との物質(主に水分)の移動は遮断されるということです。
そうなりますと、製品内部に生じている含水率の分布(バラツキ)は、平衡が保たれる状態に戻ろうとする作用が働きます。
この拡散に関する法則をフィックの法則といいます。
ここで包装されたハード系の製品について考えてみます。
ご存知の通り、ハード系の製品の特徴は、外側のクラストのバリっと割れるような食感にあります。
ハード系のパンに限らず、焼成時に生じたクラスト(乾燥)とクラム(湿潤)の含水率の差は、クーリングを取った後でもしばらく継続されています。
それが包装されてしまいますと、内外の含水率が平衡を保つようにクラムからクラストへ水分の移動が生じます。
その結果、ゴムのようなクラストの製品ができてしまいます。
もっとも、トースターで再加熱すれば、そこそこ食感も戻りますが…。
日本の菓子パンでも
似たような条件にさらされているアイテム群にメロンパンがあります。
メロンパンの表面に被っていますビス生地は、乾燥していればこそのバリっとした食感が生命線です。
包装紙の中で、クラムからビス生地へ水分が移動しますと表面がベタベタして(この現象を業界では泣きと呼んでいます)、もうメロンパンとしての評価は急降下です。
定番商品であるメロンパンの品質の確保は、各メーカーが苦労しているところですね。