製パン機械設備の授業
今年で3年目に入りました、私の製パン機械設備の授業ですが、先日にも記させて頂きましたように、授業中の生徒のみなさんの反応を見ながら、次の授業の資料をあれこれと修正しています。
当初は、(私としては抑えたつもりなのですが)何ページかの資料に計算式がそこそこ載っていて、教室の空気が冷ややかだったんですね。
別に計算式の説明をすることはほとんどないのですけど、記載されている存在自体が受け入れ難い雰囲気のようで…。
グラフもある意味同様なのですが、視覚的に入ってくるところもあって、まだ使い方によっては有効なツールのような気がしています。
上のグラフは、レオロジーという学問の分野(物体の流れの科学)で、よく示されるグラフです。
このグラフだけを見ていますと、どうやったら製パンの技術と結びつくの? と、思われる方も多いのではないでしょうか。
それでは、連続生産ラインのコンベア上でシート生地を圧延する場合、深く考えることがなければ生地は均等に伸ばされていくように考えてしまいますよね。
果たして、イメージ通りに事が運んでいるのでしょうか。
圧延ローラーの前後でコンベア速度に違いはありませんので、シート生地は厚みが小さくなった分、横方向の幅が大きくなります。
その際、ローラーの近くにある生地は押されて動く速度が速い反面、コンベア近くにある生地は変形の速度が遅くなります。
つまり、上部の生地は良く伸ばされて、下部の生地はあまり延ばされないことになります。
さてさて、このシート生地の断面を進行方向から見たら、どのように見えるのでしょうか。
少し時代を遡りますと、シート生地の圧延は、(バッチ式で)手間が掛かってもリバースシートを使って製造した生地の方が品質的にいいものができることは、多くの作業者が知っていました。
ですから、なかなかホールセールの製品がリテイルベーカリーの品質に追い付けない状況が続いていたと言っても良いでしょう。
最新のストレッチャーの構造については、日を改めて解説することにします。
作業をマスターしていく過程において、『慣れて』『学んで』『創っていく』それぞれの段階からステップアップする時では、往々にして新たな発見があるものです。
生産ラインで作業している人達でも、疑問に思っていることが装置の進化という形になっていくことは十分に起こり得ることなのです。
月刊誌Pain(パン)
私が日本パン技術研究所発刊の月刊誌Pain(パン)の連載を始めてから、そろそろ4年が経とうとしています。
これまでの連載の期間とタイトルは以下の通りです。
2015年4月号(~1年間)『知って得する製パン機械設備のサイエンス』
2016年4月号(~1年間)『機械工学屋さんの製パン講座』
2017年7月号(継続中)『製パン機械企業の訪問記』
その長かった執筆活動も、現在取り掛かっています7月号の原稿をもちまして(今回のパン学校の授業の後に企業の取材訪問を行って)、一度お暇を頂くことになりました。
次の連載(一応、構想はあるのですが)があったとしましても、さすがに充電期間が必要ですので、しばらくはネタ集めに頭を切り替えて、企画が通りましたら、また頑張ろうと思っています。