きれいな層を出すために
折込み油脂にしろ、フラワーシートにしろ、シート生地を使って織り込み成形をするような場合には、できあがりの層の出方が最終製品の品質の良し悪しを確定させることもあって、非常に気になるところです。
一般的に2つ折りとか、3つ折りとかの方法が採られますが、層のでき方について解説します。
これって、知ってそうで、けっこう間違えて覚えている方もおられるようです。
まずは、生地に折り込みのシートもしくは油脂を挟みます。
この時点で、2層になります。(下図は、リテイルベーカリーで主に使われている方法です。連続生産ラインではシート生地を繋げますので、両端を折って包み込みます)
上図の方法で折り込みシートを包みますと、生地を閉める部分がシート生地の端に来ません。
シート生地の端の部分は層になっていませんので、この部分の割合を小さくすることはより多くの層を最終製品に出させることに繋がります。
その言葉の通り、2つ折りは折り込みシートを挟んだ状態で、真ん中から追って2重に重ねること、3つ折りは長さを3等分して3重に重ねることです。
パン生地同士が重なる部分は層になりませんから、できる層の数は、2つ折りで、
2×2-1=3層
3つ折りで、
2×3-2=4層
と、なります。
ですから、そのシート生地を延展して薄く伸ばし、2回目の3つ折りを行いますと、
4×3-2=10層
同様に、3回目の3つ折りを行いますと、
10×3-2=28層
と、なる訳です。
リテイルベーカリーでよく見掛けますリバースシーターを使用する場合は、作り手である作業者の意図が比較的反映されますが、大型製パン工場へ導入されていますパラレルパイラー(揺動機)という装置を使用する場合、層の折り方に少し制限が掛かります。
2つ折りと4つ折りはできても、(あくまで)正確な3つ折りはできないのです。
上記の28層に近付けるには、4つ折りを2回行って、
2×4-3=5層
5×4-3=17層
そして、2つ折りを1回
17×2-1=33層
と、17層か33層ということになります。
3つ折り3回の28層の成形は、デニッシュペーストリーでは最もポピュラーな方法ですので、悩ましいところです。
ただし、近年では少し仕様が異なる装置で連続生産ラインでも3つ折りが可能なライン設備が出てきました。
ただ、現時点でその装置の解説の中に、そのような内容の記載がありませんので、その解説をアップするのは少し時間を頂きたく、…ご容赦下さい。