ミキサーの選定 ~ 中国編
中国に来るようになって、少し前から気になっていたことがあったのですが、今回の展示会参加でその思いは確定的なものとなりました。
製パン関連の展示会ですから、当然、ミキサーも数多く出展されているのですが、中国では小ロットでパン生地を仕込むミキサーはスパイラルミキサーと決まっているような感じです。
日本でもスパイラルミキサーは使用されていますが、より一般的なのは縦型ミキサーではないでしょうか。
これは、ミキシングの最終段階:中高速で生地をフックでボウルに打ち付ける動作がありますが、この際にパン生地に掛かる圧力が日本式の生地作りに影響していると考えています。
低速のミキシングだけでは生地ができません、これは広く知られている事象です。
流体(パン生地)に所定の圧力を与えるためには、一定以上の速度が必要になるから、と私は理解しています。
日本式のパンが世界的にも注目を集める中、ミキサーの違いが特徴を出すためのひとつのポイントになっている気がしてなりません。
そして、もうひとつ重要なのは、もし連続生産ラインでの製品を想定して、ラボでの製パンテストを行う時のミキシングです。
横型ミキサーは、中国でも一般的に使用されているようですが、パン生地を混捏するメカニズムは、スパイラル式よりもどちらかと言いますと縦型ミキサーのそれに類似しています。
ですから、生産ラインで横型ミキサーを使用している工場の試作室で製パンテストを行うのであれば、縦型ミキサーを選定すべき、という結論に至る訳です。
どうも、中国市場で縦型ミキサーはケーキ用として浸透しているようです。
でも、形状が同じならパン用としても使えるのでは?、と思われた方もいるでしょう。
上の写真を見て下さい。ボウルの固定はただ載せているだけ、そしてボウルには帯板もないので強度的にはまず耐えられないと思います。
ちなみに、このメーカーは中国大手の製パン機械メーカーだそうですが、パン用での使用は”壊れる”という理由で禁止されているそうです。
あの”パンッパンッパンッ!”とパン生地を打ち付ける状態を知る製パン作業者は中国にはほとんどいないということかと思います。
その他に、少し気になったものを数点紹介します。
えっ、あのベイクテック(アメリカ)が小型ミキサーを作った?、と思いきや、全然別の会社でした。
日本のカフェでちょっとしたブームになりましたコンパクトシステム(3段程度のコンベクションオーブン+1枚差しのデッキ式オーブン+5~6段程度の発酵室)が、しっかりとラインナップされています。
大阪のベーカリーで話題になりましたネコ型の食型も見られ、隣にはハート形も並んでいました。