工場直売の焼きたてパン屋さん
名古屋駅近くの催事場で家族が買ってきてくれた食パンがKANIEベーカリーの湯種食パンでした。
このパン屋さんですが、主にホテル、結婚式場、レストランといったところへ業務用のパンを卸しているそうです。
元は、蟹江製粉という製粉会社の製パン事業部として設立されたそうで、店舗は蟹江製粉の工場に入っているみたいです。
ところで、工場直売と聞きますと、実は以前に勤めていました製パン会社の工場でも敷地の端の方に店舗を構えていて、その日の生産で出た余剰分を安価で販売していたことを思い出します。
工場としましては、その日の受注分に対して欠品を出す訳にはいきませんので、どうしても必要数+余裕分を含めて生産することになります。
当然のことながら、必ずと言っていい程、最終的に作り過ぎた生産分が残ってしまうのですが、それを工場横に併設された店舗で販売する訳です。
考えてみますと、この製品、見た目はスーパーマーケットやコンビニで販売されています商品と同様に包装された状態なのですが、間違いなく焼き立てパンです。
包装直後の状態のパンは、焼成後に生じる生地内部の水分移行がまだ進んだ状態になく、この時点ではほぼ焼き立てパンの『外はパリッ、内はしっとり』の状態にあります。
もし、製パンメーカーの工場が近所にあって、そこの工場製品を買うことができるのでしたら、製パンメーカーの商品の楽しみ方のひとつになるかもしれませんね。
話を戻して、今回のKANIEベーカリーですが、卸している先が小売店という訳でもなさそうですので、なかなか上記のように小売店で売っている製品と比較して、といった楽しみ方は難しいかもしれませんが、業務用製品の焼き立てを楽しまれてはいかがでしょうか。
ところで、ここの商品は結婚式場に関連して、紅白のパンがラインナップされています。(ホテル用Marrage Bread:紅白のロールパン)
紅色のパンは、清酒や味噌に用いられる麹菌の仲間:紅麹(べにこうじ)が使われているようです。
紅麹は、紹興酒(しょうこうしゅ)などの醸造に用いられていて、中国では消化を助け、血行をよくする漢方薬として古典医学書にも記載されていますし、沖縄では病後の滋養食として王侯貴族に珍重された「豆腐よう」に使われています。
さて、買ってきました湯種食パンですが、焼色は少し濃いめです。
パンフレットに記載されていましたのは、1.5斤(300円 税込)でしたが、これは2斤サイズでしたね(業務用の商品が売っていた?)。
包装もシンプルで、オーブンフレッシュベーカリーというよりは(こちらも)業務用の商品といった感じです。
紹介文には『100℃の熱湯で捏ねた生地を一晩寝かせたもっちり食感』とあります。
なかなか詳細のノウハウは記載されないでしょうから、推して知るべし、といったところでしょうか。
他社も含めた平均的な(最近の)湯種製法の食パンと比較しますと、あまり生地の甘さは感じられませんでした。
小麦の味と発酵の風味を楽しみながら、オーソドックスに湯種の食感を覚える製品です。
以前に本間製パンのレストラン食パンでも解説しましたが、製品の底面にボタンの跡のような凹みが見られます。
これは、決して不具合とかではなく、食パンを安定して焼成するための痕跡です。
この解説は、近い内に測定データを示しながら、解説することにします。