混ぜ込み食パンの作り方を独自に考えてみる
既に一般的なパンの作り方は覚えてしまっていますものの、時として(できれば)真っ新の状態から自分で考えたパンの作り方を突き詰めていきたい、などと考えてしまいます。
今回、妻の実家から自家製のブルーベリージャムを送ってもらいましたことから、混ぜ込み(?巻き込み)の食パンを作ってみたいと思います。
ちなみに大手製パン工場の連続製パンラインでは、このような製品をあまり手掛けてはいませんので、できればライン生産を視野に入れた製造方法につながれば、とも思ってしまいます。
もちろん、焼成時の熱量計測に係るデータ収集には、このような製品を製造することはまずありませんので、今回は興味の部分も多分に含まれている、と。
ところで、今回の試作にはもう一つの理由が。
それは予てより、試作した食パンの形状が不安定で、少しでも安定した成形方法はないものかと苦慮していたことにあります。
モルダーを揃えればほぼ解決する問題なのですが、諸事情もあり、作業方法で対応できないかと考えている次第です。
今回は、ロール成形後の生地長さを90㎜程度に抑えなければなりませんので、できるだけ長く生地を伸ばさなければなりません。
手作業だからこその操作なのですが、玉生地からの圧延では上図の状態に留まります。
結果的には長さは足りませんでしたので、次回の試作では別の方法を試してみる予定です。
そして、この状態で混ぜ込みのブルーベリージャムを塗るのですが…。
あまり深く考えず、比較的均等にジャムを塗ってしまいましたのが、結果的には失敗につながってしまいました。
ロール成形した際の外周1周分はジャムが入らないようにしないと、外周部の生地が潰されてしまいます。
今回は、8玉中2玉にジャムを塗って、成形・型詰めを行いました。
型詰めの状態は、山崎製パンのダブルソフトと同様の方法で、それを8玉で成形しています。
けっこう窮屈な状態ですが、なんとか型詰めできました。
そして、最終発酵45分後の状態がこちらになりますが、ブルーベリージャムを混ぜ込んだ生地の部分が少々変形しているような…。
ホイロゲージは型下15㎜で、焼成に移ります。
型温度の設定を38度から140℃へ変更して、35分焼成します。
生地部分の形状はほぼ想定通りながら、ジャムを混ぜ込んだ部分の形状がやや不規則な状態になっています。
冷却後にスライスして断面を見てみますと、巻き数は少なく、外周部は薄皮状態です。
誰に教えてもらった訳でもない、初めての混ぜ込み食パンですが、無残な結果となってしまいました。
ただし、収穫がなかった訳ではありません。
混ぜ物を入れない生地部分では外観・内相共に良好でしたので、今後の試作・実験では、この成形方法で進めていきたいと考えています。
それに、混ぜ込み食パンも次の手はしっかりと考えていますし。
試食
ところで、焼き上げた食パンを自宅に持ち帰って、早速食べてみることに。
手前味噌で申し訳ありませんが、これがなかなかおいしい!
元の冷凍生地の品質が良かったからと思われるかもしれませんが、作り方次第ではおいしくない場合も過去にはありましたので、製造条件もそれなりに良かったのかと。
今さらですが、研究の仕事にも楽しみは必要ですね。(実感!)