改善は一歩一歩
『1日一歩、3日で散歩…』という懐かしい歌がありましたが、新しいことを進めていく為にはひとつひとつの積み重ねが大事であることを往々にして思い知らされます。
こうしてみますと、今は当たり前のように思っている技術でも、実は確立されるまでのプロセスが茨(いばら)の道だった、ということも往々にしてあることが推測されます。
今回の混ぜ込み食パンも造り方を知っている人に教えてもらっていれば、すんなり簡単に済んでいたのでしょう。
それを、ああでもない、こうでもない、と笑われてしまうようなことを繰り返しているのですから、まったく非効率的です。
コロンブスの卵とは、よく言ったものです。
ですが、私の本業である研究の分野では基本的に既に知っている人は存在しません。
もし、誰かが知っていることであれば、そのテーマは研究の対象とはならないからです。
研究には研究者のセンスが問われると言われたことがあります。
今回のような試作も、センスを磨く糧となればいいのですが…。
改めて、ジャムを混ぜ込んだような食パンは珍しくないのに…、と思われている方もいるかと思いますが、ロール成形する生地のサイズで製造の難易度はまったく違ってきます。
今回は、食型の長さ方向に4個のロール成形した生地を並べなくてはなりません。
つまり、前回のように玉生地から圧延してロール成形したのでは、どうしても長さが出過ぎてしまい、食型に収まらなくなってしまいます。
そこで、今回は一度ロール成形した生地を休ませて、その後に再度圧延してロール成形することにしました。
一応、生産性も考慮して、ベンチタイムは10~20分で条件を振ってみました。
個人的な感想ですが、やはり15分程度は休ませた方が生地の伸びもよさそうです。
そして、延ばした生地にブルーベリージャムを塗る訳ですが、最終的にφ45mm程度となるロール生地の外周の長さは10数センチと計算されます。
そのため、そのジャムを塗らない部分を残して、この状態で生地を巻いていきます。
型詰めは非常にスムーズでした。
おそらく混ぜ物のないパン生地のみの製品であれば、これでOKだったのだと思います。
そして、最終発酵なのですが、この段階でなにやら外観形状にバラツキが出ているような…。
なんとなく嫌な予感は見事に的中して、焼き上がった食パンのスライス面は理想には程遠く。
更には、生地から漏れ出たジャムがパンの底に浸み出している始末でした。
とりあえず、今回の成果としては成形・型詰めのし易さの点で得るものがあったものの、巻き数を増やしてクラスト部分にはやや厚めの生地がロールされていないと…。
次回へ続きますね、やっぱり…。