突然ですが、高級食パンブームに沸きます昨今、食パンの内相の細やかさだけを見るのであれば、私は大手製パンメーカー(もちろん、日本)のホールセールの食パンが一番ではないかと思っています。
さてさて、今回はどんなお話になるのやら・・・。
【 目次 】
食パンの成形
来週に予定されていますパン技術研究所(パン学校100日コース)の授業用資料をまとめていましたところ、ふと食パンのモルダーのところで目が留まりました。
私が通常考えています成形方法では、ベンチタイム後の圧延ローラーで極力ガス抜きをし、粗い気泡を除きます。
当然、どこまでも薄く伸ばしてガス抜きができる訳ではありません。
当たり前ですけど、薄く延ばし過ぎれば、伸びに耐えられない部位の生地は裂けて、表面が荒れてしまうからです。(つまりは、ミキシング等の前工程もとても重要ということ!)
このようにして、あの細やかな内相ができあがっていく訳です。
ところが、①のように圧延してしまいますと横幅が出てしまい、リテイルベーカリーでよく採用されています俵成形を考えた時に生地が食型に収まらなくなってしまいます。
では、横幅が出ないように(②のように)ガス抜きを抑えればいいのでしょうか?
・・・それでは内相が粗くなってしまいます。
そうなってきますと、なんらかの方法(ここでは、このような表現で勘弁してください!)で生地は薄く圧延するけれども横幅が出ない方法(③)をパン職人の方々は身に付けておられるということなのでしょう。
U字成形と俵成形の比較
少し、U字成形(N字やM字も同様です)と俵成形の違いをイメージしてみます。
一般的にU字成形で生地を型詰めする場合、上図のように食型の内側は隙間なく生地で埋められます。
実際には写真上側のような感じです。
そして、同じ量の生地を俵成形した場合、成形した生地の太さが変わることで、これだけの隙間ができるということがお分かりになるでしょうか。(ここでは違いが分かり易いように縦方向に詰めています)
計算上のイメージも実際の型詰めの状態も同様の結果となっています。
最終発酵のイメージ
すると、最終発酵のイメージとして、U字成形ではシンプルに上方向へ延びる力が生地に加わることと比較して、俵成形では最初に横方向へ伸びて隙間を埋めた後に上方向へ伸びようとします。
そうすることで、成形時のわずかな詰め方のバラツキが緩やかな膨張によって、きれいに揃ってくる効果が期待できるのではないでしょうか。
なんとなくなのですが、このような心配りがリテイルベーカリーの食パンには感じられます(もしかして私だけかも?)。
連続生産ライン
一方、大型の食パン用連続生産ラインでは、画像のようなクロスモルダーと呼ばれます装置を採用している製パンメーカーも多いと思います。
圧延を行いますのは、①のローラー部分です。
この装置がクロス・・・と呼ばれます所以は、圧延された食パン生地がロール成形されるまでに一度方向を90度・直角に変えて送り出す(②⇒③)ところから来ています。
普通に考えて、一律の加工方法を行う装置で匠の対応まで求めるのは少々酷ですね。
リテイルベーカリーでもモルダーは使われていますが、パン職人の方々はそれを自分の手足(失礼しました、足はないですね (^^ゞ )のように使いまわしていますから・・・。
とは言っても! なんとかして、リテイルベーカリーの成形方法がホールセールの製造ラインでできないものだろうか・・・。(と、思案中!)
ツイッターで、補足等をささやいています。