黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

パンのトレンドを顧みる ~ クイニーアマン・ローソン マチノパン

 最近は高級食パンのブームが続いていますが、過去には他のパン・菓子類のトレンドも数多くありました。

 

 少し調べてみただけでも、

  

▼平成9年(1997年) ベルギーワッフル

▼平成10年(1998年) クイニーアマン、 ロールケーキのスイーツ化

▼平成11年(1999年) エッグタルト、 シナモンロール

 

と、今では定番となっています製品群が、たった3年の間にこれほどまでに取り上げられていました。

 

 そのような中、今回は1998年にブームとなりましたクイニーアマンについて解説しようと思っています。

 

【 目次 】

 

クイニーアマン

 最近では、スーパーでもコンビニでも見かけますクイニーアマンですが、今回は仕事場へ向かう途中のローソンで調達してきました。

 

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 商品は、ローソン限定のマチノパン『焦がしバターのクイニーアマン 139円 税別』で、製造元は山崎製パンです。

 

 消費期限は、今日を含めて+5日とパンの中では比較的長い方かと思います。

 

 おそらく、配合に多く含まれているであろう、糖(日持ち)と油脂(柔らかさ)に因るものかと推測します。

 

外観

 商品の上面は、カラメル化して固まった糖にびっしりと覆われています。

 

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 商品化された時点ではこの面が上面ですが、成形~焼成の製造工程ではこちらの面が底になります。

 

 それでは、裏返してみましょう。

 

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 どう見ても、こちらを上にして製造していることは明らかです。

 

 ただしメーカーやお店によっては、必ずしも焼成後に反転させているとは限りませんので、念の為。

 

 ところで、クイニーアマンの上下面を返す理由を勝手に推測しますと、今回の山崎製パンのように大手製パン企業の連続製造ラインでは、焼成後の冷却をコンベアで取っている可能性が高く、焼成直後の粘性を持ったカラメル化の糖をコンベアに接触させたくないといった事も考えられます。

 

 糖で汚れた後の掃除は、本当にすごく大変ですから。

 

断面

 続いて、縦にカットして断面を見てみます。

 

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 シート生地から製造していることは分かりますが、層に厚みがあって、層の数はそれほど多くありません。

 

 おそらく三折りを2回程度(①2×3-2=4 ⇒ ②4×3-2=10層)行って、生地断面を上下に向けて型詰めしたのでは。(リング状のセルクル使用)

 

 使用したセルクルはオーブン出口で外して、クーリングコンベアには製品だけを流します。

 

食味・食感

 一口食べた時の食感は、まずカラメルのカリカリ感が直に伝わってきて、これがクイニーアマン独特の食感となります。

 

 食味・風味は、強い甘さとバターの香りが、これもクイニーアマン独特です。

 

 この製品の好き嫌いは、当然個人差があると思いますが、おいしいものは糖と油でできている、と言われる程ですので、一定数のファンがいても当然かと思います。(それに支持されていなかったら、もう売られていませんよね!)

 

 この食味は、他のパンでは味わえないものです。

 

スーリープーのクイニーアマン

 これまでに、しらっと紹介していましたクイニーアマンを2品紹介します。

 

www.santa-baking.work

 

 こちらは、パン百名店2019に選出された名古屋のスーリープーで購入してきましたクイニーアマンです。

 

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 こちらの商品は、焼成したそのままの向きで出されています。

 

 ↓ ブックマークでのご指摘にもありましたが、さすが全国16位、愛知県では1位のベーカリーの商品です。

 

 クイニーアマンの出来という点では、見ただけでもずいぶん違いが分かりますね~。

 

365のクイニーアマン

 そして、こちらもパン百名店2019に名を連ねています東京の365日・・・、と思いきや、まったく別の愛知県長久手にあります365というベーカリーのクイニーアマンです。

 

www.santa-baking.work

 

 生地の底面が見事にテカってます。

 

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 う~ん、1年以上前に食べた商品ですので、正直なところ、舌の記憶から抜けているところもありますが、同じシート生地で作りますクロワッサンが良い印象でしたので、気持ちよく食べていたのだと理解しています。

 

サンタの豆知識

 文献に因りますと、 クイニーアマンとはフランスのブルターニュ地方におけます伝統的なパン・洋菓子の一種で、1860年頃にパン職人の失敗から創出されたそうです。

 

 当時は、小麦の収穫が悪く、糖とバターの配合を増やしてなんとかパンを作ろうとしたらしいのですが、ちゃんとした生地にならなかったそうです。

 

 しかし、失敗した生地を捨てる訳にも行かず、それを発酵を取って焼いたところ、ことのほか美味だった、と。

 

 人生、なにがきっかけで好転するか分かりませんね~。

 

 なお、名称は実はフランス語ではなく、ブルターニュ語という地方の言語で「バター(amann)の菓子・ケーキ(kouign)」という意味とのことです。

 

 ブルターニュ地方発祥のパンの中でも、最も歴史が古いと聞くクイニーアマンですが、現地にはとてもロマンティックな伝説があったとか。

 

 19世紀の伝統で、男性が女性にプロポーズする時、このクイニーアマンを贈る習慣があったそうなんです。