黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

挟み焼きの菓子パン ~ 本間製パン・あんぱんと宇治抹茶入りクリームぱん

 以前に本間製パンの最高級食パンをリポートしました際、実は当日に店舗の写真を撮り忘れたとのことで、家族がわざわざもう一度出掛けて、写真を撮ってきてくれました。

 

www.santa-baking.work

 

 ただ、前回は食パンを購入したとはいえ、今回、写真だけ撮って帰ってくる訳にもいかず、別の商品を買ってきてくれています。

 

 そんな経緯(いきさつ)で今回のリポートは始まります。

 

【 目次 】

 

本間製パン・フレッシュステーション再び

 前日に訪れました本間製パンの店頭ですが、ショーケースの上段にトースト食パンが並んでいます、そのすぐ下に菓子パンが2品種販売されています。

 

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 それが、こちらの宇治抹茶入りクリームパンとあんぱんです。

 

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あんぱん

外観

 最初に目に飛び込んできますのは『本食』の焼印でした!

 

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 これって、食パン用の焼印だとばかり思っていたのですが、特に解説も見当たりませんでしたので、あまり深く考えることもなく、スルーします。

 

 外観形状は、挟み焼きに因ります小判形です。

 

 焼色は、一般的な菓子パン類と比較しますと若干薄めで、見た目にソフトでしっとりとした食感のイメージが伝わってきます。

  

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 底面は生地が中央で綴じてあり、焼色は上面に合わせてほぼ同程度の焼色となっています。

 

断面

 パンの中心でカットしてみますと、フィリングの小倉あんはやや中央寄りに偏っており、その部分の上下のパン生地は薄くなっています。

 

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 最終発酵が完了しました時点で、小倉あんはパン生地と比較して流動性が低いので、焼成工程においても横方向に広がらず、このような断面となります。

 

食感・食味

 包装紙から取り出した際、風味としましては発酵臭を最初に感じます。

 

 おそらく、焼き過ぎず十分なしっとりさを残した状態から来ていると推測します。

 

 実際に食感としましても、着色している部分も含めて、ソフトなしっとり感を覚えます。

 

京都宇治抹茶入りクリームぱん

外観

 外観形状や焼印に関しましては、あんぱんと同様です。

 

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 下部のおよそ1/3の扇形に白ゴマが塗(まぶ)してあります。

 

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 この白ゴマの付着状態は、底面も同様です。

 

 最初に見た際には、?栗、を連想してしまったのですが、これで宇治抹茶入りクリームぱん、??クリーム、???くり、????栗! なんてことは・・・分かりません、推測不可です。

 

断面

 クリームパンも断面を見てみます。

   

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 あんぱんと比較してフィリングの抹茶クリームは、横方向に大きく広がっていることが分かります。

 

 小倉あんと比較して、抹茶クリームの流動性は高いですから、その動的物性によって焼成過程での形状変化がこのように進んだものと推測します。

 

 なお、充填されています抹茶クリームが横方向に広がっていますので、その部分のパン生地はそれ相応に厚みを持っています。

 

食感・食味

 この断面を見ました際、この鮮やかな緑色のフィリングがうぐいすあんに見えてしまったのですが、でも食べてみますとしっかりと抹茶の風味が感じられますクリームです。(当たり前でした、すみません。)

 

 白ゴマの食感もアクセントになっていて、あんパンと同様、ソフトな生地によく合います。

 

ミニミニ工場見学

挟み焼き

 今回、紹介しました小判形のあんぱん他の製品ですが、どのように製造しているか、解説します。

 

 あんぱんの成形・パンニング後に通常通りの最終発酵を取ります。(生地高さは、天板の高さより幾分高く出る程度まで取ります)

 

 そして、焼成前に押さえの蓋を被せます。

 

[最終発酵 ⇒ 焼成

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 この際、蓋にはできるだけ既に使用しているもので代用したいところです。

 

 しかもパンの焼成中に蓋がずれてしまっては問題ですので、その点も考慮して。

 

 リテイルベーカリーであれば、焼成用の天板に、八取天板:430×340mmや六取天板:530×380mmを使用して、蓋用にはヨーロピアン天板:600×400mmや六取天板:530×380mm、の組み合わせで対応できるのではないでしょうか。(焼成後のパンの離型性も問題ないでしょうし)

 

 焼成初期の体積膨張の現象をオーブンキックと呼びますが、これによって蓋を押し上げる力は思っている以上にありますので、天板への生地の載せ数は調整が必要になるかもしれません。

 

 なお、連続生産ラインでは、適度な重量を持った挟み焼き専用の蓋を用意しているケースが多いと思います。

 

焼き方について

 パン生地は天板に密着して焼成されますので、熱は天板を通して生地に伝わります。

 

 つまり、焼成初期にある程度の温度まで生地を加熱して、その後は温度をキープするような焼き方で安定した焼色が望めると推測します。

 

 対流(コンベクション)加熱が得意とする焼成方法ですね、ありがたいことに熱風が当たってもパン生地は密閉空間の中ですから、余計な水分が蒸発させられることがありませんし。

 

最後に

 ちなみに私がテストで使用していますヨーロピアン天板は、深さが13mmですので、これを上下で挟めば26mmの挟み焼きが計算上は可能です。

 

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 蓋の天板がずれないように工夫できればですけど。(これを考えることもおもしろいです!)