これまでの記事でも、1997~1999年のブームに乗っていましたパン・菓子類のトレンドについて紹介してきました。
▼平成9年(1997年) ベルギーワッフル
▼平成10年(1998年) クイニーアマン、 ロールケーキのスイーツ化
▼平成11年(1999年) エッグタルト、 シナモンロール
前回のエッグタルト~アンドリュー & パスティス・デ・ベレンに続きまして、今回はシナモンロールを中心にリポートします。
【 目次 】
シナボン
日本におけますシナモンロールのブームを語る上で、外せないのがシナボンです。
当時、商品はシナボン1品種だけだった、その第一号店は1985年12月ワシントン州シアトルに開店し、2012年11月の時点では世界51カ国に約900店舗を構えるまでに成長しました。
日本では、1999年に東京・吉祥寺に1号店をオープンし、三大都市圏にその店舗網を広げる程のブームとなりましたが、大多数の日本人にとってはサイズや大量に使用されていました砂糖類故に、カロリーを気にする層から敬遠されたことで、シナボンの店舗は2009年2月28日を以って完全撤退するに至っています。
なお、社名&商品名のシナボンは造語で、シナモンの「シナ」と、フランス語で「良い」を意味する「ボン」から来ているそうです。
terre a terre (テーラ テール)
今回はシナモンロールを求めて、名古屋市東区の terre a terre (テーラ テール)へ行ってきました(・・・今回も家族が)。
新緑の色合いが鮮やかなエントランスを通って、店内へ入ります。
シックな店内のショーケース内に商品が並んでいます。
近付いて見てみますと、こんな感じ!
商品は、店員さんが取ってくれます(時間は掛かりますが、今の時期、衛生面では文句の付けようがありません)。
奥はレジと製造スペースになっています。
新型コロナ対策で、飛沫感染防止用のシートが掛かっていて、店員さんもマスク着用です。
左に見える階段を上っていきますと、そこはイートインコーナーになっていて、その場で買った商品を食べることもできます。
今回の狙いはシナモンロールですが、それだけという訳にもいかず、今回はこの4品を購入です。
シナモンロール
帰宅して、やっぱり最初はお目当てのシナモンロールから。
私はシナモン大好き人間ですので、このシナモンとクルミの折込み量は十分納得なのですが、多過ぎると感じる人もいるかもでしょうか。
1層のシート生地にフィリングを塗布した後、巻いて輪切りのカットですね。
焼き色がやや薄めで、しっとりした食感です。
テーラ テール
ここのベーカリーの看板商品で、店名を商品名に冠しました小振りのカンパーニュです。
もった感じがとても軽く、ハード系なのですが、弾性のある柔らかさを感じます。
内相は適度に大きな気泡があって、軽い食感なのですが、ハード系ならではの歯応えがあります。
小麦の食味と風味がとても感じられるパンです。
クロワッサン
この形状で、クロワッサンです。
もう三日月というよりは、半月からもう少し膨らんだ感じの月のようです。(そうか、逆の発想で影の隠れている部分が三日月とか・・・)
そして、生地の層がとても細かくきれいに出ていることと、カット部分の層を全面に出してある、なかなか見られない成形方法にちょっとした衝撃を受けました。
食べた感じは、層を縦に噛むことになりますので、これも新鮮な感覚です。
あんバター
そして、我が家の定番、あんバターです。
生地はソフトフランスをもう少しソフトにした感じです。
中のフィリングを見てみますと、バターと小倉あんがびっしり詰まっています。
やや歯応えのあるパン生地にバターとあんが混じって、噛んでいる内においしさが徐々に伝わってくる・・・だから、もっと噛んでいたい、と思えるような商品です。
ミニミニ工場見学
シート生地の延展
シナモンロールの成形に関連して、シート生地の延展ついて解説しようと思います。
って、いきなりめんどくさそうな図が出てきましたが、これはパン生地に横方向の力を加えて延ばそうとした時の深さ方向に伝わる力の分布に関して示したモデルです。
パンとどんな関係?、と思われるかもしれませんが、今回のシナモンロールやクロワッサンのようなペーストリー製品を作ります際、シート生地を延ばすという操作があります。
その時、ゴムのような弾性体であれば、どの位置でも一定の力が伝わるのですが、粘弾性のパン生地は流体ですので力の掛かる地点から離れる程、伝わる力が小さくなってしまいます。
つまり、パン作りに慣れていない人はシート生地を均等に延ばしているつもりでも、実は生地の上下で大きな違いが出てしまっているという事になってしまっているかもしれないという事です。
リバースシーターというシート生地を延展する装置があるのですが、私はこの装置を見ると、つい蕎麦打ちでの麺の生地を延ばしている場面を連想してしまいます。
一生懸命身体を使って、麺棒だけではなく生地も動かしながら延ばしている、あの風景です。
あの動きというのは、麺の生地の上下から力を加えているように見えてしまうのですが、・・・実際に蕎麦打ちをしたこともない人間の戯言です。