黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

祝! Pasco(パスコ)・敷島製パン 創業100周年 ~ 生なごやん

 少し早いのですが、日本におけます製パン業界第2位の大手メーカー:パスコ・敷島製パンが、明日の6月8日に創業100周年を迎えます。

 

 多くの人がご存知のパスコについて、100周年記念商品も交えて解説します。

 

【 目次 】

 

PASCO敷島製パン

 敷島製パン株式会社は、名古屋市東区白壁に本社を置く製パン会社で、1920年大正9年)創業の老舗製パン企業です。

 

 国内の製パンシェアでは、山崎製パンに次いで業界第2位に位置しています。

 

 ちなみに、PascoPan Shikishima Companyの頭文字から命名)のブランド名は、名古屋⇒関西から東京へ進出する際に、ややハイクラスの購買層をターゲットに設けられましたものです。

 

 創業家は名家で、ミツカン(中埜酢店)や造り酒屋の盛田株式会社、そして盛田昭夫氏が創業者のソニー、その盛田家の同族企業となります。

 

 なお、現在の代表取締役社長である盛田淳夫氏は、安倍晋三首相とは成蹊大学アーチェリー部の同窓、先代社長の盛田慶吉氏は、竹下登元首相と早稲田大学の同窓です。

 

  

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 そして、敷島製パンと言えば、湯種製法で独特の食感を生み出しました超熟食パンが、食パンシェアでトップの売り上げを誇っています。

 

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 湯種製法の製品は食パンだけに留まらず、(これもパスコならではの商品の)イングリッシュマフィンや、近年ではフォカッチャにまで及んでいます。

 

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 新技術や新たな市場を開発・開拓しながら、パスコは今日に至っています。

 

なごやん 100周年記念商品 84円(税込)

 現在のパスコは、日本におけます食料自給率向上への貢献を目標のひとつに掲げています。

 

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 この国産小麦の小麦粉を使用したパンづくりに、社員から募集しましたパン・菓子のアイディアの中から商品化したものが、この生なごやん(100周年記念商品第2弾)です。

  

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 黄味あん入りクリームを国産小麦のカステラ生地に包んで蒸しあげた菓子です。

 

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 手に持った感じとしましては、ふかふかの生地で、まさに焼菓子であるなごやんの生バージョンといった感触です。

 

 また、食べた感想としましては、ぷにぷにと軽く伸びのある生地に、菓子としては流動性の高い黄身あんが相まって、手でちょっと引っ張りながら噛み頬張ることができます。

 

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 断面はこのように黄身あんが、平たい桜島のような形状で充填されています。

 

 使用しています成形装置の関係なのでしょうね。

 

なごやん

 生なごやんを語る上で、やはりオリジナルのなごやんの解説も必要かと思います。

 

 焼菓子であるなごやんは、販売開始以降60年以上に渡って、親しまれてきました超ロングセラーの商品です。

 

 なごやんは、国産小麦のカステラ生地でまろやかな黄味あんを包んだ焼き菓子で、しっとりとした食感とやさしい甘さが特徴の、Pascoのなかでも歴史のある商品です。

 

 使用する小麦は100%国産小麦を使用しているのですが、その内55%は愛知県産小麦『きぬあかり』を使用しているのだそうです。(愛知県以外にも出回っていますが、それなりに地産地消なのでは。)

  

さくふわさくらん 100周年記念商品(第1弾)

 桜の香りがふわっと香る桜餡を国産小麦のクッキー生地で包んだ商品と謳われています。

 

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 社名の敷島は、創業者が尊敬していた本居宣長の和歌

敷島の大和心を人とはば朝日に匂う山桜花

から採用されています。(ところで、敷島は日本の古称のひとつだとかで、言い換えますと『日本製パン株式会社』と同じという事・・・)

 

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 その社名の由来になった和歌にも謳われています桜は社章にも採用されており、Pascoと縁深いさくら味の焼き菓子:さくふわさくらんが開発されました。

 

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 もちろん、使用されています小麦はすべて国産小麦となっています。

 

 桜餡は形がしっかりしており生地もクッキー生地ですので、歯切れの良い食感と桜の風味・食味が楽しめる商品になっています。

 

ミニミニ工場見学

 パスコと言えば、最近は北海道での活動が目を引きます。

 

 国産小麦である『春よ恋』から近年では『ゆめちから』の生産拡大に関しては、日本の食料自給率の向上を掲げられています盛田淳夫社長の功績と言っても過言ではないと思います。

 

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 ちなみにパスコは、2013年に札幌市手稲区に「Pasco夢パン工房」手稲店をオープンし、2018年には江別市に「Pasco夢パン工房」野幌店と「Pasco札幌セントラルキッチン」をオープンしました。

 

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 私は札幌で開催されました昨年の学会の時間を使って、Pasco夢パン工房・野幌店とPasco札幌セントラルキッチンを訪れました。

 

 たまたま、現地で知り合いに出会う幸運もありまして、セントラルキッチンの見学通路へも通してもらうこともできました。

 

 なお、Pasco札幌セントラルキッチンは、Pasco夢パン工房各店舗への商品供給のほか、札幌近郊の一部スーパーへも商品を供給して北海道でも販売を開始しています。(つまり、まだほんの一部ですが、北海道でもスーパーでパスコのパンが買えるようになった、ということですね。)

 

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 現在パスコは、帯広畜産大学と地域包括連携協定を締結して、国産小麦のテーマを主としました研究活動に注力しています。

 

 以上、帯広畜産大学客員教授のサンタ(基本的には個人事業です)が、30年に渡って研究開発部門を勤めました製パン企業の解説でした。

(今、在籍はしていなくても、感慨深いものがあります)