最新の食べログ・東京 パン 人気ランキングを検索してみますと、
東京都にあるパン屋のお店2,967件のランキングTOP20を発表!(2020年7月1日更新)で、次のように記載されていました。
第1位 ラトリエ ドゥ プレジール 祖師ケ谷大蔵、成城学園前
第2位 セントル ザ・ベーカリー 銀座一丁目、有楽町、京橋
(すみません、一度下書きに戻した以前の記事を再度アップしました。内容は以前のままです。)
第3位 シニフィアン シニフィエ 世田谷本店 三軒茶屋、池尻大橋
⇒ 最高峰のパン、偶然見つけた!、パンドミとやらに感動 等々のコメント
というわけで、今回は東京出張の際に寄り道してきまして、東京での人気パン屋さん第3位のシニフィアン・シニフィエへ行ってきましたので、リポートします。
【 目次 】
- ホームページより
- 日本橋タカシマヤ店
- 世田谷本店
- 40時間発酵バゲット 1/2本 270円 税込
- オ ドゥ ブレ(チャバタ) 216円 税込
- クロワッサン オ ルヴァン 270円 税込
- パーネ トスカーノ 1080円 税込
- 見て、食べて、思ったこと
ホームページより
シニフィアン・シニフィエのHPを見てみますと、美味しさの7つの秘密、として、
1.素材 ~美味しさ×栄養素
2.発酵 ~手間と時間が美味しさの鍵
3.高加水 ~パンであってパンでないほどのしっとり感
「パンとは思えないほどしっとり・もっちりしてる」とよく言われます。
4.気泡 ~大きな気泡は技術の証
5.サイズ ~大きい方が美味しく焼ける
6.オーブン ~日本に数台しかない窯で焼く
熱伝導がよく、石窯のような遠赤外線効果のあるルクセンブルグ ハイン社製のオーブンを使用。
7.チーム ~パン作りはチームプレー
と、掲げられています。
3と6のみ、のちの解説で参照して頂きたく、説明文を少しだけ残しました。
日本橋タカシマヤ店
前日は日本橋のビジネスホテルに泊まって、そこからの移動です。
日本橋高島屋B1Fの一角にシニフィアン・シニフィエの店舗はありました。
そこで、ショーケースをのぞいてみますと、パン オ ヴァン 4104円!
おいおい、いくら人気店だからってハーフでも2052円って、どういった価格設定?と疑ってしまいます。
説明によりますと厳選した赤ワインを煮詰めて使用しているとか、・・・もしかしてワイン代?
そして、気になったハード系商品では、国産小麦を使用したバゲットと40時間発酵させたバゲットに目を付けて、次の世田谷本店へ向かいます。
世田谷本店
地下鉄の三越前から東急の三軒茶屋へは乗り換えなしで(テクテク)移動できるようで、このような時には i-phone の乗換案内アプリには本当に感謝します。
店舗は意外にも住宅街にあって、大勢の人達が行き交うような繁華街の雰囲気ではありません。
店内はショーケース内にハード系を中心とした商品が並んでいて、その奥では作業者の方が今まさに製パンをしている様子が感じ取れます。
おそらく、ドイツハイン製のオーブン(まず間違いなくデッキ式)はこの奥にあるのだろうと思いながら店内を見渡しますと、左手奥にはこの先からが関係者以外立ち入りできないスペースとなっています。
ちなみにドイツ製のデッキ式オーブンは、元々大量の蒸気を使用するドイツパンを焼くことができる仕様となっており、ハインの他、ミベやホイフトといった、その道では名をはせたオーブンメーカーがひしめき合って凌ぎを削っています。
この日は、先述のバゲットの他、少し肌色の異なった商品4品を購入して、品川経由で新幹線に乗り込みました。
40時間発酵バゲット 1/2本 270円 税込
帰宅して、まず一番気になっていました長時間発酵のバゲットを見てみます。
成形はトラディショナルではなく、端は伸ばしたままの成形です。
そしてフィッシュアイのような薄い色の粒々が表面に見えますが、きっとこれは問題ないのだろうと勝手に理解しました。
断面はHPにもありますように、すごく艶々していて、たしかに光っています。
気泡は粗くバゲットであれば良好な特徴なのですが、意外にも膜が厚いといった感じではなくて、膜の中に多数の気泡が入っているような珍しい内相です。
なにより目を引いたのは底面に見られます、オーブン炉床との接地面です。
一般的なバゲットであれば、オーブンでの焼成中にオーブンキックで生地表面が強く外側へ押し出されて、縦方向から見ますと円に近い形状にまで膨張します。
その結果、炉床との接地面は非常に細い線状になって表れるのですが、このバゲットの底面はほぼ製品の幅と同程度の部分が炉床に接していた跡が付いています。
すみません、比較の画像を探したのですが一般的なバゲットの底面の写真が見当たらず、いつかバゲットの解説をしたときに、いかにこの底面が特徴的なのかを解説したいと思っています。
高加水の生地であれば、柔らかすぎて形状の保持は非常に難しくなりますし、加えてベタベタの生地を取り扱う作業は難航を極めます。
配合は、小麦粉(フランス産、北海道産)、パン酵母、食塩、麦芽エキスのみで、小麦のおいしさが堪能できる一品でした。
トーストして食べてみましたが、クラストの硬さとクラムのモチモチ感のコントラストは未体験のものでした。
オ ドゥ ブレ(チャバタ) 216円 税込
イタリヤの食事パンとして定番のチャバタも売られていました。
チャバタは一般的な配合でも給水が高く、小麦粉に対して80%以上の給水を加えます。
シニフィアン・シニフィエの商品としては、馴染み易かったのかも。
クロワッサン オ ルヴァン 270円 税込
ここの店舗で唯一の折り込みシート生地のパンです。
きれいに層も出ていて、普通においしかったです(簡単すぎるコメントですみません)。
パーネ トスカーノ 1080円 税込
そして、こちらもイタリアの食事パンで、原材料には塩も使用していません。
原材料は、小麦粉(北米産、ドイツ産、北海道産)、パン酵母、麦芽エキス、となっています。
この商品、断面を見るためにカットしましたところ、パンナイフにべったりと生地が付着していました。
ここからも吸水の高さが窺(うかが)い知れます。
クラムは、この商品でもツヤツヤしています。
そして、やっぱり底面は広い範囲が炉床に付いていたことを窺わせます。
トーストして食べてみますと、バゲットと比較して断面が広い分、モチモチ感を強く感じます。
あとで、他の食材をサンドして食べてみたら・・・、と思った時にはすでに食べきっていました。(一言で言ってしまいますと、おいしかった、と)
見て、食べて、思ったこと
HPに記載の高加水(高吸水)の生地で仕込んでいるとなりますと、このもっちりとした食感やそこから来ます独特の風味食味も合点がいきます。
そして推測されますこのような生地の取り扱いは、機械化された連続生産ラインでは非常にハードルが高いと言わざるを得ないと思っています。
ベタベタで流動性が高く成形の装置でも通らない可能性が高い、さらには直(じか)焼きでさえも、形状の確保が難しい・・・。
な~んて、そんな難しそうな課題があるからこそ、考えることが楽しくなってくるというものです。
偏屈なエンジニアは、これからもパン作りに携わりながら過ごしていく所存です。
最後に、まだ行ったことのない、第1位 ラトリエ ドゥ プレジールと第4位のブーランジェリー スドウへも、今後、いつか行ってみたいですね。