黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

連続式フライヤーの搬送構造 ~ ミスタードーナツ・さつまいもド

 ミスタードーナツから、9月4日(金)、同時にふたつのシリーズで新商品が発売されました。

 

 ひとつはハロウィンのお化けをモデルにした おうち de MISDO HALLOWEEN で、先日にリポート記事を上げました。(その節は、発売日を間違えてしまい申し訳ありませんでした)

 

www.santa-baking.work

 

 今回は、もうひとつのシリーズ、 さつまいもド について、リポートします。(そして、フライヤーの構造についても少々)

 

www.coffeelab.work

 

 実は、こちらのドーナツに関しましてブロ友さんのミスターエスプレッソさんが既にリポートされています(昨年のミスド・さつまいもドもリポートされています)ので、後追いとなってしまいますが、ご容赦ください。

 

【 目次 】

 

連続式フライヤー

 ミスドの製造現場を見たことはありませんので、ここでは合致しないかもしれませんが、一般的に製造するドーナツの数量をこなすためには固定式ではなく、連続式の方が向いています。

 

 このようなコンベア式のフライヤーは大手ベーカリーの大型工場くらいでしょ!、とお思いかもしれませんが、クリスピークリームドーナツの店舗で使用しているフライヤーも小型ながら連続式の機種が採用されています。(以前にTVの番組で見ましたが、トンカツのかつやの店舗でも連続式のフライヤーが導入されていましたね)

 

 以前に私が企業の開発部に所属していました頃、クリスピークリームドーナツのお店(たしか新宿の1号店)に調査目的でドーナツを買いに行って、そこで並んでいる間にフライ時間を計測していましたところ(⇒なんだか、怪しい人みたいですね)、片面:1分×2(表裏)で計2分という、超短時間でフライしていたことにすごく驚いた記憶が鮮明に残っています。

 

 一般的なフライ時間は3~5分で、油の温度による違いがあったり、あんやカレーなどのフィリングを包んだドーナツで長めの設定になったりしますが、2分という時間を知った時にはすごいシークレットを知ってしまったくらいの感覚でした。

 

搬送構造

 パンを焼成する時と異なって、ドーナツを揚げる時には油層に浸かっていますので、天板を使ってコンベアで運ぶことはできません。

 

 では、生地をどうやってあの油層で動かしているのでしょうか。

 

ドーナツフライヤー

 

 答えはとてもシンプルで、油面の高さに生地を押して送るためのバーが設置されていて、このバーが間欠式に運転されます(タクト運転とも言います)。

 

 イーストドーナツはもとより、ケーキドーナツも油層に生地投入後しばらくしますと浮いてきます(実は、ここにも装置としてのノウハウがあります)ので、油面で優しく押してあげます。

 

 1回の搬送距離はバーの間隔分でコントロールされ、油量はバーの高さが保持されるよう自動(小型の装置の場合は手動かもしれません)で補充されます。

 

生地の反転

 ドーナツのフライでは、途中で生地を反転させなくてはなりません。

 

ドーナツフライヤー

 

 生地がコンベアの中間地点まで運ばれてきますと、ひとつ先にある列のスペースにひっくり返されます。(この時、空いた列のスペースに次の生地が返されます)

 

ドーナツフライヤー

 

 横から見てみますと、上図のようなイメージです。

 

 櫛状のフライ返しが油層に潜らされていて、タイミングよくドーナツの生地をすくい上げる訳です。(その時、生地はしっかりと裏返り、飛び過ぎることもなく、目標のポイントに着水(?油)します)

 

 ひとつひとつの構造はシンプルですが、それぞれに(どこのお国とは申しませんが)一見しただけではコピーされ尽くされない、見えてこない隠れたノウハウがあります。

 

 このような積み重ねが”ものづくり日本”を支えているのだと感じてしまいます。

 

さつまいもド

 いつものミスタードーナツへ車を運転して出掛けます。

 

ミスタードーナツ

  

 この日は珍しく、並んでいたお客さんは1組のみ。

  

ミスタードーナツ

 

 早速店内へ入ってショーケースを見てみますと、さつまいもドの5品種がすべて揃っていましたので、ハロウィンシリーズの5品と併せて、さつまいもシリーズ5品もコンプリートすることができました。

 

ミスタードーナツ

 

 今年は”追いいも”がテーマのようですね、では、ひとつひとつ紹介していきましょう。

 

さつまいもド プレーン(120円 税別)

 安納芋パウダーと紅はるかパウダーが生地に練り込まれているそうです。(他の4品種も同様の生地かと思います)

  

ミスタードーナツ

 

 形状はポンデリングのようですので、そのつもりで摘まんでしまいますと、ポロッと崩れてきてしまいます。(でも、言い換えますと、ちぎり易いドーナツです)

 

 さつまいもの食感をイメージされているのでしょう。

 

さつまいもド 紫いも(130円 税別)

 ヴィジュアル的に、追いいもは紫いものグレーズですね。

 

ミスタードーナツ

 

 ところで、ここまで脆い生地となりますと製造上グレーズや次の大学いものタレは上から掛けないと難しいでしょうか。

 

 トッピングのゴマは、さらに追いいもを彷彿させていますね。

 

さつまいもド 大学いも(130円 税別)

 追いいもは、大学芋のイメージ?

 

ミスタードーナツ

 

 大学いもをイメージして(ベタつく)タレとゴマがトッピングされており、性質上この商品には透明のシートが被せられています。

 

さつまいもド スイートポテト(140円 税別)

 スイーツとして定番となっていますスイートポテトを、スイートポテトクリームとゴマのトッピングで表現したドーナツです。

 

ミスタードーナツ

 

 HPの解説には、仕上げに焼き上げた旨が記載されていますね。

 

 スイートポテトクリームのブリュレの部分を出すための操作かと推測します。

 

さつまいもド いもけんぴ(140円 税別)

 こちらのドーナツには、粒上になったいもけんぴとグレーズが混ざり合って生地の上からトッピングされています。

 

ミスタードーナツ

 

 (温かくはないのですが)ほくほくした食感の生地とカリカリしたいもけんぴの食感が相まって、噛みながら楽しめるドーナツになっています。