食べログの愛知・パン人気ランキングTOP20で、第9位のバゲットラビットが今年の3月、名古屋・金山総合駅にありますアスナル金山1Fに新店舗を出店しました。
このバゲットラビットは、マジカルチョコリングのアンティークやねこねこ食パンのネコネコファクトリーを展開する(株)オールハーツ・カンパニーが手掛けるブランドです。(なめらかプリンのパステルも同じ系列の店舗です)
今回も家族が出掛けてきてくれましたので、お店とパンのリポートと併せて、デニッシュやパイの生地を作ります成形ラインの製パン設備について解説することにします。
【 目次 】
シート生地の連続生産ライン
デニッシュやパイ生地の層を作るためには、生地に油脂を折り込んで伸ばし重ねる作業が必要になってきます。
リテイルベーカリーの店舗では、一般的にリバースシーターで三つ折り等の折り重ねを行いますが、大手製パン工場の連続生産ラインでは事情が異なってきます。
最終の折り重ねを行う前の生地を①搬送コンベアに載せます。(この時、前に乗せた生地と端の部分で繋げます)
コンベア上の生地は②ストレッチャーで薄く延ばされます(ストレッチャーの入口側コンベア速度は、延ばされた生地の厚さで自動調整されています)。
③揺動機(ようどうき パラレルパイラー)では、直角に交差する④搬送コンベアに生地を一定周期で揺らしながら折って重ねていきます。
ひとつ前の画像のように、①搬送コンベアで端生地だった部分は、④搬送コンベアでシート生地の上下面に必ず含まれます。
そして、再度⑤ストレッチャーで規定の厚さに延ばされて、次の成形に移ります。
どこまでこだわるか
リテイルベーカリーの成形では折った生地の端生地は通常使用しませんので、非常に手間が掛かりますが、均一なきれいな層を創り出すことができます。
(こちらの画像は、anopanさんのイチゴのデニッシュです)
しかし、上述の連続生産ラインでは①での繋ぎ目と③での折り重ねで、端生地が含まれてしまいます。(製造現場によっては、この際につなぎ目部分の端生地を切除して、内側の層には含めないようにするケースもあると思いますが)
海外では、③揺動機を2台導入したラインも見られますが、当然、上図のラインで作るデニッシュよりきれいな層は望めないと考えられます。
生産性と品質との折り合いをどこで付けるか、という視点で見られがちですが、私的には端生地を含まない連続ラインの装置ができないか、考えたいところです。
バゲットラビット KANAYAMA
金山の商業施設・アスナル金山1Fにオープンしましたバゲットラビット3号店です(1号店:名古屋 一社、2号店:東京 自由が丘)。
店舗の外観はシンプルながら、小麦を引く石臼の展示が目を惹きます。
店内に入って、奥には製造現場にラック積みされたクーリング中の製品が見られます。
壁側に並んでいる傘立てのバーのようなものは・・・?、店名にもなっているバゲットの棚でした。(現在は、感染防止策で包装した状態で立て掛けられていました)
そして、クッキーやジャムのコーナーも。
今回の購入商品
バゲットの他、人気のミニサイズカンパーニュやデニッシュ等、下図の計5品を購入です。
バゲット(356円 税込)
バゲットラビットの看板商品です。
バゲットにしては、焼色はしっかりと付いています。
焼成は直焼きではなく、パンチングメッシュの天板が使われています(生地底面に凹凸の跡がくっきり!)。
ところで、最近はハード系の製品で底面が這った感じのパンが多くなってきた気がします。(気のせいかもしれませんが)
ハード系に限らず、食パンでも高加水を謳っているパンをよく目にするようになってきたことと関係が・・・。(吸水100%の食パンも出てきましたね。どのような生地で、どのような設備を使っているのか、気になります)
クラムの食感はもちもちしますが、生地の取扱いは難しく、上手にまとめないと膜が薄く伸びずにちくわ・はんぺんのような食感になってしまいます。
焼成は、コンベクションオーブンを使われているのでしょうか。(ヨーロピアンサイズの天板を使って、縦方向に生地を並べれば、ちょうどの長さになろうか、と)
クラストの食感は、非常にカリッとしたものでした。
バゲラビ・フレーズ(421円 税込)
人気商品のミニサイズのカンパーニュです。(上面の”B”の文字が象徴的です)
中にはキャラメルバターを塗ってあり、ヴァローナ社のチョコレートがサンドされているそうです。
中を開くと、このような状態です。
このミニカンパーニュは定番が4種類あり、時期によってランダムでフレーバーが変わるとか。
ミルクブレッド(ハーフ 270円 税込)
オープントップの小型食パンです。
上面にクープが入っているところを見ますと、焼成時の初期に水蒸気を使用して伸ばしているのでしょうか。
側面のケービングは、水蒸気の使用(生地中心部が早く温度上昇します)と焼成時間の関係で起きている可能性もありますね(もちろん、この商品だけたまたまだったのかもしれません)。
内相はきれいな縦目が形成されていますし、ソフトな食感とミルクの風味でとてもおいしかったです。
パイナップルのデニッシュ(388円 税込)
しっかりと焼き込んだデニッシュ生地にパイナップルがトッピングされた商品です。
生地表面のサクサク感とフルーツのジューシー感が同時に楽しめる商品です。
生地の層は・・・、食べた感じからもクラムは膜厚の印象を受けました。
アップルパイ(280円 税込)
1/6カットのアップルパイです。
前述のデニッシュと同様に、生地のサクサク感は十分に楽しめる一品です。
今回購入しました商品は、ミルクブレッドを除いて全体的にしっかりと焼き込んでいる印象を受けました。