黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

大丈夫! なんとかなる‼ Papi-Pain(ぱぴ・ぱん)前編 ~ 石窯オーブン

 今回、紹介しますPapi-Pain(ぱぴ・ぱん)は、私がリピートしています anopan のご夫妻が修業を積まれたお店とのことで、そのようなご縁で今回お邪魔することにしました。

 

www.santa-baking.work

 

 ぱぴ・ぱんは、食べログ パン EAST 百名店 2020にて、初選出34位にランキングされています。(食べログ パン 百名店 2019 までは、全国でランキングされていましたが、2020では TOKYO, EAST, WEST の3ブロックに分けられたようです)

 

 ぱぴ・ぱんで使用されています『みかげ石床窯オーブン』に絡めて、石窯オーブンの下火の効果について解説すると共に、ぱぴ・ぱんについてリポートします(前編)。

 

【 目次 】

 

石窯オーブンの下火

 石窯オーブンと聞きますと、なんだか歴史的な重みも加わったようなイメージでおいしく感じてしまうことはありませんか。

 

 でも、実際に石窯オーブンでパンを焼成すると、どのような効果が得られるのでしょう。

 

石窯オーブン

 

 よく言われる効果のひとつに、材料となっています石の蓄熱性が挙げられます。

 

 金属と比較して石は比熱が高いので、同じ重量であれば、より多くの熱を蓄えることが可能です。

 

 つまり、パンを焼く時に必須となる焼成初期における下火の強熱を得ることができるため、高さのあるボリューミーなパンを焼き上げることができます。

 

石窯オーブン

 

 であれば、金属でも重量を増やして同じ熱量を加えられるようにすればいいと思われるかもしれませんが、金属は熱伝導率が高いため、パン生地が接していない部分の熱さえも生地へ流れるようになってしまい、結果として、下火の設定温度を下げざるを得なくなります。

 

 そうなりますと、必然的にパン周辺の雰囲気温度も下がることになり、石床のオーブンと同じ焼き方はできない、ということになる訳です。

 

Papi-Pain (ぱぴ・ぱん)

 名古屋市天白区の地下鉄植田駅から徒歩数分の場所に、そのBoulangerie Papi-Pain(ブーランジェリー ぱぴ・ぱん)はあります。

 

Papi Pain

 

 グリーンを基調とした店舗の外観は、思わずNATURALな気持ちにさせてくれます。

 

Papi Pain

 

 今回、調子に乗って少し買い過ぎてしまいました。

 

 という訳で、上写真印の5個のパンを前編として紹介することにします。

 

 実は、この後にも洋菓子屋さんともう一軒のパン屋さんへ寄ることになっていました。(この日は、家中、パン菓子だらけです)
 

バゲット・トラディショナル(290円 税込)

 長時間低温熟成発酵をさせて作っている、ぱぴ・ぱんの看板商品だそうです。 

 

Papi Pain

 

 クープは6つと多めで、焼き色はしっかりと付けられています。

 
 粉は、フランス産の小麦他を自家配合しているそうで、極秘のノウハウなのでしょうね。

 

Papi Pain

 

 生地の底面を見ますと、直焼き(ハースブレッド)であることが一目で分かりますし、焼成中は、おそらく断面がまん丸に近いくらいに生地膨張していると推測します。

 

 御影石は内部が密に詰まっていますから、生地が炉床に接している部分の温度が上がり易くなる傾向があります。

 

 つまり、上写真で焼き色が濃く出ている部分以外は(パン生地がパンパンに膨らんでいて)炉床から離れていると思って頂いて結構です。

 

 一方、レンガのような石質板や天然石でも気泡を含んだような状態の石であれば、一層熱伝導率が低く、特徴的な焼き方ができるようになります。

 

Papi Pain

 

 内相は、標準的に歪な気泡が見られますが、なんとなく縦に伸びているようにも見えなくはないような・・・。

 

 クラムの食感はモチモチしており、小麦粉の風味が十分に感じられる商品でした。

 

パン・オ・ショコラ(240円 税込)

 クロワッサン生地をベースにバトンショコラ(棒状のチョコレート)を巻いたパンオショコラは同店の2番人気の商品とか。

 

Papi Pain

 

 層の数は少し少なめでしょうか、生地の折込み油脂にはフランス産のピュアバター100%をされているそうです。

 

Papi Pain

 

 縦にカットしますと表面の生地がパラパラと崩れてくるほどで、食べてサクサクの食感が堪能できます。

 

ヘーゼルナッツクリームのショコラ(270円 税込)

 パン・オ・ショコラにヘーゼルナッツクリームを掛けて、焼き上げています。

 

Papi Pain

 

 冷やして食べるといった食べ方提案もされています。

 

Papi Pain

 

ピスタチオ・ショコラ(270円 税込)

 ピュアピスタチオペーストと自家製アーモンドクリームで作ったペーストを
クロワッサン生地のパン・オ・ショコラに塗って、焼き上げた商品です。

 

Papi Pain

 

 今では、上記のショコラ・ヘーゼルとピスタチオの三つを合わせて『ショコラ3兄弟』と言われているとか、いないとか。

 

Papi Pain

 

クイニーアマン(280円 税込)

 クイニーアマンは、元々フランス・ブルターニュ地方の伝統菓子です。

 

 このクイニーアマンという言葉は、ブルターニュ地方の古い言葉・ブルトン語で『バター(amann)の菓子(kouign)』を意味しています。

 

Papi Pain

 

  外側は焦げた糖がカリッとした食感を生み出して、バターの香りと相まって心地良い食べ口を与えてくれます。

 

Papi Pain

 

 この食べておいしいクイニーアマンですが、いざ作るとなりますと特に焼成の工程で焦げた糖とバターが型もしくはセルクルにべた付いてしまい、器具のメンテナンスが大変です。

 

レシートに注目

 支払いを済ませて、ずいぶん長いレシートを見ていたところ・・・。

 

Papi Pain

 

 ん?、レシートには『大丈夫! なんとかなる‼ (^0^)』の文字が。

 

 どこへ向けたメッセージなのかは分からないままですが、その場の雰囲気で、

大丈夫だ、なんとかなる! (やっと最後にタイトルの説明ができました)