過日にぱぴ・ぱんへ行きました折、実はその後にもう1件のベーカリーへ足を運びました。
そのベーカリーがLe Sixieme Sens (ル シズィエム サンス)で、オーブンは同じく石床窯オーブンを使用しています。
今回は、石床窯オーブンを扱っている機械メーカーの紹介とル シズィエム サンスのリポートとなります。
【 目次 】
石床窯オーブン
以前の記事で石窯オーブンの特徴として、下火の効果は他の材料では再現が難しい旨を解説しました。
つまり、上火は制御系で代替が可能であることから、石窯オーブンの焼成条件を得る目的であれば、炉床を石材にすることで対応できると考えられます。
その炉床に石材を使用しているオーブンが三幸機械製のKamadoオーブンです。(上画像の『Kamado』のネームは後でも出てきます)
Kamadoと聞きますと、先日公開となりました大人気アニメ映画・鬼滅の刃の主人公:竈門炭治郎&禰豆子を連想してしまいますが、全くの無関係です。(ちなみに上写真ですが、劇場版 鬼滅の刃 無限列車編の公開4日目に家族に付き合ってもらって鑑賞してきました際に、先着特典で頂きました小冊子のカバーです)
炉床の石材には天然の御影石を使用しています。
一般的に炉床に天然石を使用しますと、コスト増から高額なオーブンになってしまいますが、このオーブンは一般的なデッキ式オーブンより低額の設定となっています。
なぜでしょうか。
それは、三幸機械が中国に工場を保有していて、そこから材料を輸入している為です。
中国では、加工された石質材よりも天然石の方がまだ現時点では安価に入手できるのですね。
余談ですが、中国におけます製パン用のトンネル式オーブンの性能に関しては、日本製の三幸オーブンが最も高い評価を得ているそうです。(コピー機も数多く出回っているようですが)
ル シズィエム サンス
名古屋市天白区の平針運転免許試験場からほど近いところに、そのベーカリーはあります。
青と赤を基調とした、スマートな感じの店舗です。
Le Sixieme Sens(ル シズィエム サンス)とはフランス語で"第六感"という意味で、 今までにない新しい感覚の感動を、このお店のパンを通じて味わって欲しいという思いが込められているそうです。
このお店の謳い文句にも石床窯オーブンを使用していることが明記されているのですが、店内に入りますと、奥の作業場にはそのデッキ式オーブンが見えます。
お分かりになれますか?、オーブンのネームに『Kam・・』まで見えています。
商品はショーケースに並べられて対面式で販売されています。
今回購入してきました商品は、この4品です。
フリュイ(1/2 395円 税別)
レーズン・イチジク・クランベリー、クルミが入ったハード系のパンです。
フルーツパンと言うだけあって、トップ部分のクープからも混ぜ物の果実が見えます。
底面もハースブレッド(直焼きパン)の表情なのですが、なにやら生地のつながりが歪になっているところが気になります、それは・・・。
それは、断面を見て納得しました。
生地に対して、混ぜ物のフルーツがこれだけ大量に入っています。
まるで、果実のつなぎに生地が使われているかのような状態です。
ミエル(1/2 395円 税別)
クランベリー・クルミ・カシューナッツ・カボチャの種・はちみつが入ったパンです。
外観の色合いはフリュイと少し異なりますが、クープから覗いています木の実の感じは近いものを感じます。
底面の表情もやっぱりという感じです。
断面を見てみると、この果実&木の実の量に圧倒されます。
随分、スナックまたはスイーツの領域に入っている感覚です。
ヴィエノワーズ・ショコラ(220円 税抜き)
スイートチョコチップを散りばめたソフト系のロールパンです。
ヴィエノワーズとは、もともと素朴な生地でつくられたソフトなパンだったそうですが、現在では、バター、砂糖、卵や牛乳が配合され、パン・オ・レに近い味わいになっているとか。
細やかなクープが入れられていますが、焼成初期に軽く蒸気を使っているか否か、といったところでしょうか。
バゲットの元になっているとも言われているくらいですので、その可能性もありそうです。
ソフト系の生地でも、蒸気を使用しますと表面の生地の食感に特徴が出て、引きが強くなってきます。
ヴィエノワーズ・あんバター(260円 税抜)
大納言粒あんとカルピス発酵バターが、ヴィエノワーズにサンドされています。
我が家の定番ですから、やっぱりあんバターは外せません。
特別講義
昨日、学会(第41回日本熱物性シンポジウム)での私の研究発表(今年はリモートとなりました)が終わりました。(シンポジウムの期間は今日まで開催です)
正直なところ、先週の講義やセミナーと比較して非常に緊張しますし、疲れました。
講義やセミナーでは確証が取れた内容を話しますが、学会での発表は未報告の最新の研究内容を披露する訳ですので、質疑応答ではかなり切り込んだ討議がなされます。(そして、カルチャーショックを受けて、少し凹んだ後、また頑張ろう、と。この繰り返しです。私は個人事業の傍ら研究しており、大学等の研究機関にはレベル的に全く及ばないので。)
ところで、先週は特別講義があった訳ですが、私の製パンの話の最後にはこのようなページで締めています。
学生のみなさんには、頭の中でイメージすることを大事にしてほしいと説いています。
なぜ、ニュートンさんはリンゴが木から落ちるところを見て万有引力を発見したか・・・、落ちてきた木の高さをどんどん高くして、ついには月まで届くような高さの木をイメージし、この高さの木からはリンゴは落ちてこないだろう、これはなにかの力が働いているためでは、と考えたことによるそうです。