黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

食パンの比容積の話・リベンジの100食パン ~ クリスマス・クリスピークリームドーナツとanopan

 先日、ESPRESSO D WORKSの生地吸水が100%のワンハンドレッド食パンについて紹介しました。

 

www.santa-baking.work

 

 その時『重量が重い(比容積が低い)わけでもありません。』と記載しましたものの、形状が細長いと言っておきながら、実際に形状の測定をしたわけでもなく、その状況の中で比容積が低くないと断言してよかったものか・・・、一抹の不安を抱えていました。

 

 今回改めて、その不安を解消すべく、再度調べてみましたので、ご報告します。

 

 それと、やっぱり気分はクリスマス的なリポートも少々。

 

【 目次 】

 

ワンハンドレッド食パンの比容積

 改めて100食パンの調査を行うにあたり、またまた(家族に頼んで)この食パンを購入しました。(・・・何度も何度も、家族には本当に感謝と謝罪です)

 

外寸法

 100食パンの外寸法は下写真の通り、233(縦)×107(横)×111(高さ)[mm]で、体積は2767cm3 となります。

 

ワンハンドレッド食パン

 

 焼成・冷却後に収縮していることは承知していますが、あえてこの寸法を使用しました。

 

 1斤あたりですと1384cm3ですので、後で出てくる一般的な食型(1斤あたり1825cm3)と比較しますと、実に3/4程度の大きさしかありません

 

重量と比容積

 重量は6gの包装紙+クロージャーを含めて707gですので、701gとなります。

 

 ここから焼成前の型生地比容積を推算しますと、Baking Loss(焼成時の水分蒸発率) : 9.5%、Cooling Loss(冷却時の水分蒸発率) : 2.5% と仮定して、

 1384÷(701/(1-0.095-0.025)/2) = 3.47

 

 えっ、型生地比容積が 3.47!

 

 これがどれだけ低い数字かと言いますと、一般的な食パンが3.8~4.0ですので、通常より10%程度は重く生地を分割していることになります。

 

 食型の形状が細長いのも、潰れ難くするための対策だったのではないでしょうか。

 

まとめ

 吸水を100%で仕込むことは生地の扱い難さだけではなく、最終発酵や焼成工程での生地の伸びと形状の保持も期待し辛いことが推測されました。

 

 ここまで苦労して小麦粉(おそらく)、食型、生地重量や焼成条件を確立されたことは、すごい企業努力と思っています。

 

 なお、上記の計算等は、あくまで私的な推測によるものです。

 

型生地比容積とは

 通常、パン屋さんが食パンを製造する際、生地重量に対して、使用している食型の容積の比率:型生地比容積の数値を基準にして、生地の分割重量を算出します。

 

 この(型生地)比容積という言葉は、一般的にはあまり聞き慣れない単位なのですが、単位重量当たりの容積を示し、密度の逆数となります。

 

 一般的な食パンの型生地比容積は、3.8~4.0(cm3/g)程度であり、本来この値は当然のことながら焼き上がった食パンの(体積/重量)ではなく、製パンする際の生地重量を求める場合に利用される数値です。

 

f:id:santa-baking:20200202154400j:plain

 

 つまり、使用する食型に対して、何グラムのパン生地を何個詰めればいいかと考える際に用いられるものです。

 

 値が低くなれば、分割する生地重量が重くなって、密な内相になりますので、製品の外観形状は保持し易くなります。

 

 逆に高くなれば生地重量は軽くなって、空隙率の高い内相になりますので、クラストが薄くなることで腰折れの心配も出てきます。

 

 今、私がテストで使用している3斤サイズの食型のサイズが、縦:L=365mm, 横:W=120mm, 高さ:H=125mm ですので、例えば、型生地比容積=4.0(cm3/g) の食パンを作る場合には、

 365×120×125/1000/4.0 = 1368.75g

の生地が必要となります。

 

f:id:santa-baking:20200202154459j:plain

 

 それであれば、M字成形で3玉なら (1368.75/3=) 456.25gで分割することになりますし、U字成形で6玉なら (1368.75/6=) 228.125g となります。

  

 ところで、この生地重量で製パンしました角形食パンの重量はどの程度になるのでしょう。

 

 このサイズの食パンですと、焼減率を11%(Baking Loss = 9% + Cooling Loss = 2%) としますと、焼成・冷却後の生地重量が、

 1368.75×(1.0-0.11) = 1218.1875g

となります。

 

 1斤で市場に出回る時には、両端のクラスト部を切り落としますから、

 1218.1875g/3 = 406.06g

よりは軽くなりますが、日本パン工業会が定めている基準:1斤が340g以上、はクリアできると思われます。

 

クリスマス・・・的な

 12月になりますと、いよいよクリスマスを意識した商品や装飾が目を惹くようになってきます。

 

クリスピークリームドーナツ

 こちらは、ジェイアール名古屋タカシマヤ店限定のクリスピー・クリーム・プレミアム ホリデー ベア(要冷蔵 300円 税別)です。

 

クリスピークリームドーナツ

 

 ケーキのようなドーナツ『クリスピー・クリーム・プレミアム』シリーズの新作で、ドーナツから飛び出したサンタ帽子姿のチョコホイップのベアがかわいいですね。

 

 なお、ドーナツの真ん中には福岡県産あまおういちごのジャムが絞られていました。

 

 クリスピークリームドーナツでは、個人的にオリジナルグレーズドが好物なのですが、今回はイチゴ ミルク サンタ(290円税別)とキャラメル クリスマス ベア(250円 税別)を付けて、購入(してきてもらいました・・・これも家族に)。

 

クリスピークリームドーナツ

 

 イチゴ ミルク サンタにはイチゴミルククリームが、キャラメル クリスマス ベアにはキャラメルクリームがたっぷりと充填されていました。

 

 いずれも、おいしく頂きました、ごちそうさまでした。

 

anopan

 私がリピートしているベーカリーの anopan では、実際のパンをオーナメントにしてツリーを飾られていました。

 

anopan

 

 飾られているパンはどれも乾燥させてドライな状態にしてありますので、衛生上は問題ないと思います。

 

 来店されていた多くのお客さんは、もの珍しいツリーをしっかり撮影されていました。