黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

ショコラシュトーレン・パスコ(ゴディバとのコラボ) ~ 中種を仕込む

 パスコから11月17日に発売されたゴディバとのコラボ商品2品種(ショコラブレッド&テリーヌショコラ)を先月リポートしました。

 

 その際にアナウンスがありました、もうひとつのコラボ商品:ショコラシュトーレンが、今日12月15日に発売開始されましたので、早速購入していきました。

 

www.santa-baking.work

 

 シュトーレンは、その製造工程におきまして、中種とか前生地とか表現されます生地を、本捏ね生地とは別に前段階で仕込みます。

 

 今回は、そこに関連付けて中種のミキシングにも解説を入れていこうと思っています。

 

【 目次 】

 

中種のミキシング

 製パンにおけます本捏ねミキシングが生地物性のタイミングを見計らいながら混捏することと比較しますと、中種ミキシングの目的は均一に混合する、規定の温度で降ろす、ことに主眼が置かれます。

 

中種 ミキシング

 

 ミキシング後の中種生地は、ほとんど伸展性がなく、感覚的には玩具の粘土に近いものがあります。

 

 ところが、この中種生地を降ろす温度には非常にシビアな、例えば目標温度±0.数℃といった規定が掲げられているケースも見受けられます。

 

 そして、それはバッチ毎のバラツキに収まらず、1バッチ全体が均一な温度でまとまっていることも求められます。

 

中種 ミキシング

 

 従いまして、ミキサーの機能にある壁面冷却は通常中種ミキシングでは使用されません。

 

 ミキシング終了時に壁面に接触していた部分が局所的に冷やされてしまうからです。

 

 結果として、生地温度の調整は、仕込み時の吸水の水温で対応することになります。

 

 ただし、夏場のように気温が高く、粉温度が想定以上に上昇してしまっているような状況の時には、融解潜熱を考慮して、水を氷に置き換えて仕込むときも出てきます。

 

 このように製パンの工程を管理する人達は、熟成の過不足に関して非常に神経を使っていることが分かります。

 

 近年では、ミキシング中の摩擦熱による温度上昇も考慮して捏ね上げ時のエンタルピーを計算し、ミキシング開始時の壁面温度を冷却させる技術も開発されています。

 

 ミキシングが始まりますと壁面冷却はストップしますので、終了時には生地温度と同程度になっているという訳です。(この技術は特許になっていますが、公開されている内容以外のことはお伝えできませんので、ご容赦ください)

 

ショコラシュトーレン

シュトーレンとは

 シュトーレンは、ドイツやオランダでクリスマスに食べられる伝統的な食品で、その名前はトンネル型の外観形状から、ドイツ語の坑道に由来しているそうです。

 

 酵母の入った生地にレーズンとレモンピール、オレンジピールやナッツが練りこまれていて、焼き上げた生地の上には真っ白になるまで粉糖が振りかけられます。

 

 一説では、その形が幼子のイエスを産着で包んでいるように見えるとも言われているそうです。

 

 ドイツでは、クリスマスを待つ4週間のアドヴェント(待降節)の期間に少しずつスライスして食べる習慣があって、この間にフルーツの風味は時間の経過と共にパンへ移っていくとのこと。

 

 その変化もシュトーレンの楽しみ方のひとつなのではないでしょうか。

 

ショコラシュトーレン包装

 配送のタイミングのせいかもしれませんが、今回はコンビニ2軒(ローソン、ファミリーマート)では売られていませんでした。

 

 結局、イオンへ足を運んで購入です(火曜朝市で、午前8時から開店していました)。

 

パスコ ショコラシュトーレン

 

 ずいぶん重厚なイメージの箱入りです、袋包装ではありません。

 

 そして、前面には大きく『GODIVA』の文字が・・・、パスコの桜マークは左下にちょこんと見えますものの、もうこれはゴディバのショコラシュトーレンです。

 

パスコ ショコラシュトーレン

 

 原材料表示を見てみますと、小麦(国内製造)、バター、チョコレート、ミックスフルーツの順に並んでいます。

 

 表中に小麦粉、塩、パン酵母、水が含まれていますから、名称に記載の通り、菓子パンです。

 

パスコ ゴディバ

 

 では、箱から取り出して見てみましょう。

 

外観

 形状は平たいカンパーニュのようで、ラフな形状からは素朴さも伝わってきますが、最終的に箱に入れることを想定しますと、型は使用して発酵・焼成を行っていると推測します。

 

パスコ ゴディバ

 

 紙トレーは汚れていませんので、この紙トレーを使用して焼成したのではなく、製品は焼成・冷却後、包装前に紙トレーに載せられたのでしょう。

 

 また、粉糖をまぶすタイミングは冷却後~トレー載せの間の工程と思われます。

 

内相

 カットしてみますと、下の写真の通り、ほとんど気泡が確認できません。

 

パスコ ゴディバ

 

 言い換えてみれば、断面を見た目にはほとんどチョコレートとミックスフルーツといった感じです。

 

 考えようによりましては、量的に小麦粉がもっとも多く使われているにもかかわらず、これほどのチョコレート感が出ていることも新しい発見だったのかと思えてしまいます。

 

食感・風味・食味

 包装紙を切った時点から、芳醇なチョコレートと洋酒の香りが漂ってきます。

 

 食べてみますと、パンというよりはミックスフルーツ入りの濃厚なチョコレートといったイメージです。

 

 噛んで食べるというよりも、ミックスフルーツを噛みながらチョコレートを口の中で溶かして食べている感覚でした。

 

あとがき

 今回購入しましたショコラシュトーレンですが、価格は2000円(税別)です。

 

 今回もパスコがゴディバとコラボした商品ですが、先行した2品種(ショコラブレッド:248円 税込、テリーヌショコラ:204円 税込)がお値打ち価格でしたことと比較しますと、桁がひとつ上がっていますし、少々構えてしまいそうです。

 

パスコ ショコラシュトーレン

 

 それでいて、サイズは私がイメージしていたものよりけっこう小さいんですね。(重量:230g 包装紙含)

 

 最初に商品を見た時には、このサイズでこの価格・・・。

 

 たしかに最近は小さいサイズのシュトーレンも市場に出回っているようですが、それでもベーカリーが出すシュトーレンなら、と勝手に想像(期待も)していましたので。

 

 今回の商品は食べた感覚もチョコレートでしたし、表示上は菓子パンでも高級なパスコのシュトーレン(パン)というよりは、ほぼゴディバのチョコレートと理解しました。