時は経ってしまいましたが、東京では桜が満開の頃、東京麹町にありますパンの原材料メーカーへ足を運ぶ機会があり、そこでの担当者の方から歩いて数分のところにありますリテイルベーカリー:デイジイ麴町店を紹介して頂きました。
埼玉県川口市に本店を構えます同店は、商品のクロワッサンがコンクールで賞を受賞する等、人気のお店です。
そして、後日に分かったことなのですが、デイジイではドーナツフライヤーに電波振動装置を組み込んで商品を揚げていることを知りました。
今回は、デイジイの商品と共に新たな食品加工技術について紹介をしていきたいと思います。
【 目次 】
電波振動技術
あまり聞き慣れない言葉ですが、古くは浅川効果という名称で食品の加工や保存への効果について、(高圧の)電場を利用する研究が行われてきました。
その効果は、熱効率の向上、鮮度維持、酸化の抑制等を謳っているのですが、現在、この技術がいまだ十分に波及していない最大の要因は、メカニズムの未解明と再現性の低さと個人的には思っています。
デイジイでは電波振動技術(おそらく交流電場)を応用しましたドーナツフライヤーを導入して、カレーパンやドーナツ、コロッケなどを揚げており、お店側の評価としては油の吸収を抑えられてカリッとヘルシーに仕上がっているとのことです。
対象商品は、ドーナツ・揚げパン類で、ホテルカレーパン、昔ながらのコッペパン、といったところになります。
事前に知っていれば、確実にドーナツ製品を購入したのですが、非常に残念です。(次回の東京出張の折に時間を作って、再度、確かめてみます)
なお、この電波振動技術の装置は、ガイアの夜明け、がっちりマンデー、林先生が驚く初耳学、その他の多数のメディアでも取り上げられたそうです。
デイジイ 麴町店
お店の外観は、コバルトブルーを基調とした、とても清潔感のある整った店構えです。
デイジイは、埼玉県川口市内に5店舗、蕨市に1店舗、そして東京に3店舗を展開するベーカリー&パティスリーで、オーナーの倉田博和氏は、ドイツ・IBA CUP2006で世界第3位入賞された技術の持ち主です。
ところで、店名のデイジイとはひな菊のことで、踏まれても負けない強い花のように、失敗してもくじけずに自分で納得のいくパン作りを心がける気持ちから命名されたそうです。
創業以来ずっと守られてきました粉から作るオールスクラッチという伝統的製法の一方で、最先端の技術に意欲的に取り組む姿勢には、個人的にとても共感が持てます。
店内に入りますと、1Fには商品棚とレジがあり、木とレンガの温もりが感じられるとても明るい店内が印象的です。(店員さんに許可を頂いて、写真を撮らせて頂きました)
そして、レジの左わきには2Fのカフェに上がる階段があるのですが、その手前には同店オリジナルのトートバッグも販売されています。
購入したパンと少し大きめの仕事のバッグを持って2Fに上がり、ドリンクは別途こちらで受け取ります。
雰囲気のあるテラス席もあったのですが、商品の写真のことも考えて窓際の席を陣取りました。
昼食を兼ねていましたので、パンは3品、そしてドリンクはいつものカフェラテ(ノンシュガー)です。
クロワッサン B.C. (250円 税別)
デイジイの売れ筋ランキングの第1位が、クロワッサンB.C.です。
すみません、コンテスト名を調べることを失念してしまいましたが、農林水産大臣賞受賞の商品で、入口を入ってすぐの棚にのぼりのような目立つPOPで陳列されていました。
クロワッサンB.C.は、アーモンドケーキをクロワッサン生地で包み、上にクッキー生地をソボロ状にしたものと、砕いたアーモンドをトッピングして焼き上げられています。
なお、B.C.のBはバター、Cはクロワッサン、クッキー、ケーキを意味しているとか。
外観からはよく分かりませんでしたが、断面を見てみますと、クロワッサン生地で包まれたケーキ生地がはっきりと分かります。
なお、クロワッサンと称しながらカヌレのような形状の型に詰めて焼成しているのは、流動性の高いバッター生地であるケーキ生地を内包している為と思われます。
野菜のタルティーヌ(220円 税別)
スライスしたパンドカンパーニュに自家製ホワイトソースを塗り、野菜とチーズをのせ、塩をふって焼いた商品で、仕上げにオリーブオイルを塗っています。
先述の通り、昼食を兼ねていましたので、店員さんに総菜パン系の商品でお奨めを聞いてセレクトしました。
ただ、実を言いますとズッキーニは少々苦手だったのですが、こちらから尋ねておいてお奨めを無視する訳にもいかず、ここは折角ですので、謹んで食べさせて頂きました。
使用されていますパンドカンパーニュの内相も、申し分ありません。
歯応えがあって、トッピングの野菜類やチーズによく合います。
ガーリックバゲット(160円 税別)
こちらの商品も、同店の人気BEST10に名を連ねる商品です。
この日の仕事は午前中に既に終わっていましたので、気兼ねなくガーリックのパンを食べることができます。
クープは縦に1本入れられていて、ガーリックバターが浸みこみやすい様に背割りのカットと横方向の浅いカットが施されています。
底面を見てみますと、ハースブレッド特有の直焼きの跡が見られますが、底面全体に油脂が浸みわたっています。
おそらく、元の小振りのバゲットを焼き上げてから背割りのカット部分にガーリックバターを塗り、再度焼成していると思われます。
若干焦げたバターの風味も相まって、おいしく頂きました。
翌日は、西葛西にあります日本パン技術研究所でパン学校第218期の授業が予定されていましたので、この日は足早にホテルへ向かい、身体を休めていた次第です。