ある日、家族がファミリーマートで FAMIMA BAKERY の『パイの実のようなデニッシュ』を買ってきてくれました。
見た目に楽しい遊び心から購入してきてくれたと思いますが、また別の日にスーパーのパンの棚を眺めながら歩いていますと、そこには『カントリーマアムパン』が。
共に製造しているのは山崎製パンです。
購入時は子供の日の直前でしたので、ここは少しだけ童心に戻ってご紹介を。
そして、カントリーマアムパンの外観から、今回はメロンパンの焼成方法について解説したいと思っています。
あと、最後にちょっとしたご報告が。
【 目次 】
メロンパンの焼成方法
メロンパンは日本発祥の菓子パンで、上面に被ったさっくりしたビスケット生地と内側のソフトな生地のコンビネーションがおいしさを醸し出します。
天板を使用して焼成する菓子パン類には大きく分けて二通りの焼成方法があります。(すみません、ハースブレッド(直焼きパン)は、また別の機会に開設するようにします)
ひとつは、ふんわり・しっとりした食感が特徴のパンで、バターロールやドッグロール、あんパンといったパンの(主に上火に関します)焼成方法です。
上のグラフですと、生地上面の温度変化が緑色で示されますように、焼成初期の温度上昇は緩やかですが、焼成の最終段階までコンスタントに温度を上げて、窯出し直前に速やかに焼色を付ける方法です。
そしてもうひとつが、サックリとした食感が特徴的なメロンパンやデニッシュ等を焼成する時の方法で、上のグラフですと生地上面温度が赤のラインのような温度履歴を取ります。
このふたつの焼成方法を焼色を揃えた上で比較すると、なにが変わってくるか。
それは、およそ100℃以上で蒸発する生地中の水分量です。
簡単な比較で、緑の線より赤の線の線が上回っている斜線の部分と、逆に赤の線より緑の線が上回っている斜線部分の面積の差が水分蒸発量の差となってきます。(赤い線の方が、広い面積を示すことが分かります)
しっとりとサックリと使い分け、焼き方にもテクニックが必要です。
なお下火に関しては、おおよそのパンで良好とされる条件はあまり変わりません。
ところで、工場の連続生産ラインではトンネル状のオーブンの中をコンベアに載ってパンが流れていきますので、進行の工程に沿ってゾーンの温度を調整し、理想の焼成条件で様々なパンを製造しています。
一方、家庭用のオーブンであれば、対流ファンの付いていないタイプはしっとり系パン向き、対流ファンの付いているタイプはサックリ系パン向きという事になります。
ただ、どちらのオーブンもしっとり系もしくはサックリ系のパンが焼けないという意味ではけっしてありませんので、誤解のなきよう、お願いします。
パイの実みたいなデニッシュ(130円 税抜)
モデルとなっていますのは、もちろんロッテの『パイの実』です。
本家のパイの実と比較して重量比で17倍とのことですので、形状が相似形でしたら、縦・横・高さの寸法は各2.57倍になって、体積も17倍となるところですが、おそらく生地中の水分は多めに残っていると思いますので、体積はそこまで大きくなっていないと推測します。
そして今回は、商品名にパイという名称が含まれていますものの、『・・・みたいなデニッシュ』ですから、配合にパン酵母が含まれていても問題はありません。
外観
外観の六角形は、シート生地の成形ラインではロータリーカッターを通すだけですので、比較的容易に成形することができます。
ただし、フィリングのチョコレートが生地付近と中心付近で(上下面近傍で溶けている?)状態が変わっているところから、おそらく充填後に最終発酵・焼成を行っていると思うのですが、そうなりますと成形のコンベア上でチョコレートフィリングを絞るためには、絞り口を2列用意するか、もしくは1列毎に横方向の位置をずらさなければなりません。
実際の製造ラインの仕様は、山崎製パンの方しか分からない訳ですが、しっかり製造コストを下げるべく対応してくるところは、さすがトップ企業です。
食感・食味・風味
やはり、パイではなくデニッシュですので、食感に本家のサックリ感は望めません。
ただ、口を大きく開けて、あのパイの実に思い切りかぶりつく爽快感は、この商品ならでは楽しみ方かと思っています。
カントリーマアムパン
こちらは、不二家のカントリーマアムをモデルにイメージしたパンです。
不二家は、山崎製パンのグループ会社ですので、商品化にはそれほど高いハードルではなかったかと思います。
原材料名にありますチョコチップ入りビスケット粉末が、外側に被っています生地と思いますが、この外観形状から推測して、メロンパンのラインで流しているのではないでしょうか。(以前のTV番組で、山崎製パンはメロンパン専用の製造ラインを持っていることが放送されていました)
外観
パン自体の高さがあまり高くなく、横に伸ばした形状となっています。
生地の底面を見てみますと、平たい形状にビス生地が回り込んでいる状態が見て取れます。
製品高さが抑えられたためでしょうか、生地中央の綴じた部分がそのままの浮いた状態で焼き上げられています。
通常、メロンの製造には腰(高さ)を出すために下写真(大きなメロンパン:山崎製パン)のようにプレス天板が使われることが多いのですが、この商品の底面にはそのような跡がありません。
おそらく、あえて平天板を使用してパンの高さを抑え、形状を本家の商品に調整しているものと推測します。
スライス面のチョコレートフィリングを見てみますと、おそらく連続式の充填機で絞られたのでしょう、幅広の口金を使用して直線的にフィリングを吐出しますと、このような四角の形状で充填されることになります。
仮にタクト式(連続バッチ式)の充填方法であれば、若干時間は掛かりますが、手絞りのような円形の充填も可能かもしれません。
食感・食味・風味
本家のカントリーマアムが、ややしっとりした食感の生地ですので、このメロンパン様の製造方法はイメージとして合っている、と感じました。
そしてパンを嚙んだ時点で、カントリーマアムのような甘くチョコレートの風味が口の中に広がって、次にチョコチップの食感が伝わってきます。
包装紙を見て、思わず笑みがこぼれてしまうような商品でした。
私毎ですが・・・
還暦を迎えました。
企業勤めをしていたとしても、定年退職となります。
波乱万丈とは言いませんが、それなりの変化に富んだ60年でした。
さて、そのような折、いちご (id:malmaltan)さんの記事を読ませて頂いて、ネコ(その時は、そのように思い込んでいました)のイラストのチリワイン:サンタ バイ サンタ カロリーナを知りました。
背景が黒い猫のサンタワインです。
ところが猫と思い込んでいましたイラストの動物は実際には、現地でチリアンライオンとも呼ばれます、アンデス高原のピューマがデザインされていることが分かりました。(まあ、同じネコ科ですので。)
紹介頂きましたワインは赤でしたが、自分の好みで白(辛口)を購入して、久し振りに少しだけアルコール補給です。
この特別な日に、乾杯!