黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

ミミまでやわらかい食パン・山崎製パン ~ そしてanopanの近況

 およそ3年前にスーパーマーケット・バローオリジナルの『ミミまでやわらかい食パン』(製造元:山崎製パン)の記事を掲載しました。

 

www.santa-baking.work

 

 ふと思ったのですが、その食パンがいまだに継続されて販売されているという事は、既にこの商品が定番商品として定着しているということでしょう、と。

 

 今回は、過去記事を思い出しながら、この定番商品を再度紹介していこうと思います。

 

【 目次 】

 

バロー新瀬戸店

 バローは、岐阜県を拠点として、東海、甲信越、北陸、近畿に230以上の店舗を持つスーパーマーケットです。(2020年7月1日現在 236店舗)

 

 

 残念ながら、全国展開といったわけではありません。

 

ミミまでおいしい食パン

 

 いつも見慣れたパンコーナーの棚ですが、見慣れていること自体が、実はすごいことなのでしょうね。

 

ミミまでやわらかい食パン(138円 税別)

 この『ミミまでやわらかい食パン』が発売されましたのは日本で空前の食パンブームに沸いていた頃で、製パンメーカー最大手の山崎製パンがバローオリジナル商品として手掛けました。

 

 コンセプトは、『湯捏ね製法』『しっとり感、もっちり感』『そのまま食べてもおいしい』となっていて、当時のトレンドの『生食パン』に近付けている感が満載です。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 製品の特徴ですが、ミミまでやわらかい、と謳っている以上、クラストの部分には十分な配慮がなされていて、一般的な角形食パンと比較しますと、焼色は随分と薄く仕上げられています。

 

 専門店の高級食パンと比較しますと、1/3程の価格の商品がまったく見劣りすることなく食べられることに、改めて今の製パンメーカーの技術の高さを再認識しました次第です。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 重量は申し合わせたかのように、1斤(340g以上)の定義から10%程度の安全率で生地が分割されています。

 

外観

 焼色はやや薄め、(顕著なケービングが起きている訳でもなく)骨格はしっかりと、この相反する二つの特徴を共有できている点で、非常に高い完成度です。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 ホワイトラインも適度に出ています。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 そして底面には、ボタン上の凹みがあって、穴開きの食型を使用していることが分かります。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 側面や上面と比較して、底面はやや強く焼いているようです。

 

内相

 膜は薄いのですが、クラムの色がやや陰って気泡が疎になっているような印象を受けます。

 

ミミまでやわらかい食パン

 

 ただ、これは内相が荒れているというよりは、(決して悪い意味ではなく)もしかして固形分の密度が低いのではと思ったりもしてしまいます。

 

風味・食感・食味

 さて、今回のミミまでやわらかい食パンですが、食べてみますとやはりクラストの薄さからソフトな食感は十分に伝わってきます。

 

 そして、内相のところで感じました疎な感じは噛んだ時の軽い食感に効いている気がします、そう、軽さが心地いいんです。

 

 そして、食味としてはほんのりとした甘みも。

 

 この甘味なのですが、作る側から考えますと焼色が着色する要因の糖がそれなりに含まれているでしょうから、更に作るのが大変だったと思います。

 

 店舗の固定式オーブンと違って、大型生産ラインで使用されています連続式オーブンでは、十分なメンテナンスと設定がなされていなければ、点火バーナー位置での加熱強度のムラが製品の焼色に直に影響を及ぼすことは容易に考えられるからです。

 

 最後に、(生食パンに引けを取らない)これだけレベルの高い食パンが日常的に食べられることに感謝です。

 

anopan の近況

 最近、anopanの話が出ていませんが、Google Map で近所のパン屋さんを検索してみましたところ、このような結果に。

 

anopan

 

 なんと、評価は 4.5 でこの辺りのトップに登りつめているでは、ありませんか!

 

 ちなみに次点は 4.4 でエムルパンとモンタナベーカリーとなっていました(どちらのパン屋さんも時々出掛けるお店です)。

 

桜もち丸

 昨年も一昨年も紹介させて頂きました、anopan春限定のパンです。

 

anopan

 

anopan

 

 外観もそうなのですが、カットした断面から特徴的な包餡方法を取っていることが分かります。

 

 ちなみに昨年は、こちらの記事中で紹介させてました。

 

www.santa-baking.work

 

 やっぱり今年も春には、このモチモチ食感の桜もち丸といった感覚です。

 

あとがき

 昨日(3月7日)、パンシンポジウムが終了しました。

 

 公開シンポジウムを意識して、せっかく聴講頂いた方々にとにかく新たな発見を提供できれば、と講演したつもりでしたが、どこまで貢献できたか、正直なところ、少々疑心暗鬼です。

 

 記事は、近日中にアップしようと思っています。