黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

スフォリアテッラ・ローソン ~ ジョブチューンでのジャッジの結果は

 新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

 

 突然で恐縮なのですが、本日、2023年1月1日のTBS系TV番組:ジョブチューンでローソンのスイーツが一流スイーツ職人のジャッジを受けることになるようです。

 

スフォリアテッラ

 

 そして、その中でも私が気になっていますのはマチノパンの商品で、イタリア・ナポリの伝統菓子・スフォリアテッラです。

 

スフォリアテッラ

 

 スフォリアテッラは、イタリア語で “ひだを何枚も重ねた”という意味で、貝殻のような外観は製造方法も非常に特徴的です。

 

 製造しています山崎製パンのラインも想定して、一流スイーツ職人の判断を聞いてみたいといった興味が湧いています。

 

【 目次 】

 

スフォリアテッラの成形

 スフォリアテッラは、その外観からシート生地から成形することは容易に推測できますが、油脂を織り込んで成形するパイやペーストリーとは少々異なります。

 

 本来の成形方法としては、あの1層の薄さまで伸ばした生地に油脂を薄く塗って巻いていき、それを輪切りにして成形します。

 

 ところが、シート生地の一般的な連続製パンラインでは1層でそこまで薄く延展できる装置は記憶にありませんし、たとえ薄く生地を延展できたとしても、その生地に薄く油脂を塗ることは機械ではとても困難です。

 

スフォリアテッラ

 

 となれば、少なくとも数層は折込みで成形して、そのシート生地を適度に延展してカーリングしてカッティング・延展(縦方向)・フィリングのデポジットではないかと推測します。

 

 当然、その際に中心部辺りでは層の模様が、若干本来の渦模様とは異なってきます。

 

マチノパンのスフォリアテッラ

 商品の外観は、このように包装紙越しにも生地の層がはっきりと見ることができます。

 

スフォリアテッラ

 

 そして原材料表示ですが、ここでの注目ポイントは2ヶ所です。

 

 ひとつ目は、本来融点の高いラード(もしくはバター)が使用されるところ、この商品には融点の低いマーガリンが使用されています。

 

 ところで、以前にも解説しましたが、かつてトランス脂肪酸含有量で危険な食品として取り上げられていましたマーガリンながら、現在では企業努力によります改良の結果、8年前の1/10以下、バターの半分以下のレベルにまで低減されています。

 

 けっして危険な食品なのではありませんし、以前にやり玉に挙げていましたメディアは改良された旨の報道もして頂ければと思います。

 

 話を戻しますが、油脂の融点が低ければ生地と油脂が混じり易くなり、きれいな層も作り難くなります。

 

スフォリアテッラ

 
 ふたつ目の注目ポイントは、本来菓子(パイ)である生地にパン酵母が配合されている点です。(ですから、名称は菓子ではなく、菓子パンと表記されています)

 

 つまりパン酵母を加えないパイ生地では、生地膨張はベイパーアクションと言って、水分蒸発(100℃)によって起こされます。

 

 ところが、発酵を伴うパン生地では発酵による生地膨張に加えて、炭酸ガスの溶出(60℃程度)やアルコールの蒸発(78℃)がドライビングフォースとなりますので、より低い温度で生地膨張が起こります。

 

 結果、層の形成には効果的に作用することが推測されます。

 

スフォリアテッラ

 

 さて、この層を一流スイーツ職人の方々は、どう評価されますでしょうか。

 

スフォリアテッラ

 

スフォリアテッラ

 

 以上のポイント3ヶ所について、コメントを出してくれる一流スイーツ職人の方がいらっしゃれば、是非お聞きしたいと思っています。

 

 ちなみに私は、

1.成形方法による内相の形状は、それほど問題ではなく概ね良好

2.層もしっかり出ているので、マーガリンの影響も軽微

3.本来のスフォリアテッラは層が揚げたように若干硬いもののようですが、マチノパンのスフォリアテッラは一般的なパイ生地のようなサクッとした食感になっている

と感じました。

 

 最後に、おいしさを問われれば、この商品は食感も食味もおいしいですし、とても注目もしています。

 

 この品質を作り上げるところは、さすが山崎製パンと尊敬の念さえ覚えます。

 

フィールのスフォリアテッラ

 フィールは、中部地方に展開するローカルなスーパーマーケットですが、ここの焼き立てパンはけっこうレベルが高いです。

 

 そのパンコーナーでも、スフォリアテッラを見つけました。

 

スフォリアテッラ

 

 デポジットしているフィリングはチョコレートとチーズケーキベースの2種類で、1個当たりの価格はローソンの商品とほぼ同額です。

 

 ただ、この商品は油脂がマーガリンながら、パン酵母は使用されていません。

 

スフォリアテッラ

 

 内相は、底部が詰んでいる?もしくは生地が薄いだけかもしれません。

 

スフォリアテッラ

 

スフォリアテッラ

 

 食べてみての感想ですが、どちらもおいしく頂きました。

 

 ただ、フィリングがこれでもか、というくらいたっぷりと入っていました。(チョコ等のコーティングもされていますし、コスパは高いと感じます)

 

サリュー

 以前に、スフォリアテッラに似た商品の紹介をしたことがあります。

 

www.santa-baking.work

 

 テーラ・テールは、東京では『365日』というブランドで展開しているベーカリーです。

 

サリュー

 

 以前は、クロワッサンとして紹介しました商品が、このサリューです。

 

サリュー

 

 五感で楽しむクロワッサンとの説明ですので、当然、パン酵母は使用していると推測します。

 

 私は本場のスフォリアテッラは食べたことがありませんので、画像で見ただけですが、層の厚さや焼け具合はサリューの内相が近いように感じました。

 

謹賀新年

 あらためまして、新年あけましておめでとうございます。

 

 旧年中は、年末にかけて記事の投稿が滞ってしまいましたが、ブログをやめた訳でもありませんので、本年もどうぞよろしくお願い致します。

 

 最後に、今日のジョブチューンは見逃しのないようにTV録画して観てみるつもりです。