黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

街のパン屋さん ~ プルマンベーカリー TVチャンピオンV2のお店

TVチャンピオンV2のお店

 先日、名古屋のデパートの催事(たしか北海道物産展)に北海道のプルマンベーカリーが出店されていました。

 このお店、テレビ東京系の人気番組・TVチャンピオンの第3回(1995年)、4回(1996年)全国選抜パン職人選手権で2年連続優勝した店主が営んでいるベーカリーです。

 特に食パンだけが売りのお店でもないのですが、これまでの流れもあって、今回も品質が一番分かり易い角形食パンを家族に購入してきてもらいました。

 店名(プルマン食パン = 角形食パン)にも使われているほどの商品ですので、当然のことながら期待してしまいます。

f:id:santa-baking:20190612173716j:plain

 原材料には、北海道産の超強力粉麦粉・ゆめちからや発酵バターを使用しています。

 北海道のベーカリーだけあって、素材には地産地消の思いが詰まっていますね。

 話が逸れてしまいますが、中国出張の折、日本ブランドのポジションの高さには本当に驚かされます。

 中国では特に北海道は高級ブランドとして既に確立されており、北海道小麦や北海道バター、そして北海道マーガリンまで…。

 ん?、北海道マーガリン? 探し方が悪かったせいか、ネットの検索では見つけることができませんでした。

 マーガリンの原料って、パーム(ヤシ)油が多いって聞いた記憶があるのですが、大豆油、なたね油、コーン油、綿実油、ひまわり油などの植物油(60%強)の他、動物性の魚油、国産の豚脂・牛脂も使われるそうですので、きっとあるのでしょう。

 話をプルマンベーカリーに戻しますと、HPでは原材料についての記載は特になかったのですが、日本では、北海道を中心に甜菜が栽培されていて、その甜菜から作られた砂糖は甜菜糖と呼ばれています。

 国内原料による日本の砂糖生産量の約75%、日本における砂糖消費量の25%を占めるほどですので、きっと糖は北海道産甜菜糖ではないかと想像しています。 (プルマンベーカリーの解説に記載されていましたら、ごめんなさい!)

 焼き方は、薄めに焼かれている商品が最近は多い中、ここの食パンは標準的な焼色と厚さのクラストです。

 それが、さらに素朴な感じを演出している気がしています。

 トーストして食べてみますと、素直においしいといった表現がぴったりする食感、食味です。

 総じてこの商品には、差別化といった方向性は必要ないと感じました(当然、いい意味で!)。

 最後に、防腐剤等は一切使用していません、冷蔵または冷凍庫にて保存の上、お早めにお召し上がりください、とのことです。

 ところで、プルマンべーカリーの人気商品となりますと半日で売り切れてしまうほど人気が高い『男爵カレーパン』だそうです。

 その名のとおり、地元北海道産の大きな男爵いもがごろごろと入っていてボリューム満点のカレーパンです。

 使われている材料から想像しても、これはうなずけますね。

 

 

 ここから後は、ほんの少し宣伝です…。またまた、来月に製パンの講演します。
セミナー講演会のお知らせ 主催:工業技術会】
◎演題
『製パン技術のメカニズムと品質評価 ~基礎から最新の技術・トレンドまで~』

◎講師

サンタ ベーキング ラボラトリー 代表 博士(工学)山田 盛二

■日時

2019年 6月26日(水)12:40~16:40

■会場

東京都千代田区半蔵門 JCIIビル 6階会議室

■受講料

1名 29,600円(消費税込)

※ 受講者の講師割引制度のご案内 ~ 本ブログをご覧になり、講師:山田の紹介として下記の用紙で受講申し込み頂きますと、受講料が5,000円割引(24,600円(消費税込))となります。FAXにてお申し込みください。詳細は、下記の工業技術会まで。

■申込先、問合せ先

工業技術会㈱ (〒102-0082 東京都千代田区一番町3-7 3F)

TEL:03(3239)5966

f:id:santa-baking:20190520233926j:plain

ホールセールのパン (5)山崎製パン ミミまでやわらかい食パン

食パンブーム

 今、日本では空前の食パンブームに沸いています。

 そんな中、製パンメーカー最大手の山崎製パンが『ミミまでやわらかい食パン(今回の購入価格 138円(税込))』を発売しました。

 正直な感想として同社のマーケットに対する適応力の高さには、多々感じるところがあります。

 パッケージには、『湯捏ね製法』『しっとり感、もっちり感』『そのまま食べてもおいしい』と記述されていて、従来の製品を今流行りの『生食パン』に近付けたコンセプトかと思ってしまいます。 

f:id:santa-baking:20190612153440j:plain

 製品の特徴ですが、ミミまでやわらかい、と謳っている以上、クラストの部分には十分な配慮がなされていると思います。

 通常製品と比較しますと、焼色は随分と薄く仕上げています。

 それでいて、顕著なケービングが起きている訳でもなく、非常に高い完成度です。

 焼色は薄く、骨格はしっかりと、この相反する二つの特徴を共有できている点です。

 少し話が逸れますが、いろいろな食パン専門店の食パンを買っては食べ比べていたある朝に、家族から『今日の食パンはどう?』と一枚のトーストが出されました。

 外観形状を見ても、食べてみても、確かにその頃食べていた数々の食パンと比較して間違いなく上位に入ってくる食パンに、つい、どこの店舗の商品だろうと思いあぐねていましたところ、『その食パン、(敷島製パンの)超熟だよ!』との発言。

 専門店の高級食パンと比較しますと、1/3程の価格の商品がまったく見劣りすることなく食べられることに、改めて今の製パンメーカーの技術の高さを再認識しました次第です。

 さて、今回のミミまでやわらかい食パンですが、食べてみますとやはりクラストの薄さからソフトな食感は十分に伝わってきます。

 そして、食味としてはほんのりとした甘みも。

 この甘味なのですが、作る側から考えますと焼色が着色する要因の糖がそれなりに含まれているでしょうから、更に作るのが大変だったと思います。

 店舗の固定式オーブンと違って、大型生産ラインで使用されています連続式オーブンでは、十分なメンテナンスと設定がなされていなければ、点火バーナー位置での加熱強度のムラが製品の焼色に直に影響を及ぼすことは容易に考えられるからです。

 特に下火に関しては、製品側面の下側が若干濃い焼色になっていることから、しっかりと火通りも考慮に入れた焼き方をしていると推測します。

 最後に、これだけの高品質の食パンが日常的に食べられることに感謝です。

 

 

 ここから後は、ほんの少し宣伝です…。またまた、来月に製パンの講演します。
セミナー講演会のお知らせ 主催:工業技術会】
◎演題
『製パン技術のメカニズムと品質評価 ~基礎から最新の技術・トレンドまで~』

◎講師

サンタ ベーキング ラボラトリー 代表 博士(工学)山田 盛二

■日時

2019年 6月26日(水)12:40~16:40

■会場

東京都千代田区半蔵門 JCIIビル 6階会議室

■受講料

1名 29,600円(消費税込)

※ 受講者の講師割引制度のご案内 ~ 本ブログをご覧になり、講師:山田の紹介として下記の用紙で受講申し込み頂きますと、受講料が5,000円割引(24,600円(消費税込))となります。FAXにてお申し込みください。詳細は、下記の工業技術会まで。

■申込先、問合せ先

工業技術会㈱ (〒102-0082 東京都千代田区一番町3-7 3F)

TEL:03(3239)5966

f:id:santa-baking:20190520233926j:plain

中種法と製パン機械設備 ~ デバイダー

機械耐性について

 大型の製パン工場におきまして、多くのラインで採用されていますのが中種法なのですが、焼きあがった製品のソフトさや風味が際立つことに加えて、採用される大きな理由のひとつとしてパン生地への機械耐性が挙げられます。

 この機械耐性とは、どのような工程の機械設備に対して検討される項目なのでしょうか。

 耐性と言うからには、パン生地にストレスが掛かることを意味する訳ですが、この工程は回復の操作を探せば見えてきます。

 フロアタイムやベンチタイムが、それです。

 ここでは、分割・丸目工程のデバイダーに注目して、解説することにします。

 以前にシリンダー式のデバイダーについて動作等を解説しました。
 ホッパーと生地室を区画するために、トップナイフと呼ばれます平板が1ストロークごとに生地をスライスする訳です。

f:id:santa-baking:20190611221529j:plain

 そして、密閉状態になった生地室にプランジャーが圧力をかけてパン生地をポケット内へ押し込むのです。

f:id:santa-baking:20190611221556j:plain

 ここで、生地室内のパン生地はどのような状態になっているのか、推測してみましょう。

 

f:id:santa-baking:20190611220345j:plain

 前後に往復運動しているトップナイフがホッパーとの境界を開口しますと、プランジャーが引かれることでポケットに入る分のパン生地が生地室内へ流れます。

 しかし、その時に流れる生地は上図のように高さ方向の厚みが非常に薄い板状にスライスされてしまいます。

 パン生地に力が加わる時、そこには流れ方向に垂直な”圧力”と流れ方向に沿った”せん断応力(流体をずらす力)”が生じますが、別の力として破断応力がここでは大きく付加されます。

 しかもミキサーやラウンダー、モルダーでの破断応力が生地の引っ張り過ぎによる過度の剪断応力に由来していることに対して、デバイダーのそれは機械的な破断です。

 近年のシリンダー式のデバイダーは、サーボモーターや油圧で位置や圧力を制御できますので、ほぼポケットから分けられるときのみ機械的な破断が生じる構造になっています。

 これは、手作業での分割と同様の操作と考えられます。

f:id:santa-baking:20190611221621j:plain

 さて、中種法で向上する機械耐性はどのような力に対するものなのでしょうか。

 実は、私も確認したことがありませんし、記述されている文献を読んだこともありません。

 もし、対象となる力が剪断応力や破断応力であれば、既にシリンダー式のデバイダーでは手分割と同様のストレスフリーが実現されていることになります。

 残りますのは圧力だけですが、この力はパン生地への吸水や脱気といった作用も確認されており、生地状態の変化が必ずしもストレスとは言い切れないのではないかと考えています。

 近い将来に解明されることを期待したいですね。

 

 

 ここから後は、ほんの少し宣伝です…。またまた、来月に製パンの講演します。
セミナー講演会のお知らせ 主催:工業技術会】
◎演題
『製パン技術のメカニズムと品質評価 ~基礎から最新の技術・トレンドまで~』

◎講師

サンタ ベーキング ラボラトリー 代表 博士(工学)山田 盛二

■日時

2019年 6月26日(水)12:40~16:40

■会場

東京都千代田区半蔵門 JCIIビル 6階会議室

■受講料

1名 29,600円(消費税込)

※ 受講者の講師割引制度のご案内 ~ 本ブログをご覧になり、講師:山田の紹介として下記の用紙で受講申し込み頂きますと、受講料が5,000円割引(24,600円(消費税込))となります。FAXにてお申し込みください。詳細は、下記の工業技術会まで。

■申込先、問合せ先

工業技術会㈱ (〒102-0082 東京都千代田区一番町3-7 3F)

TEL:03(3239)5966

f:id:santa-baking:20190520233926j:plain

 

中種法と製パン機械設備 ~ 第一醗酵室

 パンを作るための製法は様々ですが、必要とする製パン機械設備は多くが共通して使用されています。

 ここでは、製法ごとに特に必要とされる装置設備を抽出して解説していきます。

 日本の多くの大型の連続製パンラインで、採用されています中種法ですが、これは原材料の一部(一部とは言っても、70%中種法が一般的に採用されていますから、最終生地の半分以上の量となっています)をあらかじめ種としてミキシングしておいて、2~4時間の発酵熟成を行う製法です。

 この製法では、中種の仕込み量も決して少量ではありませんし、なにより発酵に要する時間が長いので、必要とするスペースも当然広く取らなくてはなりません。

第一発酵室

 連続生産ラインでは、中種を降ろしたドウボックスを第一発酵室に並べますので、従来は平面で広い面積が必要でした。

f:id:santa-baking:20190601144238j:plain

 それであって、中途半端に天井の高さを必要とする設備ではないため、どうしてもスペース効率が低くなってしまうのが、悩みの種でした。

 実際にどの程度のスペースが必要なのでしょう。

 仮に本捏ミキシングを20分サイクルで行った場合、中種はその半分の10分サイクルで回すことになります(当然、中種ミキサー1台に対して、本捏ミキサーは2台が必要です)。

 つまりロット間にほぼ空き間がなく、連続的に生産した場合、4時間(240分)の第一発酵の時間内に、(240/10=)24台のドウボックスを収容できるスペースが必要であることが分かります。

 上の写真にはドウボックスが10台写っていますので、この2.5倍程度のスペースにドウボックスが並ぶイメージです、いかがでしょうか。

 近年では、自動搬送機能が付いた立体倉庫タイプの第一発酵室を導入している工場もあり、中種ミキサー⇒第一発酵室⇒本捏ミキサーの生地搬送さえも自動化され、省人化が図られています。

 中種法のデメリットに、設備の多さがよく指摘されていますが、実感するところでは機械というよりはスペースといったところかと考えています。

f:id:santa-baking:20190601144307j:plain

 一方、店舗や試作室のようなところでは、10ℓ程度の容量のドウボックスを用いてキャビネットタイプの発酵室を使用されている場合も多いかと思います。

 もちろん、中種法のみを用いている訳でもないと思いますので、例えば上写真のような2室独立タイプの発酵室であれば、(冷凍生地の)解凍庫、第一発酵室、フロアタイム用に兼用で使用されていたりもするのではないでしょうか。

 

 

 ここから後は、ほんの少し宣伝です…。またまた、来月に製パンの講演します。
セミナー講演会のお知らせ 主催:工業技術会】
◎演題
『製パン技術のメカニズムと品質評価 ~基礎から最新の技術・トレンドまで~』

◎講師

サンタ ベーキング ラボラトリー 代表 博士(工学)山田 盛二

■日時

2019年 6月26日(水)12:40~16:40

■会場

東京都千代田区半蔵門 JCIIビル 6階会議室

■受講料

1名 29,600円(消費税込)

※ 受講者の講師割引制度のご案内 ~ 本ブログをご覧になり、講師:山田の紹介として下記の用紙で受講申し込み頂きますと、受講料が5,000円割引(24,600円(消費税込))となります。FAXにてお申し込みください。詳細は、下記の工業技術会まで。

■申込先、問合せ先

工業技術会㈱ (〒102-0082 東京都千代田区一番町3-7 3F)

TEL:03(3239)5966

f:id:santa-baking:20190520233926j:plain

 

製パン機械設備の実際 ~ 縦型ミキサー

縦型ミキサーの特徴

 最近になって、海外へ行く機会が増えてきましたことから、日本での常識は必ずしも海外で当てはまるということではないことを実感しています。

 ですが、それでも日本式のソフトなパンが高い評価を受けていることから、日本式を意識しつつ各工程で使用する装置について解説していきたいと思います。

f:id:santa-baking:20190526205623j:plain

[出典:関東混合機工業]

 中国では、ケーキ用として認識されている縦型ミキサーですが、日本では当然縦型ミキサーがパン用として一般的に使用されているミキサーです。

 参考までに、中国製の縦型ミキサーはボウルの強度や固定の確実性に問題があるようで、仮にパン生地をミキシングした際の故障に関してはメーカー保証の対象外になるとの話でした。

 その特徴は、以前にも解説しましたようにミキシングの際に生地に掛かる圧力が大きな要因として考えられますことに加え、非常に正確な捏ね上げ温度が求められますコントロール面でのニーズによるところが大きいのでは、と考えています。

 つまり、本捏ねミキサーの場合、生地の物性と温度の両方をベストの状態に揃える事が必要になってきます。

 仮に、生地がまだできあがっていない時点で温度が捏ね上げ温度に達していた場合、同時に冷却を掛けなければ、更にミキシングを続けてしまいますことで、当然のことながら生地温度は目標とする捏ね上げ温度を超えてしまいます。

 ボウルが回転しているスパイラルミキサーではミキシングをしながら生地を冷却することは困難ですが、縦型ミキサーであればボウルの底を氷水で冷却することで生地温度をコントロールすることができます。

 これは、作業上の問題ではありますが、根本には正確な生地温度が再現できてこその日本式のパンの品質と捉えられるのではないでしょうか。

コートという単位

 小型のミキサーには、ボウル容量の単位でコートという単位が良く使用されています。

 これはヤード・ポンド法における体積の単位「quart(クォート)」のことで、1ガロンの4分の1を意味しています。

 1コート=0.946L ですので、例えば 30コート=約30L と覚えてもらえればいいと思います。

 そして、おおよそですが、ボウル容量30L(コート)のミキサーであれば、吸水率68%のパン生地の場合で、その約20%の6kg程度の粉までを一度に仕込むことができます。

 一般的には、1台の縦型ミキサーで、例えば20コートと30コートのミキサーボウルを使用できるようになっていますので、仕込み量に合わせて使い分けるようにするといいと思います。

 当然ですが、ボウルを替えた場合には、ミキサーフックもそのサイズに合ったフックを使用しますので念の為。

 

 

 ここから後は、ほんの少し宣伝です…。またまた、来月に製パンの講演します。
セミナー講演会のお知らせ 主催:工業技術会】
◎演題
『製パン技術のメカニズムと品質評価 ~基礎から最新の技術・トレンドまで~』

◎講師

サンタ ベーキング ラボラトリー 代表 博士(工学)山田 盛二

■日時

2019年 6月26日(水)12:40~16:40

■会場

東京都千代田区半蔵門 JCIIビル 6階会議室

■受講料

1名 29,600円(消費税込)

※ 受講者の講師割引制度のご案内 ~ 本ブログをご覧になり、講師:山田の紹介として下記の用紙で受講申し込み頂きますと、受講料が5,000円割引(24,600円(消費税込))となります。FAXにてお申し込みください。詳細は、下記の工業技術会まで。

■申込先、問合せ先

工業技術会㈱ (〒102-0082 東京都千代田区一番町3-7 3F)

TEL:03(3239)5966

f:id:santa-baking:20190520233926j:plain