黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

パン学校 1日目 第213期

製パン技術教育コース(本科100日間)

 今日は午前中に西葛西に移動して、午後から明日の午前中までパン学校の授業です。

 一昨年3月の第207期から『製パン機械設備の実際』の授業を受け持っていますので、今回で早や7回目ということになります。

 この授業では、製パン機械設備についての授業を行うのですが、講義の内容は意識的に毎回新しい情報を入れていくようにしています。

 製パン機械設備の技術は、日進月歩で進歩していますので、講義資料も毎回刷新してそのような新たな技術を解説していくよう努めている次第です。

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 ところで最近は、このブログ用に作成しました図も数多く、ここから授業や講演会の資料へ転用しているケースも目立ってきました。

 授業等の準備で『こんな解説をしたら…』とか思ってみましても、その数が増えてしまいますとなかなか手が付けられなくなってしまうこともありますが、ブログのように1日1日に図を作成していますと、塵も積もればなんとやらです。

 私が受け持っていますのは、本科100日間の製パン技術教育コースでもブレドコースとロールコースの生徒の皆さんで、大手製パンメーカーや原材料メーカーから派遣された若手の面々です。

 おそらく、私の子供と同年代でしょう。

 なんだか、時代を感じてしまいます…。

 彼等はパンの作り方を習得することはもちろんのこと、おそらく大型の連続性パンラインに携わっている、もしくは関係している方々でしょうから、できるだけ現場目線の、それでいて理論的な解説を心掛けて、少しでも多くの知識を持って帰ってもらえたら講師冥利に尽きるというものです。

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 授業の中では時折クイズ形式の問題を出して、眠気を払拭することに努めています。

 授業中の睡魔…、経験ありますよね…。

 そして、随時質問も受け付けているのですが、比較的出易い質問は、最近に開発された機械設備に関するところが多いでしょうか。(重量によるデバイダーとか、可動式の展圧ベルト仕様になっているモルダーとか、ですね)

 考えてみれば、以前からある装置であれば、教科書にも載っている可能性が高いものの、開発されたばかりの装置がそうそう教科書に載ることもないですから。

今日1日の授業が終わって

 いまは、パン学校の裏手にあります、BEST WESTERN ホテルに宿を取ってもらって、くつろいでいます。

 このホテルなんですけど、海外のお客さんがとても目立ちます(よく大型バスがホテル前に停車していて、そのチェックインのタイミングと合ってしまいますと、それこそ大変です)。

 新しいホテルでアメニティも充実していますし、東京ディズニーリゾートにも比較的近いこともあるのでしょうね。

 さて、明日(日付が変わって、今日)の午前は焼成の続きから後半の授業です。

 再度気合を入れて、頑張ってまいりますかぁ。

 

街のパン屋さん ~ いろねこ食パン(ブルージン)、そして結婚(式)記念日

再び、ブルージン

 以前にも、いろねこの手(ダクワーズ)を紹介しました大阪新阪急ホテルのベーカリー&カフェ「ブルージン」。

 今回は定番のいろねこ食パンを、大阪へ遊びに行った家族にお願いして買ってきてもらいました。

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 今の時期は、春にちなんで sakura(あんこ 550円 税込)が販売されていました。

 桜風味の生地に、あんこを混ぜ込み焼きあげた商品です。

 ところで、見た感じに(いい意味で)裏切られたところを紹介します。

 粒あんを織り込んだ食パンは他店からもいろいろと出ていますが、なんとなく見た目には粒あんの量が少ないのでは?、といった印象でした。

 パン生地の見えている面積占有率が高いように見えてしまったからなのですが…。

 しかし、実際に持ってみると他店の商品と同様にずっしりと重い!

 ん!、といった感触です。

 そして、6S幅にスライスしてトーストしてみます。

 表面がキツネ色に焼き上がったところで、トースターから取出しマーガリンをしっかりと塗りたくります。

 ここでも、なにか違和感が…、そうだ! 粒あんがほとんどこぼれてこない!

 他店の商品ではあんの層がパックリと空洞になってスライスやトーストをした時にぽろぽろとあんがこぼれてくることが多かったのですが、このあん食パンでは起こりません。

 商品の内相を見て気付いたのですが、粒あんの入っている部分は細い線状になっていて空洞がほとんど見られません。

 生地内に塊となった粒あんが入っておらず、その為に見た目には存在感が薄くなっていたものの、実は相当量の粒あんが織り込まれていて、それでいて空洞ができていないので、スライスやトースト時にも粒あんがこぼれるようなことがなかったことに気付きました。

 これは、いいことを教えてもらった、と今日の(後述の)この日に感謝することがひとつ増えました。

 食べた感じとしては、桜風味のパン生地と粒あんが程よくマッチしていて、そこに粒あんの甘さが入ってきますので、この季節にベストマッチの商品です。

 クラムの内相も肌目が細やかで、しっとりした食感ですので、申し分ありません。

 見た目にネコの外観で楽しむことができ、桜の風味で香りを楽しみ、食べて食感と食味で満足できる商品でした。

結婚(式)記念日

 今日は、30回目の結婚(式)記念日です(入籍の結婚記念日は、12月24日です)。

 30回目は、真珠婚式というらしいです。

 なぜ、銀婚式(25回目)以降は、30年:真珠婚式、35年:珊瑚婚式、40年:ルビー婚式、45年:サファイア婚式、50年:金婚式、55年:エメラルド婚式、60年:ダイヤモンド婚式、と高価な貴金属の名前が付いているのでしょうか。

 ある特定の業界の思惑が大いに働いているように感じるのは、私だけでしょうか。

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 とはいえ、妻にはちょっとだけ奮発してデザイナーさんのアレンジフラワーを用意しました。

 すごく喜んでくれて、この日に感謝することがまたまたもうひとつ増えました。

中国のパン事情(出張後記) ~ 南京のリテイルベーカリー③ まとめて4店

リテイルベーカリー激戦区

 江蘇省南京市は、中国第9の都市だけあってトレンドに関しても非常に敏感とのことです。

 リテイルベーカリーも、若年層を中心に取り込みにしのぎを削っているようでした。

 その中にあって、味多美はメイン商材のひとつが山形食パンであり、その内相にも高い意識を持っているようでした。

 店内に入って食パンの内相を確認していましたところ、私達に気付いた定員の方が近付いてきて何かを言っています。

 通訳の方に確認してみましたところ、『なにかお手伝いすることはありますか?』といった内容だったそうです。

 機関の人が調査をしていると店員さんが勘違いをしているような事を言っているようでした。

 食パンは、山崎製パンのダブルソフトに近い成形で、クラムの食感は角形食パンに近い、しっとり感があるソフトさが特徴的でした。 

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 続いて入ったのは、酵塾という店舗です。

 ここまでの店舗を見てきますと、以前に挙げたベーカリーも含めて、ほぼパンが嗜好性の高い商品として扱われていることに気付きます(そして、この傾向はこの後に訪れますベーカリーにも見て取ることができました)。

 そして、この日に回った全ての店舗でパンはガラスのショーケースの中に陳列されており、日常生活的なイメージはほとんど感じませんでした。

 そして、ほとんどの商品は外観的な見栄えが顕著で、包餡しているフィリングを売りにしているような商品は、下右の写真のようにパネルを付けてアピールをしています。 

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 ホールセールの商品のところでも記載しましたが、やはりパンに関しては市場が先行している日本を意識しているところをリテイルベーカリーでも感じることができました。

 次に訪れましたのは奈雪の茶というお店で、複数店舗をチェーン展開しているベーカリー、と言いますか、ドリンク屋さんです(店名に茶と書かれていますが、ソフトドリンク一般を扱っています店舗です)。

 中国に来ました初日にも別の店舗に足を運んでおり、やはり若い人たちで賑わっていました。

 ちなみに、店名は日本風でしたが、それ以外に日本を感じることはありませんでした(日本テイストにプレミア感があるのでしょう)。

 この店舗でも、外観に特徴がある商品がガラスのショーケース内に並べられていて、とにかく存在感を放っています。

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 そして、予定していましたリテイルベーカリーの最後が原麦山丘という店舗で、ここまで来ますと”以下同文…”と書きたくなるほど、類似した傾向のオンパレードでした。

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 そして、この日を通して気が付いた点としては、最初のPARIS BAGETTE 以外で相が綺麗に出ているペイストリー製品をあまり目にした記憶がなく、多くの店舗で特徴的な外観をしている商品も基本的には玉生地⇒ロール成形といった製法が基本となっているように感じました。

 そのような意味では、中国ではまだまだこれから新たなトレンドが生まれる可能性は高く、個人的には興味が湧いてきます。

 

食パンのスライス ~ ホールセールのパンにカビが生え難い訳がここにある!

『これを食べてはいけない』という本

 少し前にこのようなタイトルの本が出版されて、随分と話題になりました。

 製パン企業が己の利益を追求するがために、安全性を軽視しているかのような記述です。

 さて、そのような記述をされる方は製パン工場をどこまで御存じなのでしょう?

 商品の消費期限をほんの半日延ばすために、どれだけの企業努力(技術開発も、設備投資も)を重ねているか、ご存知なのでしょうか。

 今のマーケットには、消費者が商品を選択できる環境にあります。

 その判断材料として、ホールセールの商品の包装には法律に基づいた原材料表示がされていますので、それぞれの方が検討することはできるのですから。

 市場にマッチしていない商品は、自然と淘汰されていくものです。

スライス~包装

 さて、ホールセールの商品にカビが生え難い理由の一つとして、ここでは食パンの包装工程について解説したいと思います。

 オーブンで焼き上がった食パンは100分程度冷却されて、次の包装工程に入ります。

 まずはスライスですが、手作業で経験にある方もいらっしゃると思います。

 パンの温度が高いと上手に切れませんよね。

 製品をスムーズにスライスできる適正な温度まで冷却することと同時に、クーリングから包装室に及ぶ作業環境は、気流も含めた厳格な温度湿度の管理がされています。

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(出典:㈱オシキリ)

 スライサーは、 上図のようにバンド式、レシプロ式といった仕様の装置にコンベアで搬送された食パンが順次流れていってスライスされます。

 一般的に販売されています、スライス幅は1斤(およそ12cm幅)を4枚、5枚、6枚、8枚、(サンドウィッチ用には10枚)に等間隔で分割した幅となります。

 スライサーのブレード間隔は、商品に合わせて自動で変更が可能になっていて、パネル上での操作で対応できるようになっています。

 ちなみに、比較的関東地方では6~8枚スライスが、関西地方では5~6枚スライスが好まれているそうです。

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 そして、スライサーを出た食パンは、まず両端のクラスト(耳)の部分が外されて、1斤ごとの振分け装置に移載されます。

 近年は、単身向けにハーフパック(半斤サイズ)の包装も増えてきていますので、その対応もできるよう改良が重ねられてきています。 

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 そして、規定数量に振り分けられました食パンは自動で包装されて、消費期限等を包装紙に印刷されて検査・出荷となります。

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ホールセールのパンにカビが生え難い理由とは!

 さて、ここまでの工程でなにか気が付いたことはありませんか? 

 そう、近年の製パン工場の食パンラインでは、特に焼成後の製品に人が手で触って加工する工程は、ほとんどありません。

 人の手はいくらゴム手袋等で被ったとしても、機械設備の表面のようにアルコール等で完全に除菌することが困難な為、人が触るとどうしても、細菌の汚染が危惧されてしまいます。

 食品衛生に関しては安心・安全を図る目的で、国内の多くの企業でHACCP等を取り入れて環境の整備に取り組んでいるのが実状です。

中国のパン事情(出張後記) ~ 南京の菓子屋さん、コンビニとペイストリー?屋さん

菓子屋さん・南京冠生園

 南京では、少し変わり種のところも見てみたいということで、話題の店舗へ行ってみました。

 この南京冠生園は、地元では菓子で有名な店舗らしいのですが、最近では、このような中華菓子店でも棚の一部にパンが並べられていることが珍しくないそうです。

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 もっとも、並べられていますのは焼き立てパンといった商品ではなく、ホールセールの包装製品です。

 仮に日本であれば、老舗和菓子店の一角に連続生産ラインで作られたと思われるパスコのパンが並べられているようなイメージであって、どうも私の目にはミスマッチとしか表現のしようがない光景です。

 ちなみに、販売されているアイテムはロールパン系が多く、菓子パン系ながらシンプルな商品となっていました。

コンビニエンスストア・7-11

 中国に渡りましてから、コンビニは7-11、ローソン、ファミリーマートと、日本での有名どころ3店舗は労せず見つけることができました。

 ただ、店舗数では圧倒的に中国企業のコンビニが多く、それも広い国土故に地域に密着した展開を図っているチェーンストアが広いシェアを占めていると説明を受けました。

 渡航初日には、ファミリーマートとローソンに入ったのですが、今回は南京の7-11です。

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 店内の棚の構成は、日本のそれとほとんど変わりなく、NB製品に交じって多数のPB製品も見受けられます。

 ところで、中国のパンマーケットで気付きました点を記載しますと、ひとつは写真左下にあります日本でも人気のバタースコッチ、そしてもうひとつは写真右下のロールパンです。

 特に写真右下のフラワーペーストを線状に振った製品は『毛虫パン』と呼ばれていて、中国では広く親しまれているようです、…そのネーミングセンスには私の感性が若干追い付けないところでもあるのですが…。

 それとパンには全く関係がないのですが、店内のBGMがウルトラセブンウルトラマンエースウルトラマンタロウといった、それこそ私が幼少の頃に観ていたウルトラマンシリーズのテーマソングだったこと…、選曲の理由を聞いてみたい…。

ペイストリー?屋さん・鮑師博

 SNSで人気が拡散した店舗が鮑師博です。

 店舗の前には、下写真のような行列も…。

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 この店舗での人気商品が右写真の商品です(店の看板には、確かに『Pastry』と載されています)。

 ところで、中国で絶大な人気を誇る肉松という食材をご存知でしょうか。

 日本でいう「(太巻きのお寿司に入っているピンク色の甘い佃煮)桜田麩(さくらでんぶ)」と近い食材で、魚肉を使っている桜田麩に対して、肉松は豚肉を使います。

 主な原料は豚肉、砂糖、大豆油や紹興酒などです。

 話を戻しますが、鮑師博の人気商品はクリームを2枚の半円形のケーキ生地で挟み、その球状になった生地の周りに肉松をまんべんなく付けた商品です。

 甘い生地&クリームと(甘いのですが)肉の佃煮という組み合わせに少々戸惑いもありましたが、あるショッピングモールのフードコートで昼食を兼ねて食してみました。

 このソウルフードは食べ続けていくと、もしかするとハマるかもしれない、…率直な感想です。