黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

ベーカリーチャイナ ~ 1日目①主に包餡機

まずは、一言!

 今回の中国出張は本当にタイトな状況にあって、なかなかブログの更新が叶いませんでした。

 先ほど帰国しました後は、また随時更新していきたく思っておりますので、今後とも、どうぞ、よろしくお願い致します。

コピーがいっぱい!

 2019年5月6日より4日間の日程で、展示会:ベーカリーチャイナ2019が上海浦東新国際博覧中心にて開催されました。

 会場は、原材料、機械設備、包装関係に分かれていて、とても1日ですべてを見て回ってくるのは不可能と感じざるを得ませんでした。

 とはいえ、今回、私に与えられました時間は1日半しかありませんでしたので、ほぼ機械設備を中心に紹介していきたいと思います。

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 とにかく目立ったのは、包餡設備です。

 生地とフィリングを押し出す装置のメカニズムは、ほぼほぼレオン自動機の包餡機:火星人と同様で、絞ってカットする方式も同社のインクラスターそのものを見ているようです。

 上写真のように原理が同様といった設備もあれば、更に火星人に近い装置も見つかります。

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 やはり、絞り&分割はインクラスターが人気のようです。

 もしかしますと、包着盤は構造が難しくてコピーも大変なのでは?、とも思ってしまいそうです。

 そして、更に進んでいきますと、…ここまでくると、もう火星人そのもの、といった包餡機が登場です。

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 しかも、それが1社に留まらず、結構な数のメーカーが競っているかのように出展していました。

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 価格は聞いていないのですが、日本製の機械設備と比べるとおよそ1/3~1/2程度の価格で販売されているとか。

 価格面では、圧倒的に中国製の機械設備の方が優位に立っているのが明らかです。

 それであれば、結構日本企業は苦戦を強いられているのでは、と心配にもなっていましたところ、構造が複雑な装置に関しては、徐々に販売台数が増えているとのこと。

 どういうこと?

 それは、耐久性の点から中国のユーザーにも徐々に見直されてきているとの解説でした。

 つまり、見た目は似ていても中国製の機械設備は概ね1年ほどで故障が目立ってくるそうです。

 その点、日本製の機械設備は余裕で5年は正常に稼働し続けてくれるそうなので、長いスパンでコストを見た時の考え方が徐々に浸透しているのでは、とのお話でした。

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  そして、もうひとつ目立っていたのが、シート生地を延展するストレッチャーです。

 これも、レオン自動機製のマルチストレッチャーと構造はほぼ同様の機械が、火星人と同様にあちらこちらのブースで見掛けることができました。

 ただ、上下の圧延ローラーの動き(特にローラーの周速度)をしっかりと確認したわけではありませんので、まだこのストレッチャーの性能は未知数です。

 まだ、ベーカリーチャイナで見てきましたことは全然紹介しきれていませんので、今後も少し、このテーマで記載していこうと思っています。

 

 

製パンの器具と原材料の調達 ~ ワルツ

製パンの器具と原材料の調達に

 製パンの材料や器具の調達には、名古屋市名東区のワルツ藤ヶ丘店に時々足を運びます。

 元々はコーヒー豆の販売を手掛けていた店舗のようですが、お家カフェの位置付けで製パン製菓材料も品揃えしたような感じです。 

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 今回、ちょっとした用事があって出掛けてみましたら、ちょうどこの日は『パン祭り』のフェアを開催中で、店内に入ったところからサフのドライイーストやらジャムやらの陳列棚が目に飛び込んできます。

 この日は、最初から買うものが決まっていても、やはり目移りしてしまいます。

 これまでも、ショートニングや食パン用の包装紙、クロージャー等の消耗品をちょくちょくと買いに来ています。

 私がパンを焼く時は、基本的に温度や熱流束、重量変化等を測定しながらですので、できるだけサンプルはシンプルなもので行っていますが、時々、編み込み成形してみようか、とか、生地にチョコチップでも混ぜ込んでみようか、とか、そんなこともけっして頭をよぎらない訳ではないんです。

 まあ、時には少し研究から離れてパンを焼いてみてもいいのかなぁ、と思ったりするのですけど…。

 実験装置は自分で作りますし、どちらかと言いますと装置の部品等を調達する場合が多い関係でホームセンターへ行く頻度の方が高いのですが、そうは言いましても最終的に作りますのがパンですので、原材料のお店は切っても切れない関係です。 

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 店舗に入って左側に歩いていきますと製パン製菓の原材料や型等の器具類が並んでいます。

 私が使う食型や天板は、寸法指定で業者に作ってもらっていますので、市販製品を使うことはないのですが、形状や素材を眺めているだけでも新しい発見やそのヒントがあったりしますので、ここでの買い物も貴重な時間です。 

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 今回購入したのは、白神こだま酵母(天然酵母 ドライタイプ)とサフ・インスタント【金】です。

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 近年では、天然酵母といった表現がイースト(現在では、パン酵母と表現)を工業的な生産品と間違ったイメージを与えかねないとして自粛されている状況ですが、少し見てみたいところがあって、白神こだま酵母を購入しました。

 また、サフ・インスタントは、元々本場のフランスパンをおいしく焼くために日本に持ち込まれた酵母で無糖生地用といったところが一般的だったのですが、加糖生地にも使用できるサフ・インスタントが、この【金】バージョンです。

 一般消費者が購入できる原材料も進んできていますね。
 

 

 

街のパン屋さん ~ LeBRESSO の食パン、再び!

『これらの商品ですが、また、リピートする可能性大です。』
の宣言通り、また家族に買ってきてもらいました。

 名古屋・矢場町に店舗を構える LeBRESSO です。

 前回は、看板商品のレブレッソブレッド(650円税込)の他に、大納言ブレッド(580円税込)とチョコブレッド(540円税込) を購入したのですが、今回はチーズブレッド(540円税込)です。

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 この商品は、キューブ状にカットしたプロセスチーズを生地に練り込んで焼き上げた一品です。

 製品外観のプロセスチーズが生地表面に出ている状況からも推測されます。

 これは、チョコブレッドと同様ですね。

 やはり、練り込んだ際の素材の状態を考慮して、丹波黒大豆ブレッドならば黒大豆が崩れないように(おそらく、成形の圧延生地に黒大豆を巻いてカーリング)成形する一方で、プロセスチーズやチョコは素材の風味も楽しめる意味からも練り込んでいるのでは、と思ってしまいます。

 さて、前回のスイーツ系食パンに対して、今回はソルティ系食パンという感じで買い求めました。

 実は、結構私が好き嫌いが多くて、チーズもあまり匂いが残るものは苦手なのですが、今回の商品は…。

 スライス・トーストして、(バター風味の)マーガリンだけで頂きました。

 前回の記事でも紹介しました通り、LeBRESSOの食パンは、しっとりもちもちとした食感に加えて、ほんのりと甘い特徴があります。

 その甘みとがなんとなくチーズの臭みをマスキングしているように感じて、自然に『あっ、チーズ!』と抵抗なく食べられました。

 こんなことを書いていると、食味が風味をマスキング? なに言っているの? と、思われそうなのですが、正直な感想なので、ご容赦下さい。 

 ご参考までに、LeBRESSO BREADは、

■北米産小麦粉使用

■卵不使用

■防腐剤不使用

アレルギー表示:小麦、乳、大豆 と、なっています。 

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 ところで、実は今回も、チーズブレッドとは別に、レブレッソブレッドも購入してきてもらいました。

 何度も言うようですが、我が家はけっして大家族ではありません。

 典型的な核家族です。

 先にも、ほんのり甘く、と記載しましたが、甘さを感じる食パン系の中では私の一押しです。

 あくまで、好みなのですが…。

 小麦の素材をそのまま感じられる、ナカガワ小麦店(京都)の山形食パンとは同じ食パンでも別ジャンルですね。

www.santa-baking.work

 今、上の記事を読み直してみましたら、食べた感想がまったく書いてなかったようです。

 リーンな食味の食パンでは、このナカガワ小麦店の食パンがマイブームになっていますことを併せて記載致します。

 

 

街のパン屋さん…じゃなくて菓子屋さん ~ フレンチオーブン

シュークリームにクロワッサン生地

 製造元のフレンチオーブンによりますと、シューヴィエノワズリー(378円 税込)は、伝統的なフランススイーツで、シュー生地をクロワッサン生地で包んで焼き上げ、中に生クリームと合わせたカスタードクリームを充填した商品、だそうです。

 ブリオッシュがこのシューヴィエノワズリーの一種と言われることもあるそうですが、やはりスイーツとして見ませんと価格的には高価だと、個人的には思ってしまいます。

 クリーム入りのクロワッサンを、この価格で購入しているかどうか…。

 シュー生地にサクッとした食感を加えるために、生地にトッピング等の工夫がなされた商品は他にもありますが、生地そのものをクロワッサン生地に置き換えた菓子は特徴的です。

 購入しましたシューヴィエノワズリーは、ココア?風のクロワッサン生地で被われていて、その時点で食べた時のサックリ感は大いに期待してしまいます。

 実際に食べてみましても、期待を裏切らず、思い描いた歯切れのいいクロワッサン生地に生クリームとカスタードクリームが絡んで相性はとてもよく感じました。

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 そのような(異なる生地を組み合わせる)発想の商品は、ホールセールベーカリーのパンにも見られ、例えば敷島製パンの”おいしいシューロール”は、ロールパン生地の上にシュー生地を絞って焼き上げることで、従来のロールパンにはない食感を生み出しています。

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 このように異なります生地の組み合わせ商品は、他にも見られるのですが、やはり作業面から考えてみますと、片方は発酵を伴わない生地の方が取扱いは安定しているのかと思ってしまいます。

 異なる生地が、どちらも発酵を伴っていたりすると、両方の発酵条件を揃える必要も出てくるでしょうし。

 とはいえ、この製品はどうやって作っているのでしょうか。

 流動性の高いバッター生地のシューを、やや弾性を持ったクロワッサン生地で包むといった操作から大変な気がします。

 それを紙トレーに詰めて焼く…、私なら一度試してシュー生地の膨らみ具合から、不具合があった部分の対応を考えるかと思います。

 ちなみに、私の探し方が不十分だったかもしれないのですが、ネットの検索では満足できる作り方は確認できませんでした、…売っている本には掲載されているものもあるようです。

 ちなみに、もう片方の右の商品は、コンベルサシオン(378円 税込)です。

 フランス北部のイル=ド=フランス地方の代表的な焼菓子です。

 パイ生地でクレームダマンドを包んで、表面に卵白と砂糖で作ったグラスロワイヤルを塗り、その上に格子状にパイ生地で模様を作って焼きあげたお菓子です。(パイ生地なら、菓子と断言しても大丈夫かと)

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 上写真は、名古屋栄三越ラシック地下にありますフレンチオーブンの店舗です。

折込み成形 ~ シート生地の層をきれいに見せたい! ①

きれいな層を出すために

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 折込み油脂にしろ、フラワーシートにしろ、シート生地を使って織り込み成形をするような場合には、できあがりの層の出方が最終製品の品質の良し悪しを確定させることもあって、非常に気になるところです。

 一般的に2つ折りとか、3つ折りとかの方法が採られますが、層のでき方について解説します。

 これって、知ってそうで、けっこう間違えて覚えている方もおられるようです。

 まずは、生地に折り込みのシートもしくは油脂を挟みます。

 この時点で、2層になります。(下図は、リテイルベーカリーで主に使われている方法です。連続生産ラインではシート生地を繋げますので、両端を折って包み込みます)

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 上図の方法で折り込みシートを包みますと、生地を閉める部分がシート生地の端に来ません。

 シート生地の端の部分は層になっていませんので、この部分の割合を小さくすることはより多くの層を最終製品に出させることに繋がります。

 その言葉の通り、2つ折りは折り込みシートを挟んだ状態で、真ん中から追って2重に重ねること、3つ折りは長さを3等分して3重に重ねることです。

 パン生地同士が重なる部分は層になりませんから、できる層の数は、2つ折りで、

 2×2-1=3層

3つ折りで、

 2×3-2=4層

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と、なります。

 ですから、そのシート生地を延展して薄く伸ばし、2回目の3つ折りを行いますと、

 4×3-2=10層

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同様に、3回目の3つ折りを行いますと、

 10×3-2=28層

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と、なる訳です。

 リテイルベーカリーでよく見掛けますリバースシーターを使用する場合は、作り手である作業者の意図が比較的反映されますが、大型製パン工場へ導入されていますパラレルパイラー(揺動機)という装置を使用する場合、層の折り方に少し制限が掛かります。

 2つ折りと4つ折りはできても、(あくまで)正確な3つ折りはできないのです。

 上記の28層に近付けるには、4つ折りを2回行って、

 2×4-3=5層

 5×4-3=17層

そして、2つ折りを1回

 17×2-1=33層

と、17層か33層ということになります。

 3つ折り3回の28層の成形は、デニッシュペーストリーでは最もポピュラーな方法ですので、悩ましいところです。

 ただし、近年では少し仕様が異なる装置で連続生産ラインでも3つ折りが可能なライン設備が出てきました。

 ただ、現時点でその装置の解説の中に、そのような内容の記載がありませんので、その解説をアップするのは少し時間を頂きたく、…ご容赦下さい。