モバックショウの視察を終えて
冒頭にお知らせなのですが、先週のモバックショウでは各メーカーの責任者の方々に、その企業で取り扱っている装置の画像をこのブログで掲載していいものか、お尋ねしながら回ってきました。
やはり付き合いの長い方が多いこともあって、ほとんどのメーカーから掲載可の回答を頂くことができました。(いくつかのメーカーからは事前の連絡を求められましたが、基本的に掲載可能との回答です)
各メーカーの皆さま、ありがとうございます。
やっぱり、実物の装置の画像が存分に使えますと、説明する側としましても『百聞は一見に如かず』的なところもありますので、本当に助かります。
というわけで、製パン工程の解説も上流から始めて、既にクーリングも終わろうかという段階ですが、また折を見て、以前の記事に肉付けをしていこうと思います。
クーリングから包装室へ
さて、クーリングが終わりますと、パンは最終の加工を施した後に包装されます。
このエリアは、製パンメーカーにとって最も衛生面に重点を置くエリアであって、人も、物も、空気の流れまでも検討されて室の構造が設計されています。
それはそうですよね、このエリアの衛生状態如何でパンの消費期限が変わってきてしまうのですから…。
ところで、製造工程の流れでパンの製造条件の面からひとつ解説を加えますと、包装室は一般的に十分な空調がされていて、決して暑くはないのですが、一部の(シート生地用の)成形室のように寒いと感じる温度まで室温を下げることはありません。
そうなりますと、ひとつ前の工程のブレッドクーラー後半で、もししっかりとパンを冷却しようとして極端に低い温度でクーリングを取ったりしますと、包装室に入る段階で、パンの周囲の温度が上がってしまう事があります。
これが何を意味するのでしょうか。
工学屋さんから言わせれば、水でも、電気でも、濃度でも、すべての状態量は高い方から低い方へと流れていきます。
つまり、パンの表面温度より高いところへ移載されますと、パン表面には空気も湿気も寄ってくることになります、…もう、お分かりですよね。
充填装置
さて、せっかく各装置メーカーの画像が使えるようになりましたので、今回はフィリングを充填する装置をいくつかお示ししようと思います。
下の画像には、次々に流れてくるコッペパンにフィリングが充填されているところが映し出されています。
これは、マスダック製のフィリング充填機で、一般的に腹割りカットと呼ばれます、横切りでロールパンを開いて、そこにクリームやチョコ等のフィリングを絞る装置です。
最近では、カットのヴァリエーションもいろいろなタイプの製品が出回るようになっていて、背割りカットと呼ばれます生地上部に縦の切り込みを入れてフィリングを絞るタイプ等仕様は様々です。(下のイラストをご参照ください)
それと、実はマスダックは以前にがっちりマンデーで、森永卓郎さんが解説していましたように、どら焼きの製造装置でトップシェアの企業ですから、当然、下の画像のようにどら焼きに餡を絞る装置も開発しています。
この画像よく見て下さい。
どら焼きの生地は、焼きの上下面が交互に流れてきていますよね。
次の工程で、餡を絞っていない方の生地を絞った生地の上に自動で被せて、そして2枚重なった生地はどら焼きの形状に全体が絞められます。
見ているだけでも、結構楽しい光景です。