黒猫サンタさんのパン作りブログ

プロのベーカリーと製パン企業のみなさまへ

丸目(大玉生地②)

丸目のメカニズム

 円筒の周りをパン生地が沿って流れていくと、どうして丸目を行うことができるのでしょうか。

 ここでは、ドラム式ラウンダーを使用した時のパン生地の動きと共に生地に働く力について考えていきます。

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 ドラム式ラウンダーをパン生地が流れている状況を上から見てみると次の図のようになります。

 パン生地は、中央にある回転体に引っ張られてガイドレール内を進んでいきます。

 この時、パン生地は側面からの力を受けて生地内には前方から迂回して回り込むような流れ①ができます。

 ただ、この流れだけでは単にパン生地が回りながら進んでいるかもしれず、十分な動きが掴めません。

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  そこで、次にラウンダーを横から見て動きと力について検討します。

 青矢印のように回転体は横(円周)方向に動いていますので、パン生地は横方向の力②を受けますが、ガイドレールには上方向の傾斜が付いていますので、②の力を分解しますとガイドレールに垂直方向の力②aと水平方向の力②bに分けることができます。

 すると、パン生地には作用反作用の法則に基づいて、③aと③bの力が作用することになります。(もっとも、実際にはパン生地全体の位置が移動して、生地底部の接触部分がその位置に残されるために、動いている生地から見ますと後方への流れができているように見えます)

 そうなりますと、生地の表皮を流れる方向に働く力①と生地の底面をガイドレールの接触抵抗によって発生する力③bは、生地の後方端の部分で合わさり④、元の力が発生したポイントへ流れるようになります。

 つまり、単にパン生地が転がって進んでいるのであれば、③bの力による流れは進行方向でなければならず、この流れが逆方向に作用しているということは、生地内のどこかに進行方向の流れが生じていなければならないということになるからです。

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 結果として、パン生地全体を見てみますと露出している表面及びガイドレールに接触している生地底面において伸ばされ、生地を張る方向の力が加わると共に、表面の生地を内部へ押し込む作用が働くことになります。

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 最後に、3次元のもう1方向:進行方向からパン生地に働く力を考えてみます。

 前述の①と③の力が前方より後方に向かって作用すると同時に外方向への流れ①が生じています。

 もし、仮にガイドレールに傾斜が付いていなかったとしますと、パン生地には流れ方向の力しか加わらなくなりますので、パン生地はくるくるとコマのように回って丸目の役割は果たせないと考えられます。