菓子パンラインのラウンダー
同じパン生地の丸目でも、生地サイズが変わるだけで適する機械仕様も変わってきます。
より正確な表現としては、生地サイズの幅が広い、小~中玉生地用と表した方が適正かもしれません。
この用途のラウンダーは、以前では竿型・傘型の機種が主流でしたが、近年では人の手の動作を模造したカップを回転させるジャイレーター方式の機種が開発され、脚光を浴びています。
このジャイレーター方式ですが、生地サイズより幾分大きめのカップが偏心軌道の回転を行って、生地を丸めます(上図参照)。
カップ内部には、人の手のひらに相当する生地を押さえのプレートがあり、それが軽く抑えながら生地の端の一部をカップの縁で挟むようにして偏心軌道で回していきます。
この動作をタクト式に生地が流れるコンベア上で複数回繰り返すのですが、ここでもちょっとしたコツが必要になってきます。
この装置の仕様ですが、生地の進行方法に対して横並びの複数列の取付けカップがあります(デバイダーの分割ポケットの数に合わせて)。
より多くの丸目動作が必要な中玉生地では、そのすべてを使用することがあっても、少ない動作で丸目が完了する小玉生地では、一部の列の取付けカップを意図的に外して使用することができます。
すべての取付けカップを使用すると、返ってパン生地にストレスを与えてしまうからです。
そして、採用するカップサイズは生地形状がいびつな丸目初期では比較的大きめのカップを、丸目が進んで形状が整ってくる後期では小さめのサイズのカップをセットするようにします。
手作業との違い
ところで、ドラム式ラウンダーの場合も同様ですが、手作業時に使用する手粉をジャイレーター方式の機種でも使いません。
ドラム式ではドラム表面にテフロンもしくはシリコン加工を施し、ガイドレールにはテフロン樹脂のプレートが使われています。
一方、ジャーレーター式ではデバイダーからの落下地点において上部から離型油が噴霧された上で、樹脂製のカップで加工します。
ここで、もう一点注目すべき箇所が生地が搬送されるコンベアベルトの材質です。
竿ラウンダーでは、離型油が浸み込む性質を持ったフエルト性のベルトが採用されていましたが、ジャイレーター式では樹脂製が一般的です。
よくよく考えてみますと、生地がベルトに対して滑り過ぎると生地が丸まりませんし、接触抵抗が大き過ぎるとべた付いてしまいます。
適度な接触抵抗があって、かつ剥がれ易い、なんとも難しい特性がコンベアベルトに求められています。
ベルト材質の説明は、また改めて記載するようにします。
なお、次工程ではOHP(オーバーヘッドプルファー)を使用する中間発酵となりますので、丸目後に手粉を生地前面に付着させる作業は食パン生地の時と同様です。